抗HTLV-1ヒト免疫グロブリンによるHTLV-1の革新的感染予防モデルの開発とその有効性の検討

文献情報

文献番号
201318070A
報告書区分
総括
研究課題名
抗HTLV-1ヒト免疫グロブリンによるHTLV-1の革新的感染予防モデルの開発とその有効性の検討
課題番号
H24-新興-若手-019
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
水上 拓郎(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 浜口功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部 )
  • 大隈和(国立感染症研究所 血液・安全性研究部 )
  • 田所憲治(日本赤十字社中央研究所)
  • 佐竹正博(日本赤十字社中央研究所)
  • 山口一成(熊本大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成人T細胞白血病はヒトT細胞白血病ウイルス I 型 (HTLV-1) の感染によって引き起こされる末梢性T細胞の腫瘍性疾患である。HTLV-1はT細胞に感染し、T細胞同士の接触によって感染・伝達する。現在、母子感染を予防する事がHTLV-1の感染防止及び蔓延防止の最も有効な手段であると考えられ、人工栄養あるいは短期母乳との併用による感染予防策が講じられている。HTLV-1感染率の高い流行地では減少したが、九州以外の都市部では増加傾向にあった。また完全人工栄養法を選択しても約3%の母子感染が発生している事から、新たな感染予防方法の研究・開発が望まれてきた。
研究方法
そこで本研究課題においては、1) 日本赤十字社の協力を得て、抗HTLV-1ヒト免疫グロブリン (HTLV-IG)の開発をし、2) in vitro でのHTLV-IG感染予防能についての検討。3)ヒト臍帯血由来CD34細胞を移植しヒトの血液を再現したヒト化マウスを用いた、in vivo HTLV-1感染モデルの開発と、HTLV-IGの有効性の検討を行う。また、ヒト臨床試験に応用する事を目指し、HTLV-IGの用法・容量等の性状の設定と、ウイルス安全性について日本赤十字社と共同で検討した。
結果と考察
(1) [試験法開発1] HTLV-1 の感染を in vitro で再現できるスクリーニング系を種々の HTLV-1 感 染細胞株を用いて開発し、標準化することに成功した。我々は各種 HTLV-1 感染細胞(MT-2 お よび SLB-1)を Mytomycin C 処理した後、非感染細胞である Jurkat 細胞と共培養し、高効率に HTLV-1 が感染するモデルを構築した。
(2) [1 次スクリーニング-2] そこでこの MT-2 と Jurkat 細胞の感染モデルを用いて、日本赤十字 社との共同研究で候補とした 30 種類の血漿の有効性をスクリーニングした。その結果、ウイ ルス価(PVL)が 4 以上のサンプルで有意に感染を抑制する事を見いだした。
(3) [グロブリン製剤の製] そこで、感染抑制が可能と考えられるサンプルについて、血漿由来 グロブリン製剤の精製法に従い実験室レベルでのグロブリン製􏰀を試みた。新鮮凍結血漿から 脱クリオを得て、コーンの血漿分画法に従い、-5°C以下で常に冷却しながら精製を試みた。 最終の Slll 画分のグロブリン含量をゲル濾過カラム G3000SWXL で分析したところ 97%であり、 また血漿からの精製効率は 37%であった。これらの精製率、純度は実生産と同程度であった。 以上の結果より、実験室レベルでのグロブリン製剤の製􏰀に成功したと考えられる。
結論
現在、ヒト化マウスを用いた抗 HTLV-1 ヒト免疫グロブリンの有効性を 検討する目的で、大量の血液バックとして存在している 35 サンプルを再入手し、実験室レベ ルでの免疫グロブリンの精製を行い、[1 次スクリーニング-2] で確認した同様の in vitro 実 験を行い、同様の結果が得られたため、in vivo での投与実験に向けて、投与量・投与時期・ 投与間隔の検討を行い、有効性を検討している。

公開日・更新日

公開日
2015-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201318070Z