社会情勢の変化を踏まえた我が国における狂犬病対策のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201318058A
報告書区分
総括
研究課題名
社会情勢の変化を踏まえた我が国における狂犬病対策のあり方に関する研究
課題番号
H25-新興-指定-004
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
山田 章雄(国立大学法人東京大学 大学院農学生命科学研究科獣医学専攻獣医公衆衛生学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 杉浦 勝明(国立大学法人東京大学 大学院農学生命科学研究科国際動物資源科学研究室)
  • 蒔田 浩平(酪農学園大学 獣医学群)
  • 杉山 誠(国立大学法人岐阜大学 応用生物科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
6,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の過去における対策の検証、現行の対策による狂犬病侵入リスクの評価とリスクを変動させる要因の同定、変動要因を変化させた場合におけるリスク評価を行う。同時にそれぞれのシナリオにおける費用対効果を算出し、我が国に最も適した狂犬病対策の在り方を科学的に検討することを目的とする。
研究方法
過去の対策の検証を行うためにわが国における狂犬病の史料を収集した。現行制度におけるリスクを評価するために必要な科学的データを農林水産省等から入手を試みた。また、海外におけるリスク評価の実態について、英国、オーストラリア、アメリカ合衆国ハワイ州を訪問し、関係者から情報の収集を行った。
結果と考察
わが国の狂犬病が制圧されてから60年近くになるが、この間ヒトの3輸入症例を除き、いかなる哺乳動物においても国内での感染例は報告されていない。わが国が狂犬病を制圧できたのは1950年に施行された狂犬病予防法によるところが大きい。しかし、イヌの飼養形態やヒトとイヌの関係あるいは社会情勢の変化により、狂犬病のわが国への侵入リスク並びに仮に侵入を許した場合の狂犬病の拡大のリスクについても、60年前とは大きく異なる可能性がある。本研究ではこれらのリスクを定量的に評価することを目的としているが、初年度に当たる本年度は定量的評価に必要な情報の抽出および抽出された情報の入手を試みた。限定的ではあるが、入手できた情報に基づき定性的なリスク評価を実施した。その結果、わが国に狂犬病が侵入するリスクは英国やオーストラリアあるいはハワイ州と同等であろうと考えられた。一方、文献的に狂犬病の伝播力を示すR0は他の感染症と比較し、かなり小さな値をとることが判明した。引き続き情報入手を試み、精度の高い定量的評価につなげる予定である。
結論
わが国への狂犬病侵入リスクを定量的に評価するためのパラメータの入手を試み、重要なパラメータであるイヌの輸入頭数などに関するデータを取得した。評価の精度を上げるためさらなるパラメータの入手を目指す。過去の狂犬病発生様式および対策の変遷が明らかとなってきた。来年度は現在狂犬病が侵入した場合の大まかな拡散リスクを明らかにする。狂犬病清浄国の対策を学ぶことにより、わが国の対策を検討するにあたり参考とできることが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2015-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201318058Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,190,000円
(2)補助金確定額
8,190,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,079,219円
人件費・謝金 0円
旅費 3,429,953円
その他 505,170円
間接経費 1,890,000円
合計 7,904,342円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2014-04-23
更新日
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