小児期からの生活習慣病対策及び生涯の健診等データの蓄積・伝達の在り方等に関する研究 

文献情報

文献番号
201315051A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期からの生活習慣病対策及び生涯の健診等データの蓄積・伝達の在り方等に関する研究 
課題番号
H25-循環器等(生習)-一般-012
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
瀧本 秀美(国立健康・栄養研究所 栄養疫学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉池 信男(青森県立保健大学 栄養学科)
  • 福岡 秀興(早稲田大学総合研究機構)
  • 佐田 文宏(国立保健医療科学院)
  • 伊藤 善也(日本赤十字北海道看護大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
11,539,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児期の肥満発症は、成人後の生活習慣病発症のリスクを高めることが危惧されるため、リスクの高い小児への早期からの予防介入が必要である。よって、乳幼児健康診査、保育園・幼稚園での身体測定、就学時健康診断、小・中・高校での学校検診などのデータを縦断的に収集し、肥満発症の予兆を早期に把握し、子ども自身の健康管理ならびに成人後の健康づくりに生かすための仕組みづくりが必要である。本研究では、既存の母子健康手帳の情報等を活用し、小児期における生活習慣病の早期発見・早期介入を容易とするデータベースの構築や、これを活用した適切な介入実施の仕組みづくりを目指す。
研究方法
1)乳幼児期の縦断研究の実施
A県の約440の施設の保育所給食担当者を対象に、保育所における身体計測の実施状況や精度管理に関する質問紙調査を行った。
2)一生を通して健康及び疾病・ライフスタイルを記録する香川「Myカルテ」システムの構築とその臨床応用
生活習慣病の予防を目的として、香川県全県で小学生を対象とした学童検診事業が開始された。その流れからこの地域では、小児、成人を含めて健康への意識が拡大している。そこで三豊・観音寺地区で、一生を通じて利用可能な個人の健康記録を記載できる手帳形式の「Myカルテ」の作成に取り組んだ。
3)幼小児期健康情報の利活用の現状と課題
Medline、医学中央雑誌の文献データベース、科学研究費、厚生労働科学研究費の研究費成果データベース、European Commissionのホームページ及びインターネット検索エンジンgoogleを用い、文献検索を行い、ライフコースの視点に立った生活習慣病対策及び健診等データの蓄積・伝達と関連の深い文献を選別し、レビューを行った。
4)行政による乳幼児健康管理の実態と健康情報のデータベース化の試み
北海道北見保健所管内の5自治体(1市4町)(北見市、美幌町、津別町、訓子府町、置戸町)を対象に、各自治体の乳幼児健診担当部署に乳幼児健診の実施状況を聞き取り調査した。また健診結果の記録に用いている健診票を収集した。収集した情報と健診票をもとに電子化システムの設計を試みた。
結果と考察
1)439の保育所施設に調査票を郵送し、270施設から有効回答が得られた(回答率 61.5%)。身長・体重を主体となって測定する職種は保育士(主任保育士を含む)が92.6%を占めていた。保育所で、出来るだけシンプルかつ直感的に入力処理などができるように、エクセルシートを用いたツールを作成した。
2)妊娠中の母親の体重増加等の状況、出生時の身長・体重、健診時の身長・体重計測値を記入でき、発育曲線にプロットできる。バインダー様式の「Myカルテ」が完成した。
3)欧米では、出生コホート研究が盛んで、古くから大小様々な出生コホート研究が行われてきた。一方、わが国では、母子健康手帳や乳幼児健診が制度として確立しており、配布率・参加率は極めて高いので、このような母子健康手帳や乳幼児健診データを電子化して、利活用することは効率的と考えられた。
4)5自治体における健診管理票の記載は多様であった。健診管理票と町内の教育・保育機関で用いている健康カードから身体計測情報を電子データとして取り出すシステムを設計した。
結論
児童における肥満者の割合が増加している地域(青森県)において、就学前の子どもたちの食習慣、身長・体重変化についてモニタリングを行うための基盤づくりを行った。乳幼児健診健診時データの統一化と電子化を目指し、結果票フォーマットを入手し統一化が可能か、さらにその統一フォーマットを用いて電子化が可能かの検討を開始した。これまでに行われている健診データの統合や子どもを対象とした介入プログラムの文献等を収集し、レビューを行った。また、既存の地域ベースの主要なコホート研究において、質問紙調査により、健診データの統合の実態調査を行った。
 次年度に向けて、地域の状況に合わせた形での小児のフォローアップシステムの構築が重要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201315051Z