健康づくりの長寿に及ぼす影響に関する研究(コホート研究)

文献情報

文献番号
199800264A
報告書区分
総括
研究課題名
健康づくりの長寿に及ぼす影響に関する研究(コホート研究)
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
久我 正(財団法人愛知県健康づくり振興事業団健康科学館長)
研究分担者(所属機関)
  • 久繁哲徳(徳島大学教授)
  • 加藤昌弘(愛知県衛生部保健予防課課長)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
4,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、健康づくり施策が個人のQOLや医療費等、さらには長寿にどのように影響するのかについて分析することを目的とした。
研究方法
健康づくり施策を積極的に行っている2市町と、2市町と同人口規模の対照地区に住む、平成4年時に40歳以上であった住民に対し、3年ごとにアンケート調査を行った。またこの結果と、医療費、健康づくり施策との関連について検討を行った。
結果と考察
1)アンケート調査における2町間のQOLに関する質問項目の運動習慣、食習慣については、変化がみられなかった。一方、2町間の保健事業については、あいち健康の森が所在する東浦町の参加率に増加がみられた。2)医療費との関連要因について、総医療費の増加要因は、高齢、既往歴、生活の質(身の回り、移動、痛み)が推定された。このことについて、既往歴の多くが慢性疾患であるため医療費の増加要因となっていることや、生活の質と疾患との関連が強く、医療費増加要因になっていることが考えられた。医療費の減少要因は、女性、生活の質(問題解決能力、幸福感)、保健サービス(短期入所、デイサービス、人間ドック)が推定された。生活の質が減少要因となった理由は、これらがいずれも自己の客観的評価とつながっており、身体的な健康障害とは直接結びついていないためと考えた。保健サービスが減少要因となっているのは、これらのサービスを受ける人は、比較的健康な人が利用するサービスであるためであると考えた。3)「健康に関する意識・行動」に関するアンケート調査結果については、市町間に差がみられなかった。この理由は、本研究への参加者に対し、健康づくりに関する介入を強制することができなかったことや、介入状況の把握が不十分だったこと、マスメディアを通じで提供される多くの情報の影響を排除できないことなどが考えられた。一方、人口一人当たりの老人保健事業及び健康づくり事業費の多い東浦町は、一人当たりの年間医療費が最も少なく、積極的な健康づくり介入が、医療費の増加を抑えることにつながると考えた。
結論
1)東浦町と幸田町のアンケート調査の経年的変化について、運動習慣や食習慣の項目では両町間に差がみられなかったものの、保健事業については、東浦町の参加率が増加した。2)医療費の関係要因については、総医療費の増加要因として、高齢、既往歴、生活の質(身の回り、移動、痛み)、生活習慣(牛乳摂取)、保健サービスが推定された。また、総医療費の減少要因としては、女性、生活の質(問題解決能力、幸福感)、保健サービス(短期入所、デイサービス、人間ドック)が推定された。3)入院費、入院外費に関しては、総医療費と共通する要因が認められた。4)保健事業に関する人口一人当たりの事業費の多い東浦町が、年間医療費が最も少ない結果であり、積極的な健康づくり介入が医療費の増加を抑えることにつながると考えられる。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-