文献情報
文献番号
201317004A
報告書区分
総括
研究課題名
支援機器の臨床評価の在り方に関する研究
課題番号
H23-身体-知的-一般-008
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 誠志(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
- 諏訪 基(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
- 中山 剛(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,783,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
支援機器の実証試験に関する指針が現行の「臨床研究に関する倫理指針」に明示的には規定されていないために、倫理審査において適用すべき項目に関して混乱が見受けられる。この問題を解決し、支援機器の実証試験の倫理面の体制強化とともに、科学面の評価にも耐える実証試験を理工系研究者にも可能とすることが本研究の目的である。今年度の目標は、支援機器に関する倫理審査の現状調査を引き続き実施することと、最終目標である支援機器用の「倫理指針とマニュアル」を作成することである。
研究方法
(1) 全国の理工学系の学部・研究科を持つ大学および大学院141校を対象にした倫理審査委員会に関する公開情報の解析、並びに学術団体(学会)が発行している学会誌や論文誌1,235誌に対する投稿規定等における倫理に関する記載についての解析を実施した。(2) 認知症患者のような同意能力の欠けた被験者を対象とする場合について、参加の要件並びに同意能力の判定法について検討した。(3) 「臨床研究に関する倫理指針」を基に、「支援機器の臨床試験に関する倫理指針(素案)」を策定し、倫理審査の実践を通して支援機器開発における実証試験の実情を把握し、問題点を明らかにしつつ、支援機器開発の実証試験に関する倫理指針で規定すべき要件等の検討を実施した。
結果と考察
(1) 大学・大学院の理工学系学部・研究科における倫理審査に対する対応ならびに理学・工学分野の学会が発行する雑誌における臨床研究の倫理審査に対する取組みが十分になされているという段階にはまだないことが分かった。(2) 支援機器の実証試験に関する実用的で倫理的な同意能力の判定法を提案した。(3) 高齢者向け支援機器開発における制限能力者を被験者とする実証試験の倫理的観点から遵守すべき手続きに関する指針、並びに支援機器の実証試験に即した科学性を促すための指針に関して、臨床研究倫理指針に追加する必要性が明らかになった。(4) 策定した「倫理指針(素案)」を使用して3年間で実施した総計55件の倫理審査の経験を踏まえて、「支援機器の実証試験に関する倫理指針平成25年度版」を策定し、マニュアルとして「支援機器の実証試験-倫理審査の手引き」を作成した。
結論
支援機器の実証試験に特有の問題点を、倫理面並びに研究デザイン面のそれぞれで明らかにし、これらの検討結果を取り入れることによって、最終目標である「支援機器の実証試験に関する倫理指針」およびマニュアルとして「支援機器の実証試験-倫理審査の手引き」を作成した。今後、この指針とマニュアルをインターネットなどにより公開することにより、支援機器の実証試験を実施している研究機関における倫理審査に広く活用されることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2015-05-20
更新日
-