利便性の高い五種混合ワクチンの開発に向けた研究

文献情報

文献番号
201318081A
報告書区分
総括
研究課題名
利便性の高い五種混合ワクチンの開発に向けた研究
課題番号
H25-新興‐一般-020
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
森 康子(神戸大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 堤 康央(大阪大学大学院薬学研究科)
  • ( )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
30,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、利便性および安全性の高い新たな混合ワクチン、即ち、現行の四種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)に、社会的ニーズの高いヒトヘルペスウイルス6B (HHV-6B) ワクチンを加えた新たな五種混合ワクチンを作製し、安全性および有効性を明らかにすることを目的とする。 
研究方法
1.ワクチン抗原の作製
現行の四種混合ワクチンに、HHV-6Bのワクチン原を加えて五種混合ワクチンとするためには、ワクチン原として、HHV-6Bのウイルス粒子に存在する構造タンパクであり、HHV-6Bの宿主受容体であるCD134分子と結合し、さらに、中和のターゲットでもあるglycoprotein Q1 (gQ1) /gQ2 複合体の精製が必要である。本研究では既に作製済みであるそれらの遺伝子を哺乳類培養細胞に導入し、その上清中のgQ1/gQ2タンパク複合体の分泌およびその精製を行う。
2.ワクチン抗原産生系の構築
HHV-6Bワクチンになりうる抗原であるgQ1とgQ2を恒常的に発現する細胞を作製する。
3. アジュバントについて
HHV-6B構造タンパク質のワクチン効果を高め得るアジュバント開発の一環として、ナノ粒子のアジュバント活性を評価する。
結果と考察
1.ワクチン抗原の作製
アフィニティークロマトグラフィーにより得た同じ画分には、gQ1およびgQ2が含まれていることが確認された。gQ1/gQ2タンパク複合体とCD134分子との結合を確認したところ、gQ1/gQ2遺伝子導入培養細胞上清および精製して得られた画分を用いた解析により、精製したgQ1/gQ2複合体のCD134への結合が確認された。

2.ワクチン抗原産生系の構築
gQ1、gQ2発現ベクターをHEK293GnTI-細胞に導入し、puromycinを添加することにより、ポジティブ細胞を得ることができた。また、本細胞よりgQ1, gQ2が分泌されることを確認した。

3. アジュバントについて
高濃度のC60フラーレン誘導体とLPSの共投与がTh1型免疫を強く誘導する可能性が示された。また、ナノシリカが、強い抗体産生誘導能を有することが明らかとなった。

4.構造タンパク質の立体構造解析を行うためのタンパク質精製条件およびX線結晶構造解析の実施環境を整えた。

(倫理面への配慮)

本研究に関与する遺伝子組換え実験および動物実験は、当該研究機関における遺伝子組換え実験安全委員会および動物実験委員会の承認を得ている。
結論
本年度の成果を以下に示す。
ワクチン抗原の発現および精製条件を検討した。ワクチン抗原の恒常的発現細胞を構築した。ナノ粒子のアジュバント活性を評価した。

公開日・更新日

公開日
2015-04-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201318081Z