災害時における知的・発達障害を中心とした障害者の福祉サービス・障害福祉施設等の活用と役割に関する研究

文献情報

文献番号
201317013A
報告書区分
総括
研究課題名
災害時における知的・発達障害を中心とした障害者の福祉サービス・障害福祉施設等の活用と役割に関する研究
課題番号
H24-身体-知的-一般-009
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
金子 健(社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会)
研究分担者(所属機関)
  • 内山 登紀夫(福島大学大学院人間発達文化研究科)
  • 吉川 かおり(明星大学人文学部)
  • 柄谷 友香(名城大学都市情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
8,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東日本大震災で被災した知的・発達障害者およびその家族や福祉事業所などの実態調査を通して地震・津波を中心とした大規模災害時における知的・発達障害者の防災対策について、効果的な支援・受援体制の構築等に関するガイドラインを作成するなど施策提言を行い、発生が懸念される大規模地震等における障害者の減災を目指す。
研究方法
金子は、研究全体の統括を行う。
内山は、知的・発達障害者の被災時・被災後に呈した医療・臨床心理サービス・福祉機関が果たした役割を検証し大災害時の対応についての提案を行う。また、本震災の特徴である放射能関連のストレッサー因子として原発からの距離、避難地域についても検討する。震災後の知的障害・発達障害の親子の支援ニーズを把握し今後の支援方法を改変するとともに支援の施策に反映させる。
吉川は、知的・発達障害者とその家族が被災時および生活再建過程で直面する困難について、住居・職業・健康・ネットワークの4側面の復興状況および個人のライフスタイルが生活再建に与える影響と自尊感情の回復方法、福祉サービス・相談支援事業・当事者団体・支援団体・行政等のネットワークのあり方、避難先および支援拠点としての福祉施設や学校・避難所などのあり方といったテーマを軸に調査研究を進める。
柄谷は、研究協力者の鍵屋とともに知的・発達障害者や家族の事前の防災対策について調査し、発災から復興までのフェーズごとの効果を検証する。それを踏まえ災害時における知的・発達障害者の早期かつ円滑な生活再建に向けた防災対策について支援・受援(人的、物的、情報)の両側面から検討する。
結果と考察
内山の研究においては、アンケートの結果、相談会後に医療機関につながったのは6名、療育機関は10名であった。医療機関が震災以前から少なかったことに加え、現在は児童精神科医の減少が影響していることも推測される。療育機関については、福島県の浜通りを中心に県で4か所と民間企業による支援が行われている箇所が1か所ある。QOLについては全体的に一般的な平均値よりもややマイナスの傾向があった。しかし、すべて一般的な平均値の誤差の範囲内であり、さらにデータ数を増やして検討することが必要であると考える。
吉川は、知的障害者30名を行い、避難時やネットワークおよび生活状況への自己評価等を把握し生活再建状況について検証を行った。家族が健在であるか、福祉サービスにつながっていた知的障害者は支援ネットワークの中で守られており、受け身の避難生活をすることが多かった。避難時においては要援護者の側面と地域社会に貢献しうる人材としての両面を検討することと、生活再建の柱となる「本人にとって重要なもの」を本人が自覚できるような支援が必要であることが分かった。
柄谷・鍵屋は、東日本大震災および平成23年台風12号で被災した組織形態の異なる障害福祉事業所14カ所を対象に、発災直後から事業所再建までの一連の災害対応プロセスを聞き取り災害対応課題を時系列に分析した。既存の消防計画から事業継続計画(BCP)を検討するためのステップアップガイド案を作成し、現場の実態や各事業所への実装可能性に関する議論を踏まえ修正を重ねた。
結論
内山は、震災後の発達障害・知的障害の支援活動とアンケート調査などを参考にして、被災後の発達障害・知的障害支援のガイドライン案を作成中である。これまでの調査から子どもの支援のみならず親のメンタルヘルス支援の必要性が重要であることが示唆された。またQOL尺度などの既成の尺度では特に顕著な特徴がなくても不安や焦燥感を強く感じている親が多いことが注目された。このような結果が福島県特有の問題なのか宮城県や岩手県など他の被災県にも共通する特性なのかは今後検討する必要がある。
吉川の研究においては、避難時および生活再建時の状況について困難点のみが強調される傾向があるが、障害の種別や程度に応じて、どのようにしたら地域社会の中(一般の避難所等)にいられるかという視点から支援策を再検討する必要があることが分かった。同時に、知的障害者が地域社会に貢献しうることについて知的障害者自身が自覚を深め能動的にかかわれるような啓発プログラムを防災教育の一環として行う必要性があると考えられた。
柄谷・鍵屋は、障害福祉事業所の被災実態を踏まえて、災害時の事業継続計画を検討するためのステップアップガイド案を作成した。主な検討項目は、事業所の災害リスクの同定、避難場所・避難所の見直し、重要業務の優先順位付け、継続業務の担当と任務である。従来の消防計画と異なるのは大規模災害を想定し、事業継続が困難な場合をイメージさせ、関係施設との事前協定やボランティア受け入れに向けた受援計画まで検討できる点、一連の策定プロセスが職員の災害対応能力向上につながる点である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

その他
その他

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201317013Z