文献情報
文献番号
201324016A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究
課題番号
H23-難治-一般-013
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
山田 正仁(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
研究分担者(所属機関)
- 水澤 英洋(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
- 八谷 如美(東京医科大学 医学部)
- 作道 章一(琉球大学医学部 保健学科)
- 坂口 末廣(徳島大学 疾患酵素学研究センター)
- 横山 隆(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所)
- 毛利 資郎(東北大学 大学院医学系研究科)
- 竹内 敦子(東北大学 大学院医学系研究科)
- 堂浦 克美(東北大学 大学院医学系研究科)
- 鈴木元治郎(独立行政法人理化学研究所)
- 桑田 一夫(岐阜大学 大学院連合創薬医療情報研究科)
- 堀内 浩幸(広島大学 大学院生物圏科学研究科)
- 西田 教行(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 堀内 基広(北海道大学 大学院獣医学研究科 )
- 佐々木真理(岩手医科大学 医歯薬総合研究所)
- 齊藤 延人(東京大学 医学部附属病院)
- 岩崎 靖(愛知医科大学 加齢医科学研究所)
- 高尾 昌樹(東京都健康長寿医療センター 研究所)
- 坪井 義夫(福岡大学 医学部 )
- 桶本 優子(中村 優子)(国立感染症研究所 細胞化学部)
- 濱口 毅(金沢大学 附属病院 )
- 細矢 光亮(福島県立医科大学 医学部 )
- 長谷川俊史(山口大学 大学院医学系研究科 )
- 楠原 浩一(産業医科大学 医学部 )
- 堀田 博(神戸大学 大学院医学研究科 )
- 柳 雄介(九州大学 大学院医学研究院 )
- 野村 恵子(熊本大学 医学部附属病院 )
- 岡 明(東京大学 大学院医学系研究科 )
- 吉永 治美(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 )
- 鈴木 保宏(大阪府立母子保健総合医療センター 小児神経科)
- 砂川 富正 (国立感染症研究所 感染症疫学センター)
- 澤 洋文 (北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター )
- 西條 政幸 (国立感染症研究所 ウイルス第一部)
- 三浦 義治(東京都立駒込病院 脳神経内科)
- 原 由紀子(杏林大学 医学部 )
- 長嶋 和郎(北海道大学 大学院医学研究科 )
- 雪竹 基弘(佐賀大学 医学部 )
- 奴久妻聡一(神戸市環境保健研究所 感染症部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
69,539,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
致死的な神経感染症であるプリオン病、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、進行性多巣性白質脳症(PML)の3疾患について、感染及び発症機構、疫学及び臨床病態を解明し、早期診断法、治療法、感染及び発症予防法を確立することを目的とした。
研究方法
臨床医、基礎研究者、獣医学者等を結集した融合的研究組織を構築、疾患ごとに分科会を設置し、疫学・臨床病態、分子病態解明、診断法開発、治療・予防法開発研究を推進した。関連研究班と連携し、国際共同研究を行った。さらに、診療ガイドライン整備に取り組んだ。
結果と考察
(1) プリオン病:疫学・臨床病態では、本症2162例のデータを解析し、硬膜移植後Creutzfeldt-Jakob病(CJD)例におけるプリオンの脳内進展様式等を報告した。診断法開発では、脳脊髄液中の感染型プリオン蛋白(PrPSc)を検出する画期的診断法として開発したRT-QuICの国際共同研究による有用性検証、MRI経時変化の自動検出プログラム開発等を報告した。基礎研究では、酵母プリオンタンパク質の凝集体と結合するMlpタンパク質の発見、プリオン病の神経細胞死におけるポストゴルジ小胞輸送障害の役割、種々のプリオン感染モデルとして有用なBvPrP遺伝子導入マウスの確立等を報告した。治療法開発では、プリオン病患者に対するペントサンポリ硫酸(PPS)脳室内投与による臨床試験の結果を評価し、新たな臨床試験のためのプリオン病コンソーシアム(JACOP)においてプリオン病自然歴登録を開始、糖誘導体等の抗プリオン化合物の作用機序研究等で成果を得た。
(2) SSPE:2012年全国調査で同定された88名の患者の臨床的特徴の解析、トルコ共和国との共同研究による検体収集を含む臨床病態の解析を行った。SSPEウイルスに認められる膜融合を促進させるF蛋白質変異等の意義を解明した。皮下埋め込み型持続輸注ポンプによるリバビリン脳室内持続投与療法の臨床試験を継続し、リバビリン代謝産物T-CONH2の抗ウイルス効果を明らかにした。
(3) PML:JCウイルス(JCV)ゲノム検査を介した全国サーベイランスで7年間に99名の患者を確認し、最近のPML発症の背景や臨床的特徴を明らかにした。JCVのagnoproteinに結合する宿主タンパク質AP3D、JCV感染が成立するoligodendroglioma細胞株、TNF-αのJCV増殖促進作用、これらの治療薬開発上の有用性を示した。
(4) 診療ガイドラインの整備等:3対象疾患それぞれの分科会において診療ガイドライン作成等を推進し、『プリオン病診療ガイドライン2014』を平成26年3月に冊子体として、及び研究班ホームページ(http://prion.umin.jp/)上に公表した。
(2) SSPE:2012年全国調査で同定された88名の患者の臨床的特徴の解析、トルコ共和国との共同研究による検体収集を含む臨床病態の解析を行った。SSPEウイルスに認められる膜融合を促進させるF蛋白質変異等の意義を解明した。皮下埋め込み型持続輸注ポンプによるリバビリン脳室内持続投与療法の臨床試験を継続し、リバビリン代謝産物T-CONH2の抗ウイルス効果を明らかにした。
(3) PML:JCウイルス(JCV)ゲノム検査を介した全国サーベイランスで7年間に99名の患者を確認し、最近のPML発症の背景や臨床的特徴を明らかにした。JCVのagnoproteinに結合する宿主タンパク質AP3D、JCV感染が成立するoligodendroglioma細胞株、TNF-αのJCV増殖促進作用、これらの治療薬開発上の有用性を示した。
(4) 診療ガイドラインの整備等:3対象疾患それぞれの分科会において診療ガイドライン作成等を推進し、『プリオン病診療ガイドライン2014』を平成26年3月に冊子体として、及び研究班ホームページ(http://prion.umin.jp/)上に公表した。
結論
プリオン病、SSPE、PMLについて、感染・発症機構及び疫学・臨床病態の解明研究、早期診断法及び治療・予防法の開発研究、ガイドライン出版等で成果を得た。
公開日・更新日
公開日
2014-07-23
更新日
2015-06-30