防疫上緊急対応を要する一類感染症や新興・再興感染症に対する予防・診断・治療法に関する研究

文献情報

文献番号
201318040A
報告書区分
総括
研究課題名
防疫上緊急対応を要する一類感染症や新興・再興感染症に対する予防・診断・治療法に関する研究
課題番号
H25-新興-一般-004
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
下島 昌幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 有川 二郎(北海道大学)
  • 高田 礼人(北海道大学)
  • 安田 二朗(長崎大学)
  • 小林 剛(大阪大学)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所)
  • 森川茂(国立感染症研究所)
  • 松山 州徳(国立感染症研究所)
  • 伊藤 睦代(高山 睦代)(国立感染症研究所)
  • 加来 義浩(国立感染症研究所)
  • 吉河 智城(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
開発等に伴う人・動物ベクターの行き来や環境変化を原因に、一類感染症や新興・再興感染症が国内で発生する可能性は十分考えられ、緊急対応を要する。本研究では、これらの感染症に対するより正確・迅速な診断法の整備や予防法・治療法の開発に取り組んでいる。各感染症がおかれた状況は様々なため取り組み方も様々であるが、本年度の研究の多くは今後の成果のための準備となっている。
研究方法
マウスを用いた単クローン抗体の作製、大腸菌を用いた組み換え蛋白質の発現とICG/ELISAへの使用、哺乳類細胞内でのウイルス蛋白質発現、ウイルスの人工的遺伝子操作、水疱性口炎ウイルスを用いたシュードタイプシステム、狂犬病あるいはワクシニアウイルスベクターへの遺伝子導入により行った。
結果と考察
フィロウイルス感染症ではエボラウイルス種も区別できる迅速診断系のための単クローン抗体の作出を行った。ハンタウイルス感染症でもウイルス種を区別できるイムノクロマトグラフィーを構築し患者血清を用いた検証を行いELISA法と比較した。ラッサウイルス等の出血熱ウイルスに共通して認められる機構で、広く抗ウイルス薬の標的となりうるウイルス出芽過程の詳細な研究にも取り組んだ。ヒトに呼吸器症状を引き起こす新規レオウイルスにおいては抗原・抗体検出にむけた各ウイルス蛋白質の調製や病原性・薬物スクリーニングを目指した遺伝子操作系の構築を行った。クリミア・コンゴ出血熱やラッサ熱に対しては診断により有用な代替中和抗体価測定法の構築を開始し、またクリミア・コンゴ出血熱ウイルスの新たな地域(モンゴル)への拡大の有無をヒツジで調査した。MERSコロナウイルス感染症では、呼吸器ウイルスに多く見られる初期感染機構を標的とした薬物効果の検討を行った。新興感染症の原因ウイルスを持つ可能性が高いコウモリからのウイルス分離を容易にする細胞作りも開始した。出血熱・新興感染症ウイルスに対するワクチンとして、有効と考えられるウイルスベクターを用いた開発を開始した。
結論
いずれの感染症においても、各感染症がおかれた状況に合わせて予防・診断・治療に関した成果が順当に出ており、来年度以降の成果に繋がっていくと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2015-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201318040Z