血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者の肝移植適応に関する研究

文献情報

文献番号
201319028A
報告書区分
総括
研究課題名
血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者の肝移植適応に関する研究
課題番号
H24-エイズ-指定-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
江口 晋(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 市田 隆文(順天堂大學醫學部附属静岡病院 消化器内科)
  • 上平 朝子(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター感染症内科)
  • 國土 典宏(東京大学医学部大学院医学系研究科)
  • 塚田 訓久(独立行政法人 国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター )
  • 中尾 一彦(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 永野 浩昭(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 古川 博之(旭川医科大学医学部)
  • 八橋  弘(独立行政法人  国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター)
  • 四柳  宏(東京大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、すでに長崎大学で集積されたHIV/HCV重複感染者の肝検診のデータおよびエイズ診療拠点病院、国立病院機構長崎医療センターにおいて過去に集積された肝機能データを解析し、重複感染患者とHCV単独感染患者のデータを比較することにより本邦の特に血友病患者でのHIV/HCV重複患者への肝移植適応基準を確立することである。また、薬害によるHIV/HCV重複感染患者は血友病を有するため肝生検が困難であり、非侵襲的検査を確立することも目的の一つとする。
研究方法
長崎大学病院では、平成21年度厚生労働科学研究費エイズ対策事業「HIV/HCV重複感染患者に対する肝移植のための組織構築」の一環として重複感染患者に対して肝機能をはじめとした検診事業を行い、肝機能以外でも免疫能やウイルス学的検査等、網羅的に多岐にわたるデータを集積している。これらのデータを詳細に解析し、さらにエイズ診療拠点病院の症例を含めて予後調査を行うことによってHCV単独感染による非代償性肝硬変患者との相違を明らかにし、移植適応の判断に必要な検査項目を明らかにする。
結果と考察
長崎大学病院でHIV/HCV重複感染患者に対する肝機能検査を行った症例は25年末までに43例あり、血液生化学検査では肝機能は保たれているが(Child-A,93%)、画像検査や肝予備能検査でみると、見かけ以上に門脈圧亢進症の所見が強いことがわかった。また、24年度にはImmuKnow®(Cylex社)によりTリンパ球機能を、非侵襲的な超音波検査ARFI(Acoustic Radiation Force Impulse Imaging)により肝硬度を測定し、HCV単独感染の非代償性肝硬変よりも免疫能は保たれており、肝硬度はChild-Aにも関わらず年齢をマッチした正常コントロール(生体肝移植ドナー)より硬度が増しており、また硬度は各種線維化マーカー(ヒアルロン酸、4型コラーゲン)や予備能検査(アシアロシンチ)とよく相関し、肝生検に代わる検査となりうる可能性が示唆された。

これらの結果をもとに日本肝移植研究会で脳死肝移植登録ポイントについて議論し、通常緊急度で3点(Child-B)・6点・8点(Child-C)・10点(劇症肝不全などの超緊急症例)とされているポイントを、薬害によるHIV/HCV重複感染患者は一段ランクアップし、Child-Aでも門亢症の所見があれば登録できるようにすべき、として3点(Child-A)、6点・8点(Child-B/C)で登録することを提言した。
これが平成25年2月に脳死肝移植適応評価委員会に承認され、全国施設へ通知された。
結論
本年度の研究結果より、重複感染患者は肝硬度(線維化)の進行がHCV単独感染患者よりも早く、致死的となることが明らかとなった。これらのデータをもとに日本肝移植研究会で議論し、Child-BやCの患者はもちろん、Child-Aの患者でも門亢症の所見があれば、脳死肝移植登録が可能となるように脳死肝移植適応評価委員会で承認され、全国へ通知された。

公開日・更新日

公開日
2015-07-03
更新日
-

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公開日・更新日

公開日
2015-07-03
更新日
-

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公開日・更新日

公開日
2015-02-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201319028Z