文献情報
文献番号
201318011A
報告書区分
総括
研究課題名
高病原性の新型インフルエンザ発生に対する事前準備及び、緊急対応に関する研究
課題番号
H23-新興-一般-011
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
田代 眞人(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 河岡 義裕(東京大学医科学研究所 ウイルス感染分野)
- 長谷川 秀樹(国立感染症研究所 感染病理部)
- 小田切 孝人(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
- 影山 努(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
- 鈴木 康夫(中部大学 生命健康科学部)
- 西藤 岳彦((独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所)
- 押谷 仁(東北大学大学院 医学系研究科 微生物学分野)
- 堀本 泰介(東京大学大学院 農学生命科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
16,877,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、インフルエンザ大流行における健康被害を最小限に抑え、社会機能・経済活動の崩壊を回避するための、事前計画と緊急対応計画の再構築と実施に貢献するために、1)新型ウイルスの流行動向監視、出現予測、早期検知体制の確立 2)ウイルスの迅速性状解析による大流行出現の可能性および被害予測に関するリスク評価法の確立 3)緊急ワクチン開発・製造・供給および効果・副反応の予測とモニター 4)抗ウイルス剤の備蓄と使用方法及び効果・副作用・耐性ウイルスの予測とモニター 5)感染病理機構の解明とそれに基づいた適切な治療方法の開発など、時系列的な緊急対策・行動計画の策定と実施に必要な理論的、技術的基盤の確立を目指して研究を進めた。
研究方法
1)ベトナムのH5N1鳥インフルエンザおよび同一患者について、異なる日に、あるいは異なる部位から得られたウイルスの塩基配列解析を行った。
2)蛍光タンパク質再構成法を用いてウイルスRNAポリメラーゼのPA-PB1結合、PB1-PB2結合を細胞内で可視化するバイオプローブを開発し、三量体形成のリアルタイムモニタリングシステムを構築。またインフルエンザによる喘息誘発機構を解析した。
3)H7N9について、詳細なウイルス学的性状解析・遺伝子解析を行った。
4)H7N9ウイルスに対する抗インフルエンザ薬(タミフル、ラピアクタ、リレンザ、イナビル)感受性試験系を改良し、高い耐性出現頻度を確認。
5)リアルタイムRT-PCR、RT-LAMPシークエンス法による遺伝子検出検査法を確立し、地方衛生研究所で実践。
6)H5N1ウイルスのヒト型受容体認識変異の簡便検出免疫クロマトの監視系を開発し、現地で検証した。
7)薬剤耐性ウイルスのHAとNA遺伝子の塩基配列を同定し、ウイルスの進化を観察した。
8)インドネシアの野良猫のインフルエンザ感染状況を調査した。
2)蛍光タンパク質再構成法を用いてウイルスRNAポリメラーゼのPA-PB1結合、PB1-PB2結合を細胞内で可視化するバイオプローブを開発し、三量体形成のリアルタイムモニタリングシステムを構築。またインフルエンザによる喘息誘発機構を解析した。
3)H7N9について、詳細なウイルス学的性状解析・遺伝子解析を行った。
4)H7N9ウイルスに対する抗インフルエンザ薬(タミフル、ラピアクタ、リレンザ、イナビル)感受性試験系を改良し、高い耐性出現頻度を確認。
5)リアルタイムRT-PCR、RT-LAMPシークエンス法による遺伝子検出検査法を確立し、地方衛生研究所で実践。
6)H5N1ウイルスのヒト型受容体認識変異の簡便検出免疫クロマトの監視系を開発し、現地で検証した。
7)薬剤耐性ウイルスのHAとNA遺伝子の塩基配列を同定し、ウイルスの進化を観察した。
8)インドネシアの野良猫のインフルエンザ感染状況を調査した。
結果と考察
1)ベトナムのH5N1ウイルスにおいて、感染経過中に患者体内で変化した患者固有の特異的アミノ酸変異と、鳥からヒトへの馴化を規定するアミノ酸変異を確認。
2)H5N1株間に増殖性の差があり、増殖に関与する新たなアミノ酸変化を確認。鳥ウイルス感染患者の中で急速にヒト型に変化する可能性を示した。
3)喘息発作とインフルエンザウイルス感染の生じるタイミングが、喘息とインフルエンザウイルス肺炎の重症度に重要であることが明らかになった。
4)H7N9ウイルスのパンデミックの可能性および健康被害のリスク評価を行なった。
5)H7N9ウイルスについて検査体制を確立し、国内外に供与。
6)RT-PCR、RT-LAMPシークエンス法による遺伝子検出検査法により、半日以内に未知の鳥インフルエンザを高感度にかつ特異的に検出できる事を確認。
7)ヒト型ウイルスのHAとNA機能の両者を特異的に阻害するシアロ糖鎖ポリマーを創製。
8)新規インフルエンザウイルス感染阻害物質を同定した。
9)ヒトから分離されたH7N9の遺伝的性状、感受性を解明。
10)仙台とフィリピンで流行したFluCについて、系統と性状を明らかにした。
11)猫がヒトインフルエンザウイルスに感染し、鳥とヒト間の仲介をする可能性を示した。
2)H5N1株間に増殖性の差があり、増殖に関与する新たなアミノ酸変化を確認。鳥ウイルス感染患者の中で急速にヒト型に変化する可能性を示した。
3)喘息発作とインフルエンザウイルス感染の生じるタイミングが、喘息とインフルエンザウイルス肺炎の重症度に重要であることが明らかになった。
4)H7N9ウイルスのパンデミックの可能性および健康被害のリスク評価を行なった。
5)H7N9ウイルスについて検査体制を確立し、国内外に供与。
6)RT-PCR、RT-LAMPシークエンス法による遺伝子検出検査法により、半日以内に未知の鳥インフルエンザを高感度にかつ特異的に検出できる事を確認。
7)ヒト型ウイルスのHAとNA機能の両者を特異的に阻害するシアロ糖鎖ポリマーを創製。
8)新規インフルエンザウイルス感染阻害物質を同定した。
9)ヒトから分離されたH7N9の遺伝的性状、感受性を解明。
10)仙台とフィリピンで流行したFluCについて、系統と性状を明らかにした。
11)猫がヒトインフルエンザウイルスに感染し、鳥とヒト間の仲介をする可能性を示した。
結論
H25年度のH7N9に関する研究の結果、現時点ではH5N1よりもH7N9ウイルスの方が、パンデミックを起こす可能性は高いと判断される。しかし、一旦パンデミックが起こった際には、健康被害の大きさと社会・経済活動に対する影響は、H5N1の方がはるかに大きいと予想される。従って、今回のH7N9インフルエンザの脅威を機会に、パンデミック対策の本命とも言えるH5N1に対する事前準備と緊急対応の再構築について、十分な検討とその実施が必要である。
公開日・更新日
公開日
2015-03-31
更新日
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