ミトコンドリア病に合併する高乳酸血症に対するピルビン酸ナトリウム治療法の開発研究―試薬からの希少疾病治療薬開発の試み―

文献情報

文献番号
201324043A
報告書区分
総括
研究課題名
ミトコンドリア病に合併する高乳酸血症に対するピルビン酸ナトリウム治療法の開発研究―試薬からの希少疾病治療薬開発の試み―
課題番号
H24-難治等(難)-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
古賀 靖敏(久留米大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 村山 圭(千葉県立こども病院 代謝科)
  • 齋藤 伸治(名古屋市立大学院 医学研究科 )
  • 大竹 明(埼玉医科大学 小児科)
  • 藤井 克則(千葉大学大学院 医学研究院)
  • 但馬 剛(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 藤井 達哉(滋賀県立小児保健医療センター 小児科)
  • 田中 雅嗣(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 病院検査部)
  • 佐伯 武頼(熊本大学生命資源研究・支援センター  病態生化学)
  • 山口 清次(島根大学 医学部)
  • 中田 和人(筑波大学 生物系生物学科)
  • 石井 亜紀子(筑波大学 医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
239,772,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高乳酸血症の病態を踏まえた治療薬は今だ世界に存在しない。PAは生体内物質であり、1990年代には肥満症に対しては、体重減少と共に高脂血症が改善するサプリメントとして使用されている(Am J C/In Nutr 1994;59:423-7)。また、心筋梗塞、脳梗塞などの急性期患者にカテーテル先端からの静注療法が臨床研究され、その有効性が報告された(Lancet. 1999;353(9161):1321-3)。PAは、体外循環の組成(Experimental Biology and Medicine 2005, 230:435-443.)や臓器移植の保存液にも広く使用されている。ミトコンドリア病では、高乳酸血症の程度が高度であるほど臨床的に重症で死亡率も高くなる事が示され(Neurology 2011;77:1965–1971)、高乳酸血症を治療することがミトコンドリア病の重症度を軽減できると考えられるようになった。我々は、ミトコンドリア病での臨床研究から、PAが高乳酸血症を軽減するのみでなく、臨床的にもその重症度を軽くするという知見を得た。このような世界情勢の中で、本研究は、先天性高乳酸血症の病態を踏まえた新しい治療薬の開発を目的としている。
研究方法
1)GMP原薬の規格および試験方法の設定、および原薬の予備安定性試験の実施:GMP原薬は塩野フィネス社で生成し、原体の予備安定性試験、加速、過酷試験を完了した。
2)第1相試験移行のための非臨床試験の実施:PMDAに相談の上で、上市するのに必要な非臨床試験のデータセットについて新日本科学株式会社で実施した。
3)第1相試験の試験計画の策定と治験相談の実施:安全性及び忍容性の推測および薬物動態を確認するために、健康な成人ボランティア(通常は男性)10名に対してPAを投与し、その安全性(人体に副作用は無いか)を中心に、薬物動態を確認する。プロトコールについては、過去の自主臨床試験のデータを基に、PMDAの対面助言相談で実施確定した。
4)第1相試験の実施:薬事戦略相談の指導を受けて実施計画を策定し、久留米臨床薬理クリニックを実施施設として平成26年3月20日から実施している。
結果と考察
1)治験薬GMP 製造・過酷試験結果:原薬製造メーカーである塩野フィネス(株)とGMP製造委託契約を結び、原薬および最終製剤の暫定規格、規格設定し、安定性試験を終了した。2年間の安定性に何ら問題はなかった。
2)非臨床試験の実施:「first in man」の医薬品を、試薬から開発するために、非臨床試験のデータセットの実施が必要であった。このために、戦略薬事相談を行って、必須項目のデータセットについて、(株)新日本科学に委託して、上市するのに必要なすべての非臨床試験を実施した。
3)治験薬概要書(初版):非臨床試験データでの有用な情報をは、治験薬概要書(初版)として作成した。
4)第1相試験実施:治験届を提出したのち、平成26年3月20日より第1相試験を実施した。
結論
世界初の高乳酸血症治療薬を開発する目的で、試薬特級品であるPAを出発点として、ステップ1の研究を行っている。上市に必要な非臨床試験のデータセットについては、すべての試験を(株)新日本科学に委託し、PMDAに相談の上で、必要十分な項目の研究が進んでおり、現在進行中の2試験(ラットにおける生殖細胞系列への影響、妊娠ラットにおける安全性)を除き、すべて終了し、その安全性、毒性になんら問題は見られていない。GMP原薬の製造は、塩野フィネス(株)が製造し、純度及び安定性に関し、問題なく、Phase1試験の被験薬として準備できている。安定性についても過酷試験のデータが終了し、3ロットすべてが、Phase1試験の全期間をカバーしている。自主臨床研究として、全国の実態調査を行ったが、主な対象疾患がLeigh脳症であったが、主治医の印象はほとんどが有効という判断であった。用法用量のまとめと有害事象については、今後のPhase2/3の試験に反映する必要があり、プロトコール作成時に考慮する。Phase1試験の申請は平成26年2月20日に提出しており、疑義照会も終了している。平成26年3月20日から実施予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201324043Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
25,176,000円
(2)補助金確定額
25,176,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 24,504,956円
人件費・謝金 7,131,039円
旅費 1,780,980円
その他 206,355,034円
間接経費 11,988,000円
合計 251,760,009円

備考

備考
9円は自己資金です。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-