リアルタイムfMRIによるバイオフィードバック法を用いた統合失調症の認知リハビリテーション

文献情報

文献番号
201317063A
報告書区分
総括
研究課題名
リアルタイムfMRIによるバイオフィードバック法を用いた統合失調症の認知リハビリテーション
課題番号
H24-精神-一般-013
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
松田 哲也(玉川大学 脳科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 松島 英介(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 大久保 善朗(日本医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
1,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、リアルタイムfMRIによるバイオフィードバック法を用いた統合失調症の認知機能改善プログラムを作成し、統合失調症の症状の改善・回復への有用性を調べることを目的とする。本年度は、fMRIによるバイオフィードバックによる扁桃体の活動制御が、自覚的情動評価にどのような影響を及ぼすかを調べるために、トレーニング前後の情動刺激に対する扁桃体の活動と情報評価を測定した。
研究方法
情動を惹起する刺激としてIAPS(International Affective Picture System)を使用した。部位同定課題では、unhappy刺激を1ブロックで5枚、合計25名提示し、コンディショニング課題では、unhappy刺激、neutral刺激をそれぞれ1ブロック5枚、合計50枚提示した。被験者は、部位同定課題時はじっと写真を見ているように教示した。コンディショニング課題時は、刺激画像と同時に提示される扁桃体の活動を示す棒グラフが刺激画面上に提示され、unhappy刺激時はその棒グラフの目盛りを少しでも高くするように、neutral刺激時は、少しでも低くなるように教示した。その後Test課題では、刺激画面に文字でunhappyもしくはneutralと提示し、被験者は同時に提示される棒グラフの目盛りをunhappyでは高くするように、neutralでは低くするように教示した。その後、部位同定課題をもう一度行い、情動を惹起する刺激に対する扁桃体の活動を測定し、トレーニング前と後で扁桃体の感受性の変化を調べた。
結果と考察
その結果、トレーニングに成功した被験者は16名、失敗した被験者は16名であった。さらに成功した被験者に対して、トレーニング前後に行った情動刺激に対する評定課題を行ったところ、6名はトレーニング前(before)と比べ後(after)で評定が上がり、10名は下がっていた。この評定が高くなった6名と下がった10名の扁桃体の活動を調べたところ、評定が高くなったグループのみ、扁桃体の活動がトレーニング前と比較し後で高くなっていた。一方、評定が下がったグループではトレーニング前後を比較し扁桃体の活動に変化はみられなかった。
結論
本研究結果から、リアルタイムfMRIで扁桃体の活動を制御でき、かつ自覚的な評定も変化した被験者は、情動刺激に対する扁桃体の感受性が高まっていることが確認された。今後の課題として、PPIなどのネットワーク解析を用いて扁桃体の感受性の変化と関連する脳領域を抽出することで、扁桃体の感受性を高めるトレーニングを行う際に、どの脳領域の活動をモニターすることがよいか明らかにすることができるようになる。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201317063Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,210,000円
(2)補助金確定額
2,210,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 301,718円
人件費・謝金 1,343,032円
旅費 51,180円
その他 4,070円
間接経費 510,000円
合計 2,210,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
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