うつ病の妊産褥婦に対する医療・保健・福祉の連携・協働による支援体制(周産期G-Pネット)構築の推進に関する研究

文献情報

文献番号
201317105A
報告書区分
総括
研究課題名
うつ病の妊産褥婦に対する医療・保健・福祉の連携・協働による支援体制(周産期G-Pネット)構築の推進に関する研究
課題番号
H25-精神-若手-013
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
立花 良之(独立行政法人国立成育医療研究センター こころの診療部育児心理科)
研究分担者(所属機関)
  • 久保隆彦(独立行政法人国立成育医療研究センター 産科)
  • 小泉典章(長野県精神保健福祉センター)
  • 森臨太郎(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 成育政策科学研究部)
  • 竹原健二(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 成育政策科学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
3,900,000円
研究者交替、所属機関変更
研究代表者の立花良之の所属が、平成26年5月より、独立行政法人国立成育医療研究センター こころの診療部育児心理科 →独立行政法人国立成育医療研究センター こころの診療部 乳幼児メンタルヘルス診療科に変更になりました(勤務先は同じで所属部署の名称のみの変更です)。

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、産科医・助産師・小児科医等の母子保健関係者がメンタルヘルス不調の母親の発見のゲートキーパーとなり、保健師や精神科医療機関につなぐことで母親の精神状態の重症化や養育不全などを防ぐ連携モデルの構築を目的とする。
研究方法
母子保健におけるG-Pネットを東京都世田谷区と長野県須坂市で実施し、その有効性を検証する。今年度は下記の研究に取り組んだ。1)母子保健G-Pネット構築のための環境整備についての研究(世田谷区における母子保健G-Pネットのモデル構築のための環境整備) 2)母子保健におけるうつ病地域医療連携について(長野県須坂市における母子保健G-Pネットのモデル構築のための環境整備) 3)世田谷区における母子保健の多職種地域連携構築の実践についての研究(世田谷区の母子保健関係者のネットワークである「母と子のサポートネットせたがや」の実践をもとに、多職種地域連携構築の実践のノウハウについて検証) 4)周産期のメンタルケアのための地域連携における医療スタッフのニーズについての研究(「母と子のサポートネットせたがや」で実施した医療スタッフの地域連携に対するアンケートを分析) 5)周産期メンタルヘルスに関する国際比較(イギリス・アメリカ・オーストラリアにおける周産期のメンタルケアのサポートシステムについて比較・考察)
結果と考察
1)①メンタルヘルス不調の母親のサポートのための連携モデルの構築 ②多職種連携のためのマニュアル「母と子のサポートネットせたがや 心の問題で気になる母親に対する対応の手引き」の作成 ③情報サイト「母と子のサポートネットせたがや」の作成 ④母子保健関係者が「顔の見える連携」を築ける場の調整をおこなった。「母と子のサポートネットせたがや」が運営される中で、母子保健G-Pネットがメンタルヘルスのハイリスク母親の重症化や養育不全の予防だけでなく、このようなネットワークが要保護児童対策地域協議会の機能を様々な点で強化しうる可能性が示唆された。 2)地域の中核病院の小児科医と保健師が中心となり、産後の母親のメンタルケアを行う多職種地域連携モデルの実施可能性が示唆された。3)地域の母子保健関係者も、他職種との連携の必要性を感じており、「顔の見える連携」こそが重要であることが明らかとなった。4)地域一体となった妊婦メンタルヘルスへの対応が重要であることが明らかになった。今後の母子保健の課題として、妊娠中からハイリスクの母親についての情報を、母親に関わる母子保健関係者が共有するシステム構築の医療政策的な必要性が明らかになった。5)アメリカ・イギリス・オーストラリアそれぞれが、メンタルヘルス不調の母親に対し独自のスクリーニングシステムを持ち、また、各国の医療・保健・福祉の連携を持っていた。産前からのハイリスク者のスクリーニングを行い、地域の医療・保健・福祉が連携して、ハイリスク者をサポートするシステムづくりが今後の課題と考えられる。
結論
3年計画の1年目として、母子保健G-Pネットを地域で展開するための土台作りを東京都世田谷区と長野県須坂市において行った。母子保健G-Pネットがメンタルヘルスのハイリスク母親の重症化や養育不全の予防だけでなく、要保護児童対策地域協議会の機能を強化しうる可能性が考えられた。今後は行政や要保護児童対策地域協議会との連携の在り方についても検討しつつ、次年度、両地域で母子保健のG-Pネットを実施し、その実施可能性について検証していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201317105Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,070,000円
(2)補助金確定額
5,067,929円
差引額 [(1)-(2)]
2,071円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 552,631円
人件費・謝金 1,446,233円
旅費 436,773円
その他 1,462,292円
間接経費 1,170,000円
合計 5,067,929円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
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