文献情報
文献番号
201322031A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー疾患におけるダニ抗原標準化の研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-難治等(免)-一般-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 公裕(日本医科大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 岡本美孝(千葉大学 大学院医学研究院)
- 永田 真(埼玉医科大学 医学部)
- 増山敬祐(山梨大学 医学工学総合研究部)
- 高井敏朗(順天堂大学 アトピー疾患センター)
- 阪口雅弘(麻布大学 獣医学部)
- 福冨友馬(国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
6,667,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
アレルギー疾患の診断(皮膚テスト)、治療(アレルゲン免疫療法)において原因物質の同定は欠かせない。アレルゲン(抗原)は主要アレルゲンが適切に含まれ、標準化されたものが疾患の標準的診断、治療に求められるべきであることが国内外のガイドラインにも記載されている。主要アレルゲン濃度や患者プール血清だけによる規格としてAU(Allergy Unit)、BAU(Bioequivalent Allergy Unit)などが国際的に存在する。日本で初めての標準化を行ったスギ花粉抗原では患者の閾値を1JAU(Japanese Allergology Unit)として標準化し、その上で、プール血清によるRAST抑制法、IgE結合活性やメジャーアレルゲン濃度を決定して、最終的な標準品を作成した。今回、我々はダニ抗原に対する標準化を試みようとするものである。さらにスギ、ダニに引き続き、種々のアレルゲンに対しての標準化の指標となり得るものである。
研究方法
抗原の標準化には日本独自のin vivoの試験とin vitroの試験が組み合わせて行われ、Japanese Allergology Unit(JAU)と力価の単位が決定されている。標準化されたアレルゲンを標準品と定め、以降この標準品との一致性により抗原エキスが作成されるのである。対象はダニに感作された患者で、ヤケヒョウヒダニあるいはコナヒョウヒダニの特異的IgEがクラス2以上の症例である。
①in vivo試験
皮膚テストではデンマークALK-Abello社のStandardized Mite Extracts Mixed Miteを3倍希釈の細かい希釈倍率のアレルゲンエキスを3-19倍希釈まで作成し、閾値検査用試薬とした。この希釈段階でのダニ皮膚閾値検査であり、患者の閾値を同定し、その濃度を1JAUとした。
②in vitro試験
ダニRAST4以上の患者のプール血清で試験を行った。まず主要アレルゲン特異的抗体、Der P1抗体あるいはDer P2抗体を用いたサンドイッチELISAにて含有主要アレルゲン量を決定する。次にプール患者血清を用いたIgE結合阻害試験によりその力価を測定する。血清に標識したダニ抗原エキスを結合させ、それを別のダニアレルゲンエキスで抑制させるものである。
①in vivo試験
皮膚テストではデンマークALK-Abello社のStandardized Mite Extracts Mixed Miteを3倍希釈の細かい希釈倍率のアレルゲンエキスを3-19倍希釈まで作成し、閾値検査用試薬とした。この希釈段階でのダニ皮膚閾値検査であり、患者の閾値を同定し、その濃度を1JAUとした。
②in vitro試験
ダニRAST4以上の患者のプール血清で試験を行った。まず主要アレルゲン特異的抗体、Der P1抗体あるいはDer P2抗体を用いたサンドイッチELISAにて含有主要アレルゲン量を決定する。次にプール患者血清を用いたIgE結合阻害試験によりその力価を測定する。血清に標識したダニ抗原エキスを結合させ、それを別のダニアレルゲンエキスで抑制させるものである。
結果と考察
①in vivo試験
検査実施症例は52症例で、51症例が解析対象者となった。平均のRASTスコアはコナヒョウヒダニ3.31、ヤケヒョウヒダニ3.18だった。Standardized Mite Extracts Mixed Miteに対する皮膚反応閾値検査は平均閾値-13.22であった。この結果-13~-15までは標準品100,000JAU/mlが同定された。結果として閾値である100,000JAU/mlの-13.22乗は0.049JAU/mlとなった。
②in vitiro試験
IgE結合阻害試験により算出したエキスの相対力価とグループ1主要アレルゲン(Der 1量=Der f 1+Der p 1)との相関は極めて高かった。よってDer 1量によってエキス力価を標準化が可能であった。
日本においてこのアレルゲン標準化は皮内テスト、スクラッチテストなどの診断、皮下注射による舌下を含めたアレルゲン免疫療法にも重要な役割を担うものである。このように今回のダニ抗原の標準化は正しい診断、適正なアレルゲン免疫療法による確実な患者治療を実践させうる重要な課題であり、今後種々の抗原に対しての標準化の指標となり得るものである。
検査実施症例は52症例で、51症例が解析対象者となった。平均のRASTスコアはコナヒョウヒダニ3.31、ヤケヒョウヒダニ3.18だった。Standardized Mite Extracts Mixed Miteに対する皮膚反応閾値検査は平均閾値-13.22であった。この結果-13~-15までは標準品100,000JAU/mlが同定された。結果として閾値である100,000JAU/mlの-13.22乗は0.049JAU/mlとなった。
②in vitiro試験
IgE結合阻害試験により算出したエキスの相対力価とグループ1主要アレルゲン(Der 1量=Der f 1+Der p 1)との相関は極めて高かった。よってDer 1量によってエキス力価を標準化が可能であった。
日本においてこのアレルゲン標準化は皮内テスト、スクラッチテストなどの診断、皮下注射による舌下を含めたアレルゲン免疫療法にも重要な役割を担うものである。このように今回のダニ抗原の標準化は正しい診断、適正なアレルゲン免疫療法による確実な患者治療を実践させうる重要な課題であり、今後種々の抗原に対しての標準化の指標となり得るものである。
結論
アレルギー疾患診療における抗原の標準化は適正な医療を考えるうえで、診断、治療において重要である。今回、我々は通年性アレルギー性鼻炎や喘息、アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患共通の通年性アレルゲンであるダニの標準化を行った。その結果Standardized Mite Extracts Mixed Miteは日本において100,000 JAU(Japanese Allergology Unit)と診断され、その結果はin vitroの研究でも支持された。どのような抗原が日本に輸入されても標準品があれば、新しい抗原エキスもJAUに読み替える事が可能になり、診療の幅が広がった。このアレルゲン標準化の方法論を持って、今後の新たな抗原に関しても標準化していきたい。
公開日・更新日
公開日
2014-07-31
更新日
-