補償光学適応走査型レーザー検眼鏡を用いた糖尿病網膜症の病態解析と早期発見、早期治療に関する研究

文献情報

文献番号
201317100A
報告書区分
総括
研究課題名
補償光学適応走査型レーザー検眼鏡を用いた糖尿病網膜症の病態解析と早期発見、早期治療に関する研究
課題番号
H24-感覚-若手-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
宇治 彰人(京都大学 医学部附属病院 眼科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
1,271,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病網膜症は、網膜微小循環の障害がその本体である。人眼における微小循環動態の解明が可能になれば、病気の早期発見やより良い治療法の確立に有用であり、その技術の確立は社会的失明予防の観点からも重要である。本研究は補償光学の技術を適用した共焦点走査型レーザー検眼鏡(AO-SLO)を用いて非侵襲的に糖尿病網膜症における傍中心窩網膜毛細血管網の血流動態をとらえ、早期治療方法を確立することを目的とする。非侵襲的な検査であるため、糖尿病網膜症がほとんど認められない患者に対してもスクリーニング的に施行することが可能であり、病初期の微小循環障害を解明していく。
研究方法
京都大学眼科外来に設置されたAO-SLOを用いて健常者および糖尿病網膜症(DR)患者、糖尿病患者で非糖尿病網膜症(NDR)患者の傍中心窩網膜毛細血管網を撮影、保存した。すでに開発済みの血流解析専用ソフトウェアを用いて、耳側および鼻側の1.4°x2.8°の範囲に対して、動画から血管造影を構築、時空間画像を用いた血球速度の算出、血球成分の配列の変化を測定した。毛細血管においても、血球速度は心拍動の影響を受けるため、すべての対象について、パルスオキシメーターを用いて心拍動を記録、すべての血球に対して脈波との同期処理を行った。
結果と考察
AO-SLOで得た血球速度データを心拍動と同期させることで正確な速度の算出に成功した。正常群、DR群、NDR群の3群の比較の結果、血球速度はDRが正常、NDRと比較し有意に早く、NDRと正常の間に差は認められなかった。これは心拍動同期前に得た以前の結果とは矛盾するものである。そこで、血球の流れやすさに注目し、赤血球列の分岐のない毛細血管における速度変化、赤血球列の伸長率を調べたところ、DRでは有意に速度変化する血管が多く、これが前年度の結果との間に生じた矛盾を説明する因子と考えられた。また赤血球列の伸び率はDRとNDRに差がない一方で、正常群と両群との間には有意な差があり、糖尿病網膜症の早期発見の手掛かりとなり得ると考えられた。
結論
AO-SLOは非侵襲的に網膜微小循環を可視化することができる。糖尿病網膜症において、毛細血管レベルの血流変化を発症早期において評価できる可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201317100Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,271,000円
(2)補助金確定額
1,271,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,271,000円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 381,000円
合計 1,652,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-