文献情報
文献番号
201324089A
報告書区分
総括
研究課題名
大動脈疾患症例の実態解明・効果的な進行予防・治療を目的とした全国的統一基盤システムの構築と研究
課題番号
H24-難治等(難)-一般-051
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 亨(東京大学大学院医学系研究科 ユビキタス予防医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 高本真一(三井記念病院)
- 平田恭信(東京逓信病院)
- 本村昇(東京大学医学部附属病院心臓血管外科)
- 志水秀行(慶應義塾大学医学部心臓血管外科)
- 古庄知己(信州大学医学部附属病院、臨床遺伝学)
- 澤城大悟(東京大学医学部附属病院循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,276,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
大動脈疾患は増加傾向にあり死亡率が高く、特に遺伝的な背景を有する病態は解明が進んでいない。本研究事業の目的は、家族性を含めた大動脈疾患の遺伝形式や治療反応・予後についての知見集積、症例登録の基盤整備行うことである。継続的追跡の為、全国的外科データベースである日本成人心臓血管外科学会/データベース(JACVSD)からの症例抽出を行っている。研究班は遺伝性を含めた大動脈疾患の治療に関し国内屈指の構成であり効果的なレジストリー構成や解析・提言が期待出来る。
研究方法
平成23年度から継続している後ろ向き研究:結合織疾患(遺伝性素因を含む)を背景とした大動脈瘤・解離に対する外科治療成績の検討の継続解析、及び大動脈手術症例の前向き検討の基盤整備及びデータ登録・解析が達成目標であり、JACVSDを通じた登録手術症例の解析を主体に進めた。
結果と考察
① 結合織疾患(遺伝素因)を有する大動脈瘤・解離症例・家系の集積とその継続的な経過追跡・解析を行う為のレジストリー構築に先立ち、対象疾患群の最も侵襲的治療としての外科治療成績を分析し、また本疾患群が大動脈手術のリスク要因となり得るかを検討対象課題として設定した。2008~2011初めまでの結合織疾患を有する手術症例内での比較(マルファン症候群とその他結合織疾患との比較)を更に広げ、現在、大動脈手術症例一般と結合織症例・家族歴を有する症例との比較・解析を行った。2008年~2011年までのJACVSD登録大動脈手術件数は31135件であり、そのうち結合織疾患症例は1348件であった(4.3%)。好発年齢層(結合織疾患症例は70%が60歳以下)・背景既往症・手術適応理由・手術部位・手術合併症・予後等、多岐の項目について解析を施行し、結合織疾患合併大動脈手術症例(家族性大動脈瘤・解離の最大基礎疾患であるMarfan症候群を含む)の特徴について明らかになった。
② 家族性大動脈疾患の前向きな症例集積・検討の基盤整備に関しては、まず2012年5月の班会議等、外科・内科含めた幅広い研究班参加メンバーにより登録データベースの最も効果的かつ継続可能な構築方法に関して追跡内容・規模・段階的計画にも含め討議を重ね、前向き登録研究における登録対象・評価項目・解析方法を検討した。研究班構成員在籍及び川崎幸病院の5施設にて血液データを含めた前向き検討・登録を開始する方針を決定し、2012年12月、分担研究員志水秀行先生よりJACVSDへ対して申請を行い認可された。2013.12前向き検討に際しての倫理申請を行い、2014年3月に許可が下り現在各施設での倫理申請及び症例登録・dataの蓄積を開始している(参考資料)。③2012年9月より12月にかけ、ナショナル・クリニカル・データベース(NCD) とも抽出記号化記録のストレージ・解析モジュール・ソフトの開発を依頼し開発・設置を終了していおり、さらに2013年12月より2014年3月にかけweb登録システムの開発を行い現在最終調整中である。
② 家族性大動脈疾患の前向きな症例集積・検討の基盤整備に関しては、まず2012年5月の班会議等、外科・内科含めた幅広い研究班参加メンバーにより登録データベースの最も効果的かつ継続可能な構築方法に関して追跡内容・規模・段階的計画にも含め討議を重ね、前向き登録研究における登録対象・評価項目・解析方法を検討した。研究班構成員在籍及び川崎幸病院の5施設にて血液データを含めた前向き検討・登録を開始する方針を決定し、2012年12月、分担研究員志水秀行先生よりJACVSDへ対して申請を行い認可された。2013.12前向き検討に際しての倫理申請を行い、2014年3月に許可が下り現在各施設での倫理申請及び症例登録・dataの蓄積を開始している(参考資料)。③2012年9月より12月にかけ、ナショナル・クリニカル・データベース(NCD) とも抽出記号化記録のストレージ・解析モジュール・ソフトの開発を依頼し開発・設置を終了していおり、さらに2013年12月より2014年3月にかけweb登録システムの開発を行い現在最終調整中である。
結論
今後は外科症例のみならず全日本を網羅する大動脈疾患のレジストリー構築と継続的解析を目標としている。今後、血液サンプル等バイオリソースからの遺伝子、蛋白、組織等については新規の原因可能性遺伝子を含めた解析も考慮していく。日本成人心臓血管外科データベースをもとにした大動脈瘤・解離症例レジストリー構築について本研究の成果、及び現在までの状況をまとめた。本レジストリーは日本における大動脈疾患の基盤データベースに発展可能であり今後の解析成果、また拡充が大いに期待される。
公開日・更新日
公開日
2015-06-30
更新日
-