第三世代・第四世代膵島分離法を用いた臨床膵島移植の実施

文献情報

文献番号
201322034A
報告書区分
総括
研究課題名
第三世代・第四世代膵島分離法を用いた臨床膵島移植の実施
課題番号
H25-難治等(免)-一般-103
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
野口 洋文(千葉東病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 藤原俊義(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 霜田雅之(国立国際医療研究センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
9,200,000円
研究者交替、所属機関変更
 研究代表者の野口洋文は研究申請時に岡山大学所属であったが、臨床膵島移植が同施設で困難となったため、膵島移植認定施設である千葉東病院へ平成25年7月に移動した。それに伴い、岡山大学教授であった藤原俊義は分担金0円、エフォート0%と変更になった。平成26年度より藤原俊義は研究分担者より外れた。

研究報告書(概要版)

研究目的
 膵島移植は、インスリン依存状態糖尿病(主に1型糖尿病)に対する治療法であり、局所麻酔下にて膵島を経門脈的に注入するため、膵臓移植に比べ低侵襲で安全性が高いことが特徴である。研究代表者はハーバード大学、京都大学、ベイラー研究所で合計100例以上のヒト膵島分離を実施しており、第三世代膵島分離法を確立した。第三世代膵島分離法とは、1)膵管保護、2)二層法保存、3)新規臓器保存液、4)比重コントロールによる膵島純化、5)膵島追加純化、6)分離膵島低温保存、の6つの技術改変を行っており、分離成功率(膵島分離を実施して移植に至る確率)は80%以上、インスリン離脱率が単回移植で100%となった。本研究では平成25年度、26年度に第三世代膵島分離技術を用いた臨床膵島移植を日本で実施するとともに、現在開発中の第四世代分離法を最終年度の平成27年度に臨床実施することを目的としている。第四世代分離法とは、1)膵管保護溶液にJNK抑制ペプチドを添加、2)新規臓器保存液(HN-1溶液)の使用、3)連続比重・密度勾配による純化、の3つの技術改変を加えたものである。本申請は3年の研究計画であるが、ヒト膵島分離を共同研究者の国立国際医療研究センターとともに、年間1-3例行う予定にしている。
研究方法
 本研究では、第三世代膵島分離法を用いて臨床膵島移植を行うとともに、現在、研究開発を行っている「第四世代膵島分離法」を完成させ、平成27年度にこの技術を用いた臨床膵島移植を実施することを目的としている。「第四世代膵島分離法」の技術開発は日本学術振興会科学研究費(基盤B 平成24年-26年)のもと、ブタ膵を用いて現在行われており、この開発研究自体には本研究費は使用しない。本研究費は臨床膵島移植を実施するために使用される。
 <平成25年度計画:第三世代膵島分離法を用いた臨床膵島移植の実施>
第三世代膵島分離法は申請代表者が京都大学所属時およびベイラー研究所所属時に中心となって研究開発した技術である。具体的には、
1)膵管保護
2)二層法保存
3)新規臓器保存液
4)比重コントロールによる膵島純化
5)膵島追加純化
6)分離膵島低温保存
の6つの膵島分離技術の改変を行っている。この技術はすでにベイラー研究所で臨床実施されており、分離成功率は80%を超え、インスリン離脱率が単回移植で100%であった。欧米の標準施設では分離成功率は30-50%であり、インスリン離脱率は単回移植で10%(複数回移植で80%)であることを考慮すると、申請代表者の技術が世界最高水準であるといえる。また、臨床実施されていることからもわかるように、この技術の安全性はすでに確認されている。
申請代表者は京都大学およびベイラー研究所で膵島移植のプロジェクトを立ち上げる際、クリーンルーム内での膵島分離を行う際の標準作業手順書(Standard Operating Procedure: SOP)作成を行った経験を持つ。千葉東病院でもすでに手順書作成は終了しており、いつでも膵島分離ができる体制となっている。また、千葉東病院では、クリーンルームと同じ形態の部屋を研究室に設置し、イヌおよびブタ膵を用いて膵島分離のトレーニングを行っている。
 国立国際医療研究センターでは独自の膵島分離法で膵島移植を実施する計画となっており、本年はその準備を行っている状況である。
結果と考察
 平成25年度は研究代表者が所属している千葉東病院で2例の膵島移植を実施することができ、また、京都大学、大阪大学での臨床膵島分離作業にも携わり、千葉東病院の症例も併せて5回の臨床膵島分離を行い、移植を4回実施した。当初の計画より多い症例数を実施することが可能であった。
結論
 平成25年度は当初の計画よりも多くの移植を実施することが可能であり、良好な研究成果であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201322034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,580,000円
(2)補助金確定額
10,580,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,188,660円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 11,340円
間接経費 1,380,000円
合計 10,580,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2014-06-18
更新日
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