発達障害児を持つ家族の支援ニーズに基づいたレジリエンス向上に関する研究

文献情報

文献番号
201317011A
報告書区分
総括
研究課題名
発達障害児を持つ家族の支援ニーズに基づいたレジリエンス向上に関する研究
課題番号
H24-身体-知的-一般-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
稲垣 真澄(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 山下 裕史朗(久留米大学医学部附属病院小児科)
  • 渡部 京太(独立行政法人 国立国際医療研究センター 国府台病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,070,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達障害児の母親のレジリエンスを向上させる要因を明らかにするために、レジリエンスを測定する尺度を作成する必要がある。本研究ではまずレジリエンスの構成要素を明らかにすることを目指し、構成要素に基づく質問紙を作成することを目的にした。
研究方法
①文献研究:レジリエンスに関する文献と発達障害児・者の母親の精神的健康に関する文献のレビューを行った。
②質的研究:発達障害診療の経験豊富な医師8名に対して面接し、発達障害児・者の母親が有するレジリエンス要素を明らかにすることを目指した。さらに発達障害児・者を養育中の母親23名への面接調査を実施した。これまでの養育の様子を尋ね、発話データについて修正版グラウンデットセオリーアプローチ(M-GTA)を用いて質的に分析した。
③質問紙の作成:質的研究の結果に対応した質問紙を作成した。外来通院中の発達障害児40名の母親に対する予備調査を実施し、質問項目の選定を行った。
結果と考察
①文献研究:様々に定義されているレジリエンスについて文献的に検討し、レジリエンスを「養育困難に関わらず、良好に適応する過程」とすることが、発達障害児・者を持つ母親に適切であると考えられた。
②質的研究:発達障害児・者の母親のレジリエンスは、M-GTAにより「親意識」、「自己効力感」、「特徴理解」、「社会的支援」、「見通し」の5つで構成されることが示唆された。
③質問紙の作成:「親意識」、「自己効力感」、「特徴理解」、「社会的支援」に対応する形で、レジリエンス34項目の質問紙を作成した。尚、見通しのカテゴリについては、特徴理解と社会的支援を発展させた項目であるため、それぞれに質問項目の要素が含まれることを想定した。40名への予備調査の結果、平均値、標準偏差、分布の偏り、相関関係などを考慮し、質問項目の削除や改定を行い、最終的に29項目で構成されるレジリエンス評定尺度を作成した。
結論
発達障害児・者を持つ母親のレジリエンスを測定する質問紙(29項目)を作成することができた。最終年度には、本質問紙の標準化を行う。具体的には600名以上の母親に対する質問紙調査を行う。結果の解析により発達障害児の家族が必要としている支援を多面的に把握することができると考えられる。さらに、医療機関で行われる治療(薬物治療・療育訓練)がどのようにレジリエンスの向上に寄与するのか、またどのような介入がレジリエンスを向上させるのか、について明らかにすることで、具体的な政策の提言につながることが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201317011Z