文献情報
文献番号
201324004A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性造血障害に関する調査研究
課題番号
H23-難治-一般-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
黒川 峰夫(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 小澤 敬也(自治医科大学医学部)
- 金倉 譲(大阪大学大学院医学系研究科)
- 中尾 眞二(金沢大学医薬保健研究域)
- 澤田 賢一(秋田大学医学部)
- 赤司 浩一(九州大学大学院医学研究院)
- 宮崎 泰司(長崎大学原爆後障害医療研究所原爆・ヒバクシャ医療部門)
- 高折 晃史(京都大学大学院医学研究科)
- 岡本真一郎(慶應義塾大学医学部)
- 中畑 龍俊(京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門)
- 冨田 章裕(名古屋大学大学院医学系研究科)
- 太田 晶子(埼玉医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
49,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班では再生不良性貧血、溶血性貧血、骨髄異形成症候群、骨髄線維症の4疾患を主な対象として、今までの調査研究を発展させつつ、先進性や国際化の視点をとりいれて本領域の疫学・病因・病態・診断・治療・予後などを包摂した研究を推進する。わが国を代表する専門医の力を結集し、疫学の専門家、全国の診療施設や関係学会の参加の下に、小児・成人にわたり本疾患群の全容解明を目指して基礎・臨床双方からのアプローチと大規模な研究推進を行う。
研究方法
1. 再生不良性貧血(再不貧):①病態に関与する自己抗原の同定をめざす。②赤芽球癆の病因解明と標準療法確立のために前方視的登録システムを構築する。③小児例の実態調査を進め、病態や治療反応性を成人と比較する。④疾患iPS細胞を作製し、病態解明と治療法開発を目指す。⑤臨床調査個人票の解析を進める。
2. 溶血性貧血:①発作性夜間血色素尿症(PNH)に関して、国際会議や本邦の研究会と連携し診断検査の一元化や全国の患者登録体制を確立する。新規補体阻害剤の治療最適化の解析を進める。PNHクローン拡大機序に関する研究を行う。②自己免疫性溶血性貧血の臨床背景の解析を行う。
3. 骨髄異形成症候群:①一元的登録、形態セントラル・レビューを推進・解析する。②輸血後鉄過剰症に対するキレート療法の造血改善効果を検討する。③輸血歴のない患者における鉄動態を調査する。④国際予後予測システムの国内症例における有用性を検証する。⑤末梢血遊離DNAを用いた遺伝子異常の検出系を確立する。⑥小児期発症の各種造血不全の病態や治療に対する反応性を明らかにする。疾患iPS細胞を用いて病態解明と治療法開発を目指す。⑦新規薬剤の効果を検討し、有効性と相関するバイオマーカーを探索する。⑧DNAメチル化阻害剤の移植前後への応用を検討する。
4. 骨髄線維症:現行の前方視的患者登録を継続・発展させる。①「前線維期」の骨髄線維症の調査を行う。②前方視的登録症例登録を継続する。③治療実態の把握と、造血幹細胞移植の治療成績を明らかにする。④自覚症状調査を行う。⑤2次性骨髄線維症についても調査を行う。⑥ヒト化マウスを用いて、造血細胞と間質細胞が病態形成に果たす役割を明らかにする。
5. その他:造血幹細胞移植の成績を、移植時のco-morbidityの程度と移植後後期のQOLを含めて調査する。
2. 溶血性貧血:①発作性夜間血色素尿症(PNH)に関して、国際会議や本邦の研究会と連携し診断検査の一元化や全国の患者登録体制を確立する。新規補体阻害剤の治療最適化の解析を進める。PNHクローン拡大機序に関する研究を行う。②自己免疫性溶血性貧血の臨床背景の解析を行う。
3. 骨髄異形成症候群:①一元的登録、形態セントラル・レビューを推進・解析する。②輸血後鉄過剰症に対するキレート療法の造血改善効果を検討する。③輸血歴のない患者における鉄動態を調査する。④国際予後予測システムの国内症例における有用性を検証する。⑤末梢血遊離DNAを用いた遺伝子異常の検出系を確立する。⑥小児期発症の各種造血不全の病態や治療に対する反応性を明らかにする。疾患iPS細胞を用いて病態解明と治療法開発を目指す。⑦新規薬剤の効果を検討し、有効性と相関するバイオマーカーを探索する。⑧DNAメチル化阻害剤の移植前後への応用を検討する。
