文献情報
文献番号
201317006A
報告書区分
総括
研究課題名
障害関係分野における今後の研究の方向性に関する研究
課題番号
H24-身体-知的-一般-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
岩谷 力(国立障害者リハビリテーションセンター)
研究分担者(所属機関)
- 江藤文夫(国立障害者リハビリテーションセンター)
- 中村耕三(国立障害者リハビリテーションセンター)
- 加藤誠志(国立障害者リハビリテーションセンター)
- 中島八十一(国立障害者リハビリテーションセンター)
- 樋口輝彦(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター)
- 松谷有希雄(国立保健医療科学院)
- 小澤 温(筑波大学大学院)
- 竹島 正(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター)
- 勝又幸子(国立社会保障・人口問題研究所)
- 寺島 彰(浦和大学)
- 東 修司(国立障害者リハビリテーションセンター)
- 北村弥生(国立障害者リハビリテーションセンター)
- 我澤賢之(国立障害者リハビリテーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
1,716,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
障害者医療、福祉、福祉工学に関する研究の状況を調査し、中期的に取り組むべき課題を検討すること、ならびに障害統計の現状を明らかにし、施策に役立つ障害統計収集、解析体制の在り方について検討すること。
研究方法
過去10年間に行われた厚生労働科研費(障害保健福祉総合・感覚器障害・障害者対策総合)の研究課題を分野別、障害別、支援別に分析を行った結果、ならびに国立障害者リハビリテーションセンター研究所の研究に基づき、脳機能系障害研究関係分野、運動機能系障害研究関係分野、視覚障害関係分野、聴覚障害分野、福祉機器関係分野、義肢装具関係分野、障害福祉関係分野において今後取組むべき研究課題をとりまとめた。また、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」、「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」、「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保する指針(案)」、WHOの「メンタルヘルス・アクションプラン2013-2020」などをもとに、精神障害に関する研究の方向性について検討した。
障害統計に関しては、2000年以降に、国内外の関係機関が行った障害統計に関する勧告、提言、意見を整理し、わが国の障害者の実態把握の公的調査の現況を調査した。
障害統計に関しては、2000年以降に、国内外の関係機関が行った障害統計に関する勧告、提言、意見を整理し、わが国の障害者の実態把握の公的調査の現況を調査した。
結果と考察
1.今後の研究の方向性
1)身体障害
2003年度から2012年度までの厚生労働科研費(障害保健福祉総合・感覚器障害・障害者対策総合)320件の研究課題をリストアップし分野別、障害別、支援別に分析を行い、研究の今後の方向性を提示した。
医学関連の研究が65%、福祉関連が29%、工学関連は15%であった。障害別には、精神障害が30%、肢体不自由の15%、視覚障害と聴覚障害は11%、発達障害6%、難病4%であった。
国立障害者リハビリテーションセンター研究所の脳機能系障害研究関係分野、運動機能系障害研究関係分野、視覚障害関係分野、聴覚障害分野、福祉機器関係分野、義肢装具関係分野、障害福祉関係分野の分野毎に、これまでの研究動向と今後取組むべき研究課題をとりまとめた。
2)精神障害
「精神保健医療福祉の改革ビジョン」、「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」、「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保する指針(案)」の記載内容、2000年以降に成立した精神障害者が法の対象になる可能性の高い法律、WHOが2013年に公表した「メンタルヘルス・アクションプラン2013-2020」の理念と方向性をもとに、障害関係分野における精神障害に関する研究の方向性について検討した。
2.障害統計に関する国内外の動向
1) びわこミレニウム・フレームワーク、障害者権利条約、障害に関する世界報告書などにおいて、障害者統計整備の必要性、重要性について言及されている。
