高病原性鳥インフルエンザの診断・治療に関する国際連携研究

文献情報

文献番号
201318047A
報告書区分
総括
研究課題名
高病原性鳥インフルエンザの診断・治療に関する国際連携研究
課題番号
H25-新興-一般-011
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
河内 正治(独立行政法人 国立国際医療研究センター 手術部)
研究分担者(所属機関)
  • 布井 博幸(宮崎大学 医学部)
  • 本間 栄(東邦大学 医学部)
  • 中島 典子(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 岡本 竜哉(独立行政法人 国立国際医療研究センター)
  • 大島 正道(国立感染症研究所 免疫部)
  • 影山 努(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
  • 山本 健二(独立行政法人 国立国際医療研究センター)
  • 松井 珠乃(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 長谷川 秀樹(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 鈴木 忠樹(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 畑 亜樹(独立行政法人 国立国際医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
23,450,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)および鳥インフルエンザA(H7N9)を含むウイルス感染が引き起こす重症化因子としての重症ARDS(severe-ARDS)の病態解明と診断/治療の研究は、インフルエンザパンデミックのみならず、他のウイルス感染症においても流行期があるため緊急を要する重大な社会的要請である。本研究は海外医療機関と連携して高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)および鳥インフルエンザA(H7N9)を含むウイルス感染によって引き起こされる重症ARDSの発症機序を解明し、その有効な治療方法を開発することが目的である。
研究方法
1.海外との連携. 1-1. ベトナム・ハノイの国立病院と連携
2.臨床医師団(剖検チーム)を結成し、病理専門医師を中心にチームを作り、必要なときには直ちに現地入り可能な医師団の確保。
3.共同研究により得られた検体全例にreal time PCRによるウイルス遺伝子解析を現地病院ラボと協力の下に行ない、より厳密に感染源に関する情報が得られる体制を構築する。
4.病理標本、及び培養細胞を用いた免疫組織学的病態解明。
5.臨床班の試料から重症ARDS発症の特定マーカとなりうる、サイトカイン/MPO/チトクロームC/ニトロ化合物などの変動を現地で定量。
6.感染症について海外情報を収集し、研究班として疫学的な研究基盤を構築。
結果と考察
研究で得られた臨床例/検体/標本を礎にベトナムにおける共同研究の実績を生かし、現在日本国内では得られないが今後の感染流行があり得るHPAI-A(H5N1)、鳥インフルエンザA(H7N9)などの感染症に対して国際連携研究を推進/発展させた。
重症ARDSの共同研究に際し、血清/鼻咽頭拭い液/TLF(tracheal lavage fluid)/BALFなどの検体採取/死亡例の剖検(標本)施行を含めた臨床共同研究計画を作成し、当該国政府(MOH)・連携病院と承認及び倫理的承認を得て、real time PCRによる多種ウイルス遺伝子解析を現地病院ラボと協力の下に開始した。また、感染症について海外情報を収集し、研究班としての疫学的な研究基盤を構築した。
結論
インフルエンザ(H5N1)(H7N9)などのウイルス感染による重症ARDS患者の病態解析とその原因を究明することは将来のパンデミック対策としても重要であり、その目的に向かって、臨床・基礎医学両面からの緊密な提携をもった研究が不可欠である。25年度は診断の精度をH7N9などのPCR検査に対応したものに上げて、ベトナム国ハノイ国立小児病院とPICUにおける重症ARDS患者に対する、新たな臨床共同研究計画を策定/締結した。
本研究により最近ウイルス性肺炎の脅威が東南アジアを中心に報告されつつあり、今後はこの点も網羅して将来の日本への流行に備えていくことが新たなる目標となる。

公開日・更新日

公開日
2015-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201318047Z