抗菌活性・創修復作用を有する新規ペプチドを用いた遺伝的早老症患者の難治性潰瘍治療薬の開発

文献情報

文献番号
201324136A
報告書区分
総括
研究課題名
抗菌活性・創修復作用を有する新規ペプチドを用いた遺伝的早老症患者の難治性潰瘍治療薬の開発
課題番号
H25-難治等(難)-一般-020
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
中神 啓徳(国立大学法人大阪大学 大学院大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 楽木 宏実(国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科)
  • 冨岡 英樹(アンジェスMG 株式会社)
  • 横手 幸太郎(国立大学法人千葉大学大学院医学系研究科)
  • 三木 哲郎(国立大学法人京都大学大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
85,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新規ペプチドAG (Angiogenic peptide) -30の改変型ペプチドであるSRペプチド(SR-0379)は難治性皮膚潰瘍治療を目指した外用薬開発を目指す薬剤である。SR-0379は、血管新生促進作用や肉芽形成促進作用等による創傷治癒効果と膜透過性変化による抗菌作用を併せ持ちラット感染創モデル・皮弁創モデルでフィブラストスプレーと同等あるいはそれ以上の創修復効果を認めている。ウエルナー症候群などの遺伝的早老症患者に多く合併する慢性皮膚潰瘍への適応が目標とし、将来的には糖尿病性潰瘍・熱傷・褥瘡などへの適応の拡大も視野に入れる。
研究方法
ウエルナー患者での皮膚潰瘍の成因は血流不全、骨格異常による物理的な圧迫、繊維芽細胞の増殖能低下など多因子であるが、アキレス腱部,足底部など圧のかかる部位に好発するため創傷被覆材が用いられる。この難治性潰瘍の増悪要因の一つは細菌感染による創傷治癒の遅延であるが、既存の消毒・抗菌作用をもつ薬剤は創傷治癒を遅らせる作用があり、創傷に対して治癒の促進と感染の防御との間で最適環境を整えることは難しい課題である。そのため、創傷治癒も感染防御も妨げることのない薬剤の開発は、未だに誰も着手していない領域である。SRペプチドの創修復作用と抗菌活性の両方の特性を活かしながら、我々は難治性潰瘍に対する外用薬として開発を進めている。  
現在早期探索臨床試験拠点のサポート受けながら非臨床試験を進めており、薬効試験・原薬の特性試験・薬物動態試験・原薬安定性試験・一部の刺激性試験までを終了し、今後CMC・毒性試験、刺激・感作性試験、安全性薬理試験を行いPMDAとの対面助言を経て2014年度に治験届を提出する計画である。計画している臨床試験の第1相およびIIa試験では、患者創部でのSR-0379の4週間反復経皮投与(4用量、各群3例ずつ)を行い安全性・有用性を評価する。類似薬であるフィブラストスプレーは抗菌作用をもたないことから二次感染の予防ができる薬剤としてフィブラストスプレーとの差別化できる薬剤開発を第二の目標に設定する。なお、非臨床試験は薬事法の「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」に則りGLP基準で遂行する。
結果と考察
今年度は、早期探索臨床試験拠点のサポートも受けながら非臨床試験を遂行した。ラットでの薬物動態試験において静脈内投与では半減期4.8分で消失、皮下投与においても投与後30分後には血中濃度はほぼ感度以下となったことから、局所投与薬であり全身性作用は乏しいことが分かった。ウサギの眼刺激性試験、皮膚刺激性試験においては刺激性を認めなかった。モルモット感作性試験においては、アジュバントと同時に皮下投与した群において弱い感作性を認めた。ラット4週毒性試験では最大容量まで無毒性であり、呼吸器・中枢性の安全性薬理試験でも異常を認めなかった。
PMDAに対面助言において、心血管系の安全性薬理試験追加で予定している臨床試験に対する非臨床
試験は充足していることが確認された。平成26年度からのヒト臨床試験に向けて、治験薬GMPでの
原薬・製剤検討の予備試験を行ない、医師主導治験での製剤規格・容器などを決定した。
結論
医師主導治験に必要な非臨床試験として、薬物動態試験(LC/MS/MS)、ウサギ皮膚反復刺激性試験、ラット反復毒性試験(4週間)、安全性薬理試験(中枢・呼吸系)、モルモット皮膚感作生試験を終了し、循環器系の安全性薬理試験を残すのみとなった。その予備検討として、本年度にサル毒性試験(1週間)と薬物動態試験を行なったが(非GLP)、ラットと同様の所見であった。平成26年度4月か臨床試験に向けた準備として、まずは健康人を対象としたパッチテスト予定しており、各種手順書の作成、治験薬概要書、実施計画書、症例報告書、患者説明文書などの書類作成を順次行なっている。平成26年度はこれらの準備を進め、IPB、治験届を経て、フェーズI試験としてパッチテストを施行する予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201324136Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
108,400,000円
(2)補助金確定額
108,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 36,393,421円
人件費・謝金 0円
旅費 282,540円
その他 49,017,039円
間接経費 22,707,000円
合計 108,400,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-