2)国内の動向
日本学術会議、障害者政策委員会が障害者統計整備について提言している。
3) 生活のしづらさ調査
2次解析により、難病患者ならびに重複障害者の実態、障害種別間で障害等級の比較などを明らかにすることができると考えられる。
4) 精神障害者の実態把握に資する実地調査の現状
障害者の数の把握で最も情報が少ないのは精神障害者である。
考察
研究の動向
これからの取り組むべき課題は、原疾患の診断・治療、機能回復リハビリテーション、障害特性の把握と評価、健康維持・増進、支援技術・機器の開発、支援方法・制度、障害に関する情報収集と提供などの領域にわたっている。障害の原因疾患の病態解明、診断、治療に関する研究は、障害の発生予防、障害の重度化防止に役立ち、障害者数の減少、障害程度の軽減が期待できる。機能回復リハビリテーションに関する研究は、先端的科学研究の成果を障害者に還元するためには不可欠である。また、社会モデルの視点からの研究の促進が必要である。超高齢社会において、障害の加齢による影響を医学的に正確にとらえ、福祉サービス手法の開発、サービス提供者の能力開発につなげる研究が求められる。
障害者福祉の持続可能性、向上を保証する施策の立案、インパクト評価、将来の制度改正には、障害者の実態(障害者数、福祉ニーズの障害種別特徴、障害程度、福祉ニーズの質と量など)、福祉サービス利用実態などを把握する仕組みが必要である。
1)身体障害
2003年度から2012年度までの厚生労働科研費(障害保健福祉総合・感覚器障害・障害者対策総合)320件の研究課題をリストアップし分野別、障害別、支援別に分析を行い、研究の今後の方向性を提示した。
医学関連の研究が65%、福祉関連が29%、工学関連は15%であった。障害別には、精神障害が30%、肢体不自由の15%、視覚障害と聴覚障害は11%、発達障害6%、難病4%であった。
国立障害者リハビリテーションセンター研究所の脳機能系障害研究関係分野、運動機能系障害研究関係分野、視覚障害関係分野、聴覚障害分野、福祉機器関係分野、義肢装具関係分野、障害福祉関係分野の分野毎に、これまでの研究動向と今後取組むべき研究課題をとりまとめた。
2)精神障害
「精神保健医療福祉の改革ビジョン」、「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」、「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保する指針(案)」の記載内容、2000年以降に成立した精神障害者が法の対象になる可能性の高い法律、WHOが2013年に公表した「メンタルヘルス・アクションプラン2013-2020」の理念と方向性をもとに、障害関係分野における精神障害に関する研究の方向性について検討した。
2.障害統計に関する国内外の動向
1) びわこミレニウム・フレームワーク、障害者権利条約、障害に関する世界報告書などにおいて、障害者統計整備の必要性、重要性について言及されている。
2)国内の動向
日本学術会議、障害者政策委員会が障害者統計整備について提言している。
3) 生活のしづらさ調査
2次解析により、難病患者ならびに重複障害者の実態、障害種別間で障害等級の比較などを明らかにすることができると考えられる。
4) 精神障害者の実態把握に資する実地調査の現状
障害者の数の把握で最も情報が少ないのは精神障害者である。
考察
研究の動向
これからの取り組むべき課題は、原疾患の診断・治療、機能回復リハビリテーション、障害特性の把握と評価、健康維持・増進、支援技術・機器の開発、支援方法・制度、障害に関する情報収集と提供などの領域にわたっている。障害の原因疾患の病態解明、診断、治療に関する研究は、障害の発生予防、障害の重度化防止に役立ち、障害者数の減少、障害程度の軽減が期待できる。機能回復リハビリテーションに関する研究は、先端的科学研究の成果を障害者に還元するためには不可欠である。また、社会モデルの視点からの研究の促進が必要である。超高齢社会において、障害の加齢による影響を医学的に正確にとらえ、福祉サービス手法の開発、サービス提供者の能力開発につなげる研究が求められる。
障害者福祉の持続可能性、向上を保証する施策の立案、インパクト評価、将来の制度改正には、障害者の実態(障害者数、福祉ニーズの障害種別特徴、障害程度、福祉ニーズの質と量など)、福祉サービス利用実態などを把握する仕組みが必要である。
結論
医学・医療の進歩、社会の発展に即した障害者福祉の仕組みを構築していくためには、保健、医療、福祉、工学の各分野における研究成果を施策に役立てることが重要である。また、障害に関する公的統計情報を収集し、解析する仕組みの見直しと整備が必要である。
公開日・更新日
公開日
2015-05-20
更新日
-