4. 骨髄線維症:現行の前方視的患者登録を継続・発展させる。①「前線維期」の骨髄線維症の調査を行う。②前方視的登録症例登録を継続する。③治療実態の把握と、造血幹細胞移植の治療成績を明らかにする。④自覚症状調査を行う。⑤2次性骨髄線維症についても調査を行う。⑥ヒト化マウスを用いて、造血細胞と間質細胞が病態形成に果たす役割を明らかにする。
5. その他:造血幹細胞移植の成績を、移植時のco-morbidityの程度と移植後後期のQOLを含めて調査する。
結果と考察
再不貧の領域では、疫学調査による診断・治療実態の把握、成人・小児例の比較と小児例の実態調査、発症に関与する自己抗原の特定が進み、その意義を明らかにした。赤芽球癆について再発・難治症例の治療確立に向けた疫学研究を行った。
溶血性貧血の領域では、発作性夜間血色素尿症(PNH)では国際PNH専門家会議や、日本PNH研究会との連携による全国規模の患者登録体制の確立、診断検査の一元化と抗体医薬の使用法の標準化、不応例の解析、進展の機序解明を行った。自己免疫性溶血性貧血の特殊例や難治例の解析を進めた。
骨髄異形成症候群の領域では、形態診断の中央診断を伴う一元登録と追跡調査を進め、病型診断、予後予測、治療効果を解析した。予後予測システムに関する国際共同研究への中核的参加と本邦症例での検討を行った。細胞形態学的異形成の系統と血球減少の関係や、MDS患者のエリスロポエチン値、輸血後鉄過剰症や未輸血患者の体内鉄動態などの調査を通じた病態研究を行った。低形成性MDSの疫学、チロシンキナーゼ阻害剤使用後染色体異常に関して全国調査を行った。末梢血遊離DNAを用いた変異解析やNTBIおよびヘプシジンの測定系の確立など、診断技術の開発も促進した。鉄芽球性貧血、輸血後鉄過剰症や未輸血患者の体内鉄動態、RUNX1変異とBMI1などの転写因子等の解析を通じて、病態の解明を進めた。脱メチル化剤、造血幹細胞移植の役割など治療の最適化の検討も進めた。
骨髄線維症の領域では、前方視的患者登録の継続、適切な治療法の選択や予後予測因子の検証、患者の自覚症状の調査を行った。2次性骨髄線維症についても調査を行った。JAK2遺伝子変異の検出法の開発を行った。
造血幹細胞移植の領域では、MDSにおいて新規薬剤を用いた移植前処置の開発を進めた。実際の移植の達成率を検討する調査やMDSに対する骨髄非破壊的移植の検討を行った。
小児科領域では、先天性疾患からのiPS細胞の樹立による基礎的な検討と、中央診断システムを通じた疫学的検討を通じた両面から病態の把握を行った。
溶血性貧血の領域では、発作性夜間血色素尿症(PNH)では国際PNH専門家会議や、日本PNH研究会との連携による全国規模の患者登録体制の確立、診断検査の一元化と抗体医薬の使用法の標準化、不応例の解析、進展の機序解明を行った。自己免疫性溶血性貧血の特殊例や難治例の解析を進めた。
骨髄異形成症候群の領域では、形態診断の中央診断を伴う一元登録と追跡調査を進め、病型診断、予後予測、治療効果を解析した。予後予測システムに関する国際共同研究への中核的参加と本邦症例での検討を行った。細胞形態学的異形成の系統と血球減少の関係や、MDS患者のエリスロポエチン値、輸血後鉄過剰症や未輸血患者の体内鉄動態などの調査を通じた病態研究を行った。低形成性MDSの疫学、チロシンキナーゼ阻害剤使用後染色体異常に関して全国調査を行った。末梢血遊離DNAを用いた変異解析やNTBIおよびヘプシジンの測定系の確立など、診断技術の開発も促進した。鉄芽球性貧血、輸血後鉄過剰症や未輸血患者の体内鉄動態、RUNX1変異とBMI1などの転写因子等の解析を通じて、病態の解明を進めた。脱メチル化剤、造血幹細胞移植の役割など治療の最適化の検討も進めた。
骨髄線維症の領域では、前方視的患者登録の継続、適切な治療法の選択や予後予測因子の検証、患者の自覚症状の調査を行った。2次性骨髄線維症についても調査を行った。JAK2遺伝子変異の検出法の開発を行った。
造血幹細胞移植の領域では、MDSにおいて新規薬剤を用いた移植前処置の開発を進めた。実際の移植の達成率を検討する調査やMDSに対する骨髄非破壊的移植の検討を行った。
小児科領域では、先天性疾患からのiPS細胞の樹立による基礎的な検討と、中央診断システムを通じた疫学的検討を通じた両面から病態の把握を行った。
結論
3年間の当研究班での研究成果や海外からの最新の知見を盛り込み、特発性造血障害領域の「診療の参照ガイド」の改訂作業を行った。これはweb上に公開を行うことによって、広く医療の現場で利用できるようにした。また、研究成果を国民へ還元するために、市民公開講座を開催した。
公開日・更新日
公開日
2014-07-23
更新日
2015-06-30