精神疾患の医療計画と効果的な医療連携体制構築の推進に関する研究

文献情報

文献番号
201317073A
報告書区分
総括
研究課題名
精神疾患の医療計画と効果的な医療連携体制構築の推進に関する研究
課題番号
H25-精神-一般-009
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学大学院 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 弘人(国立精神・神経医療研究センター 精神精神保健研究所社会精神 保健研究部)
  • 萱間 真美(聖路加看護大学・精神看護学)
  • 平川 博之(ひらかわクリニック)
  • 山之内 芳雄(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 社会精神 保健研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成25年度から精神疾患が疾病系に追加された。本研究は、都道府県の医療計画の策定と運用に資するために、国内外の先進事例の収集を行うとともに、実際に都道府県で精神疾患の医療計画に関与する関係者との意見交換を行うことにより、精神科救急、連携体制、在宅精神看護などの精神医療看護の実態を解明するとともに、精神医療の評価に資する標準的な指標の開発を行い、さらに医療計画における精神疾患対策の政策構造を解明することである。
研究方法
精神医療の評価に資する標準的な指標の開発については、国内外の先進事例の収集を行うとともに、実際に都道府県で精神疾患の医療計画に関与する関係者との意見交換を行うことでデータを収集した。全国で行われている一般科医と精神科医の連携の取り組みついて調査するとともに東京都内の地区医師会が主催する一般科医向けの「うつ診療充実強化研修」「精神疾患早期発見・早期対応推進研修会」において一般科医向けに質問紙調査を行った。精神科訪問看護提供体制の現状把握と評価に関する研究については、全国訪問看護事業協会加盟の訪問看護ステーションを対象とした一次調査と精神科訪問看護の実施事業所を対象とした二次調査を行い、制度上の課題を検討した。精神分野のGP連携については、精神の充実した救急一般病院(藤田保健衛生大学病院)において身体の精神合併の現況を調査した。また、愛知県モデル病院群の救急医療における身体の精神合併の実態調査を行った。都道府県の医療計画の死精神医療分野の記述内容の分析については、平成25年4月から実施されている医療計画の記載内容を分析した。
結果と考察
「予防・アクセス」では待ち時間が、「治療・回復・社会復帰」では、隔離・身体拘束、入院期間、非任意入院、ACT(Assertive Community Treatment)、再入院が、「精神科救急」では精神科救急へのアクセスが、「身体合併症」では精神障害者の身体管理が、国際的に承認度の高い指標であった。一般科診療所を対象にした一般科と精神科の連携に関するアンケート調査では、共通する結果として紹介時の問題と精神科医療への一般科医の不信感があることがわかった。精神科訪問看護提供体制については、一次調査結果からは、平成25年9月1カ月間に精神科訪問看護を実施した事業所の割合は54.0%であった。二次調査では、一次調査への回答において、平成25年9月1カ月間に精神疾患(認知症を除く)の利用者がいる事業所のうち、精神疾患の利用者又は家族から電話相談があった事業所、及び精神疾患の利用者のうち、医療保険から介護保険に移行した利用者がいる計409事業所を対象にし、電話相談の実態や保険の移行によるサービスや利用者・家族の変化の実態が明らかになった。精神の充実した救急一般病院(藤田保健衛生大学病院)における身体の精神合併の現況は、救急病棟に入院した身体の精神合併症患者の約8割は、精神科の問題の方が大きいと判断されたことである。精神科のバックアップ体制のない、あるいは薄い病院においてはこれらの患者が地域の救急病棟で精神科の関与がない-薄い状態で医療を受けていることが推測される。都道府県の医療計画の精神医療分野の記述内容であるが、北海道は、47都道府県中最大の面積であり網羅範囲が広いながらも、医療圏を細かく設置して統率を図っていることが評価できるが、内容自体に数値的な記述が少なく、概念論的なものが多かった。
結論
精神医療の評価に資する標準的な指標を開発するとともに、各医療圏で必要な機能の要素を整備するとともに、機能をつなぐ連携体制の構築が必要である。これらの基礎となるのが医療計画であるが、医療計画の記述内容の劇的な転換は、残念ながら認められなかった。いまの記述内容で今後、残りの医療計画の執行期間が、無駄にならないような方策を検討する必要がある。そのためには、精神科医療はもとよりその隣接領域を含めた地域の体系的な医療水準の向上や患者の利便性や人権保護の一層の向上ならびに患者の視点に立った医療供給が期待でき、行政サービスの質の向上や効率性アップが図られ、その成果は住民や国民の福祉の向上となって現れる方策を、次年度以降検討していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201317073Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,600,000円
(2)補助金確定額
15,600,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 267,260円
人件費・謝金 2,423,491円
旅費 733,270円
その他 8,575,979円
間接経費 3,600,000円
合計 15,600,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
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