抗C型肝炎ウイルス活性と高いインターフェロン誘導能を併せ持つ高機能型核酸医薬の創製に関する研究 

文献情報

文献番号
201320029A
報告書区分
総括
研究課題名
抗C型肝炎ウイルス活性と高いインターフェロン誘導能を併せ持つ高機能型核酸医薬の創製に関する研究 
課題番号
H24-肝炎-若手-009
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
山口 朋子(独立行政法人医薬基盤研究所 創薬基盤研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 櫻井 文教(大阪大学大学院 薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、抗HCV薬としてSmall Interfering RNA (siRNA)やLocked Nucleic Acid (LNA)などの核酸医薬が注目され、臨床試験でも優れた治療効果が得られている。しかし既存の核酸医薬は、副作用軽減のため自然免疫を活性化しないよう設計されており、患者の免疫機能が活用されていない。優れた核酸医薬を開発するには、免疫賦活化能を付与する必要がある。そこで、本研究では、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染を抑制可能な核酸医薬を化学修飾することで、本来の抗HCV活性に加えて、インターフェロン(IFN)を誘導可能な我が国独自の高機能型核酸医薬を創製することを目的とする。
研究方法
IFNを高効率に誘導かつ複数のHCV遺伝子を同時にノックダウン可能なsiRNAの開発;HCVゲノム5’非翻訳領域を標的としたsiRNA配列の選択を行い、5’末端に3リン酸基を有した分岐型siRNA(3ptsiRNA)を作製した。その後、Huh7.5.1 1b Feo細胞などを用いて、3ptsiRNAのノックダウン効率に関する検討およびIFN誘導能に関する評価を行った。また、昨年度開発したLNA122-DSを用いて、同様の検討を行った。
IL28B遺伝子に一遺伝子多型(SNP)を有するヒトiPS細胞由来肝細胞におけるIFN誘導能;近年、IL28遺伝子のSNPとIFN・リバビリン療法による治療効果との関連について多くの報告がなされているが、IL28B遺伝子のSNPが自然免疫活性化能とも関連する報告がある。そこで、新規HCV感染評価系として注目されるiPS細胞におけるIL28B遺伝子のSNPについて解析した。
結果と考察
今年度は、複数の標的遺伝子をノックダウン可能な分岐型Small interfering RNA (siRNA)を開発し、その効果について検討した。その結果、5’末端に3リン酸基を持つ分岐型siRNA(3ptsiRNA)は、高効率にI型IFNを誘導可能であるとともに、従来のsiRNAと同程度のノックダウン効率を示した。また、自然免疫活性化によるIFN誘導効率にIL28B遺伝子の一遺伝子多型(Single Nucleotide Polymorphism; SNP)が関与する可能性が示唆されいる。そこで、新規HCV感染評価系として注目されるiPS細胞におけるIL28B遺伝子のSNPについて解析した結果、各iPS細胞株で異なるSNPを有していることが明らかとなった。さらに、LNA122-DSのHCV増殖抑制効果について検討した結果、I型IFNの発現を誘導しないHuh7.5.1 1b Feo細胞においても、従来のmiR-122に対する従来のアンチセンスオリゴヌクレオチドよりも高いHCVレプリコン抑制効果を示した。
結論
1. 5’末端に3リン酸基を持つ分岐型siRNAである3ptsiRNAを開発した。3ptsiRNAは、高効率にI型IFNを誘導可能であるとともに、従来のsiRNAと同程度のノックダウン効率を示した。
2. 各種ヒトiPS細胞におけるIL28B遺伝子近傍のSNPを解析したところ、各細胞株で異なるSNPを有していることが明らかとなった。
3. LNA122-DSは、Hec1B/miR-122細胞において1型IFNならびにISGの発現を誘導可能であった。
4. LNA122-DSはHec1B/miR-122細胞において、HCVレプリコンならびにHCVccの増殖を抑制可能であった。
5. LNA122-DSは、1型IFNの発現を誘導しないHuh7.5.1 1b Feo細胞においても、従来のmiR-122に対する従来のアンチセンスオリゴヌクレオチドよりも高いHCVレプリコン抑制効果を示した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-

収支報告書

文献番号
201320029Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,400,000円
(2)補助金確定額
10,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,051,327円
人件費・謝金 1,585,593円
旅費 69,760円
その他 293,320円
間接経費 2,400,000円
合計 10,400,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
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