視神経脊髄炎の再発に対するリツキシマブの有用性を検証する第Ⅱ/Ⅲ相 多施設共同プラセボ対照無作為化試験

文献情報

文献番号
201324141A
報告書区分
総括
研究課題名
視神経脊髄炎の再発に対するリツキシマブの有用性を検証する第Ⅱ/Ⅲ相 多施設共同プラセボ対照無作為化試験
課題番号
H25-難治等(難)-一般-025
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
田原 将行(国立病院機構宇多野病院 臨床研究部 )
研究分担者(所属機関)
  • 澤田 秀幸 (国立病院機構宇多野病院 臨床研究部)
  • 大江田 知子(国立病院機構宇多野病院 臨床研究部)
  • 藤原 一男(東北大学大学院医学系研究科 多発性硬化症治療学寄附講座)
  • 中島 一郎(東北大学大学院医学系研究科 神経・感覚器病態学講座 神経内科学分野)
  • 清水 優子(東京女子医科大学医学部 神経内科学)
  • 岡田 和将(産業医科大学 神経内科学教室)
  • 後藤 雅史(国立病院機構京都医療センター 総合内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
17,380,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
視神経脊髄炎(以下、NMO)は、主に脊髄や視神経に再発性病変を生じる免疫性神経疾患であり、近年、難病指定されている多発性硬化症(以下、MS)に含まれていることが判明した。MS治療薬の開発は進んでいるものの、NMOに対する十分なエビデンスのある治療法は国内外において存在しない。再発予防にステロイドが経験的に用いられているが減量により再発する場合や長期使用による副作用の問題も多い。そのため、ステロイドに替わる確実な治療法の開発が急務と考えられ、今回、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブによる再発抑制効果を検証するため、医師主導治験を計画した。
本治験の実施は、新規治療法の開発のみでなく、国内外の治療ガイドライン等への引用、すなわち本邦発のエビデンス創出/輸出となり、臨床研究の活性化にもつながると期待される。
研究方法
治験実施計画書は、医薬品医療機器総合機構の対面助言(P2764-IDEC-C2B8)を経て作成した。
試験デザインは、第Ⅱ/Ⅲ相多施設共同プラセボ対照無作為化試験。主要評価項目は、割付から初回再発までの期間とした。試験期間は、72週。目標症例数は、各群20名の合計40名である。生物統計家として後藤雅史が参加している。参加施設(治験責任医師)は、宇多野病院(田原)、東京女子医科大学(清水)、産業医科大学(岡田)に、東北大学(藤原)も参加した。安全性評価も行う。主な対象症例の選択、除外基準は以下の通りである。
選択基準①抗AQP4抗体陽性(過去に確認されたものも含む)のもの。②脊髄炎または視神経炎のいずれかの既往があるもの。③経口ステロイド内服中のもの。④EDSSスコアは、7以下に該当するもの。⑤治療薬投与前1ヶ月に再発がなく、神経学的に安定しているもの。⑥年齢:同意取得時、16歳以上、80歳以下のもの。
除外基準①リツキシマブの成分又はマウスタンパク質由来製品に対する重篤な過敏症、又はアナフィラキシー反応の既往歴のあるもの。②B型、C型肝炎ウイルス、HIVに感染している患者。活動性の感染症を有するもの。③重篤な再発性感染症歴または慢性感染症歴を有するもの。④割付前6ヶ月に生ワクチンが使用されたもの。⑤プレドニゾロン換算で1日あたり30mgを超える副腎皮質ステロイド薬を内服しているもの。⑥過去にリツキシマブやナタリズマブ等のモノクローナル抗体、またクラドリビン治療歴のあるもの⑦過去に幹細胞移植や放射線治療歴のあるもの。⑧割付前12ヶ月にミトキサントロン、シクロフォスファミド点滴の投与を受けたもの。⑨割付前6か月に免疫グロブリン大量療法、免疫調整薬を使用しているもの。⑩割付前3ヶ月にステロイド以外の経口免疫抑制剤を内服しているもの。⑪仮登録前3ヶ月にステロイド大量静注療法や血漿交換を施行しているの。⑫他の自己免疫疾患を合併し、免疫抑制剤で治療中のもの。
結果と考察
本年度の目標であった医師主導治験の実施体制の構築は順調に進んだ。治験実施体制の確立のため、開発業務受託機関CROのDOTインターナショナルとの委託契約を完了した。治験調整事務局支援業務(各種手順書等やIRB審査資料作成支援、キックオフミーティング運営管理、SAE発生時のプロセス管理、毎月の進捗管理等)、治験薬の割付業務、GCPモニタリング業務、データマネジメント業務(EDC構築や動的割付、データクリーニング、クリエ交付等)、統計解析業務等の支援を委託した。これらの中でも、EDC構築が最も時間を要し、また、医師主導治験では、各参加施設の初回IRB準備での治験責任医師の事務負担が非常に大きいことから、委託契約にその補助も含めることで速やかな進行となるよう配慮した。また、補償と賠償責任保険のついた医師主導治験保険の契約、安全性の観点から独立データモニタリング(京都大学内)設置準備、盲検化に必要な一部の検査項目(リンパ球サブセット)の外部委託、治験薬提供者である全薬工業と被験薬の無償提供・搬送の契約準備、被験者負担軽減費の準備を進めた。
希少疾患である難病患者のリクルートは最も重要であり、如何に効率よく治験情報提供出来るかが重要であることから、3月に当研究班のホームページ(www.nmo-utano.com)を開設した。これらをふまえて、3月18日UMINへの治験登録(UMIN000013453)を行った。
結論
本治験実施による薬事承認までのロードマップとしては、組み入れを平成26年度末までに終了すると、72週の治験実施期間では、平成28年度3月に総括報告書の完成、平成28年6月頃に承認申請となる予定である。希少疾患用医薬品指定申請による優先審査となれば、1年以内の承認取得が可能と思われる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-03-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201324141Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
17,760,000円
(2)補助金確定額
17,760,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,005,060円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 14,374,940円
間接経費 380,000円
合計 17,760,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
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