若年及び高齢者の結核制御を目指した生体防御反応解明と新規予防法・治療法の開発

文献情報

文献番号
201318041A
報告書区分
総括
研究課題名
若年及び高齢者の結核制御を目指した生体防御反応解明と新規予防法・治療法の開発
課題番号
H25-新興-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
牧野 正彦(国立感染症研究所 感染制御部)
研究分担者(所属機関)
  • 柴山 恵吾(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 田村 敏生(国立感染症研究所 感染制御部)
  • 河村 伊久雄(京都大学大学院 微生物感染症学)
  • 松本 壮吉(新潟大学大学院 細菌学)
  • 梅村 正幸(琉球大学 熱帯生物圏研究センター 生体防御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
32,955,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
結核は全人類の恐怖となっている再興感染症であり、的確な制御法の確立は全世界の人々への福音となる。結核発症予防法の樹立を目指し、初回及び追加免疫ワクチンの開発及び新規抗結核薬の開発を通じ、地球規模での厚生行政への貢献を果たすことを目的とした。
研究方法
初回免疫ワクチンとしてリコンビナントBCGの確立を目指すため、これまでに作出したBCG-DHTMに更なる改良を加え、より強く未感作T細胞活性化能を付与するため4つのアミノ酸配列からなるシグナルペプチドであるPEST配列を利用したBCG(BCG-PEST)の作出とそのT細胞活性化能の評価、及びBCG-DHTMに組み込んだ外来遺伝子の脱落を防ぐため、外来遺伝子をBCGクロモゾームへ導入したBCG-DHTMIを作出し、そのT細胞活性化能を評価した。結核の完全制御を達成するためには、休眠期にある結核菌を生体外へ排除する必要がある。そこで、試験管内で低酸素環境を作製し、生体内休眠期結核菌と同様の性状を示す結核菌及びBCG菌を作製し、これらの菌に強く発現する分子を同定した。抗酸菌特異的ヌクレオチド加リン酸分解酵素(Rv2613c)の基質結合部位の機能阻害を誘導するリード化合物を同定するため、地球上に存在する全化合物850万種についてインシリコ解析を加える。
結果と考察
BCG-PESTは、これまでに作出したBCG-DHTMに比し非常に強い自然免疫及び獲得免疫活性化能を有し、空気感染させた結核菌の肺内増殖を95%抑制した。また、BCG-DHTMIにおいては導入した外来遺伝子は安定発現をし、未感作T細胞を一定レベル以上に活性化した。休眠期結核菌及びBCG菌には免疫抑制的に作用するTriacylglycerolが強発現することが判明した。休眠期結核菌を生体外排除する際の良きターゲットとなり得ると考えられた。850万種の化合物の中から、阻害活性を示す可能性のある化合物74種が選択された。
結論
結核に対する新しいワクチンの作出及び抗結核新薬の開発において一定の成果が挙がった。

公開日・更新日

公開日
2015-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201318041Z