文献情報
文献番号
201315038A
報告書区分
総括
研究課題名
離島・農村地域の効率的、効果的な生活習慣病対策の推進に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-循環器等(生習)-一般-018
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
磯 博康(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 木山 昌彦(大阪がん循環器病予防センター)
- 佐藤 眞一(千葉県衛生研究所)
- 山岸 良匡(筑波大学医学医療系)
- 谷川 武(愛媛大学大学院医学系研究科)
- 竹末 加奈(活水女子大学看護学部)
- 嶽崎 俊郎(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
- 白井 こころ(琉球大学法文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,962,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
離島・農村地域において、生活習慣病対策を進める上で、既存の社会環境・保健医療分野の資源を有効活用する方策を整理し、検証する試みが十分ではない。本研究の目的は、離島・農村地域においてメタボリックシンドロームや非肥満で危険因子を有する者への予防対策として実際に取り組まれているハイリスクアプローチやポピュレーションアプローチの方策を整理し、生活習慣病予防対策の効率化や効果の拡大の望める工夫項目の提示とチェックリストの作成を行うこととした。
研究方法
研究対象地域は地域特性の異なる全国10地域(約55万人)である。すなわち、離島地域として長崎県上五島町(2.2万人)、鹿児島県奄美市(4.6万人)の2地域、農村地域として秋田県井川町(0.6万人)、茨城県筑西市(10.6万人)、千葉県旭市(6.9万人)と銚子市(6.8万人)、匝瑳市(3.9万人)、愛媛県大洲市(4.7万人)の7地域、対照地域として都市近郊の大阪府八尾市南高安地区(2.3万人)の1地域である。これらの地域に対して、特定健診の受診率向上、特定保健指導の実施率向上のためのメディア・コミュニケーション・面接技法の研修会、生化学検査(血清脂質)の標準化の普及、特定健診・特定保健指導の受診・参加勧奨のためのデータベースの作成とその活用、生活習慣病対策の評価を行う。
結果と考察
本研究はこれまでに、離島・農村地域における生活習慣病予防対策の効率化、効果の拡大を図るために特定健診担当者を対象にしたメディア・コミュニケーション・面接技法などの研修事業、血清脂質測定の標準化のための介入、研究対象地域での受診・参加勧奨に有用な特定健診受診率等のデータベースの作成、特定健診および特定保健指導の実施状況についてのアンケート調査などを実施してきた。
1) 特定保健指導の実施率向上のためのメディア・コミュニケーション・面接技法の研修会
研修事業の参加者は昨年度の72名から107名に増加し、活発な質疑応答も得られたことから現場の関心の高さが伺われた。これまでの研修会に関する資料を整理し、メディア・コミュニケーション・面接技法に関する資料集の作成につなげる。
2) 生化学検査(血清脂質等)の標準化普及
研究対象10地域のうち4地域で総コレステロール、HDLコレステロールについて標準化がすでに完了した。残りの6地域は標準化への課題が見つかり、個別介入を継続し標準化作業への参加を図る。
3, 4) 特定健診、特定保健指導の受診・参加勧奨のためのデータベースの作成とその活用、および生活習慣病対策の評価
単年度受診率の経年変化では、秋田県井川町、茨城県筑西市、千葉県銚子市、沖縄県南城市で2.4%~8.8%の増加を認めた。増加地域では3年間未受診者を対象とした訪問勧奨、結果説明会時での継続的なPR活動、「スイーツレシピ」や「健康づくり支援店」、「スマートすぎる食事」といった健康関連情報をホームページや広報リーフレットに活用したポピュレーションアプローチを行っていた。2年間の継続受診率の経年変化では、鹿児島県奄美市、愛媛県大洲市、千葉県旭市などで2.3%~15.4%の増加を認めた。増加地域では中年女性の心をつかむ “無料” や ”料金” といったキーワードを盛り込んだポスターによる受診勧奨を行っていた。
特定健診・特定保健指導の実施状況と工夫に関するアンケートは農村303市町村、離島54市町村の回答が得られ、回答率は61.0%(農村60.8%、離島62.4%)であり、60%の目標回答率を達成した。利用しているメディア媒体の種類が8種類以上の地域は約45%、12種類以上の地域は約15%であった。媒体を利用していた。媒体の種類については農村も離島も広報紙、受診券、ホームページ、チラシ、ポスター、電話までの上位6種目は共通であったが、農村では既存の住民組織や訪問を用いるのに対し、離島ではケーブルテレビ、無線放送、回覧板の利用が多かった。メディア媒体の利用数と自治体担当者の主観的効果の関係をみると、利用数と主観的効果の関係は単純な量-反応関係を示さなかったが、利用数が8種類以上の地域のうち約20%以上の地域で強い効果の実感を報告していた。
1) 特定保健指導の実施率向上のためのメディア・コミュニケーション・面接技法の研修会
研修事業の参加者は昨年度の72名から107名に増加し、活発な質疑応答も得られたことから現場の関心の高さが伺われた。これまでの研修会に関する資料を整理し、メディア・コミュニケーション・面接技法に関する資料集の作成につなげる。
2) 生化学検査(血清脂質等)の標準化普及
研究対象10地域のうち4地域で総コレステロール、HDLコレステロールについて標準化がすでに完了した。残りの6地域は標準化への課題が見つかり、個別介入を継続し標準化作業への参加を図る。
3, 4) 特定健診、特定保健指導の受診・参加勧奨のためのデータベースの作成とその活用、および生活習慣病対策の評価
単年度受診率の経年変化では、秋田県井川町、茨城県筑西市、千葉県銚子市、沖縄県南城市で2.4%~8.8%の増加を認めた。増加地域では3年間未受診者を対象とした訪問勧奨、結果説明会時での継続的なPR活動、「スイーツレシピ」や「健康づくり支援店」、「スマートすぎる食事」といった健康関連情報をホームページや広報リーフレットに活用したポピュレーションアプローチを行っていた。2年間の継続受診率の経年変化では、鹿児島県奄美市、愛媛県大洲市、千葉県旭市などで2.3%~15.4%の増加を認めた。増加地域では中年女性の心をつかむ “無料” や ”料金” といったキーワードを盛り込んだポスターによる受診勧奨を行っていた。
特定健診・特定保健指導の実施状況と工夫に関するアンケートは農村303市町村、離島54市町村の回答が得られ、回答率は61.0%(農村60.8%、離島62.4%)であり、60%の目標回答率を達成した。利用しているメディア媒体の種類が8種類以上の地域は約45%、12種類以上の地域は約15%であった。媒体を利用していた。媒体の種類については農村も離島も広報紙、受診券、ホームページ、チラシ、ポスター、電話までの上位6種目は共通であったが、農村では既存の住民組織や訪問を用いるのに対し、離島ではケーブルテレビ、無線放送、回覧板の利用が多かった。メディア媒体の利用数と自治体担当者の主観的効果の関係をみると、利用数と主観的効果の関係は単純な量-反応関係を示さなかったが、利用数が8種類以上の地域のうち約20%以上の地域で強い効果の実感を報告していた。
結論
離島・農村地域における生活習慣病予防対策に貢献する種々の活動を実践・評価した。来年度(最終年度)は、研究対象地域での取組み、特定健診・特定保健指導の実施状況についてのアンケート調査、これまで開催してきた研修会の内容を踏まえ、生活習慣病予防対策の効率化、効果の拡大が望めるような工夫項目の提示とチェックリストを含む資料集を作成する。
公開日・更新日
公開日
2015-09-07
更新日
-