文献情報
文献番号
201324130A
報告書区分
総括
研究課題名
染色体微細構造異常による発達障害の実態把握と疾患特異的iPS細胞による病態解析・治療法開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-難治等(難)-一般-014
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
山本 俊至(東京女子医科大学 統合医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 岡本 伸彦(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター遺伝診療科)
- 奥村 彰久(順天堂大学医学部小児科・思春期科学教室)
- 斎藤 義朗(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター病院)
- 平澤 恭子(東京女子医科大学医学部小児科)
- 鳥巣 浩幸(九州大学医学部小児科)
- 中山 東城(東北大学医学部小児科)
- 松尾 真理(東京女子医科大学附属遺伝子医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
染色体微細構造異常症候群は、当該染色体領域に含まれた遺伝子のコピー数の増減によって症状が引き起こされる。多くの場合、当該染色体領域に含まれる複数の遺伝子によって症状の発現が複雑に規定される。従ってマウスを使ったノックアウトの手法では、多くの場合単一遺伝子の欠損によるphenotypeしか解析できないために、染色体微細構造異常の病態解析を行うのは困難であり、ほとんど研究されていないのが現状である。それに対して、疾患患者由来iPS細胞を利用すれば、患者の染色体構造異常をリアルに反映したphenotypeをin vitroで解析することが可能となる。申請者らはすでにiPS細胞を使った病態解析研究を進めているが、本研究課題に関しては「疾患特異的iPS細胞を活用した難病研究」の拠点機関と連携し、対象となる30疾患の患者さんから細胞の提供を受けて疾患iPS細胞を樹立し、将来の病態解析研究に資することを目標とする。
研究方法
研究方法は次のとおりである。
A.実態把握;本邦における染色体微細構造異常症候群の実態を把握するための疫学調査を実施する。
B.診断支援;本研究においては、臨床的に微細染色体異常症候群が疑われるも診断が確定していない患者サンプルと臨床情報を収集し、マイクロアレイ染色体検査を施行し、診断結果を提供する。
C.マイクロアレイ染色体検査の対象選定基準策定;本研究においては、要検査対象患者の選定基準について検討する。(分担;松尾)
D.各症候群のガイドライン作成;本研究においては、全30疾患を対象として診断ガイドラインと治療ガイドラインを作成し、さらに医療的管理・療育基準とリハビリ指針を作成する。
E.患者家族会設立支援;ウェブなどを利用した家族相互の連携体制を構築し、将来的には疾患毎に自立した患者会設立を目指す。
F.疾患特異的iPS細胞による病態解析と治療法研究;確実に診断された患者のうち、インフォームド・コンセントが得られた患者を対象に、疾患iPS細胞を樹立し、樹立されたiPS細胞を使って各疾患の病態解析を行うとともに、将来の治療法開発研究に備える。
A.実態把握;本邦における染色体微細構造異常症候群の実態を把握するための疫学調査を実施する。
B.診断支援;本研究においては、臨床的に微細染色体異常症候群が疑われるも診断が確定していない患者サンプルと臨床情報を収集し、マイクロアレイ染色体検査を施行し、診断結果を提供する。
C.マイクロアレイ染色体検査の対象選定基準策定;本研究においては、要検査対象患者の選定基準について検討する。(分担;松尾)
D.各症候群のガイドライン作成;本研究においては、全30疾患を対象として診断ガイドラインと治療ガイドラインを作成し、さらに医療的管理・療育基準とリハビリ指針を作成する。
E.患者家族会設立支援;ウェブなどを利用した家族相互の連携体制を構築し、将来的には疾患毎に自立した患者会設立を目指す。
F.疾患特異的iPS細胞による病態解析と治療法研究;確実に診断された患者のうち、インフォームド・コンセントが得られた患者を対象に、疾患iPS細胞を樹立し、樹立されたiPS細胞を使って各疾患の病態解析を行うとともに、将来の治療法開発研究に備える。
結果と考察
A.実態把握;マイクロアレイ染色体検査を実施している施設に聞き取り調査を行い、患者の存在を把握することができた。
B.診断支援;本年においては計193検体の解析を行った。
C.マイクロアレイ染色体検査の対象選定基準策定;「マイクロアレイ染色体検査(cytogenetic microarray)の臨床応用について」を参照した。
D.各症候群のガイドライン作成;今年度は今後のガイドライン作成のための資料とするため、本邦における各疾患患者の情報収集を行ってきた。
E.患者家族会設立支援; 1p36欠失症候群の患者家族交流会を開催した。
F.疾患特異的iPS細胞による病態解析と治療法研究;疾患iPS細胞の樹立に関して、今年度2名の患者から皮膚線維芽細胞の提供を受けた。
B.診断支援;本年においては計193検体の解析を行った。
C.マイクロアレイ染色体検査の対象選定基準策定;「マイクロアレイ染色体検査(cytogenetic microarray)の臨床応用について」を参照した。
D.各症候群のガイドライン作成;今年度は今後のガイドライン作成のための資料とするため、本邦における各疾患患者の情報収集を行ってきた。
E.患者家族会設立支援; 1p36欠失症候群の患者家族交流会を開催した。
F.疾患特異的iPS細胞による病態解析と治療法研究;疾患iPS細胞の樹立に関して、今年度2名の患者から皮膚線維芽細胞の提供を受けた。
結論
マイクロアレイ染色体検査によって明らかになる微細染色体異常について新たな症例の蓄積を行うことができた。発達障害を来す患者のうち、マイクロアレイ染色体検査によって染色体微細欠失が明らかになる例は17%であり、他施設からの報告とほぼ同等であることが示された。微細欠失の種類は様々であり、反復して認められる例は非常に稀である。
公開日・更新日
公開日
2014-07-23
更新日
2015-06-30