老年者の高脂血症治療ガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
199800223A
報告書区分
総括
研究課題名
老年者の高脂血症治療ガイドライン作成に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
北 徹(京都大学医学研究科臨床生体統御医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 秦霞哉(杏林大学医学部)
  • 馬淵宏(金沢大学医学部)
  • 斎藤康(千葉大学医学部)
  • 寺本民生(帝京大学医学部)
  • 山田信博(東京大学医学部)
  • 及川眞一(東北大学医学部)
  • 江草玄士(広島大学医学部)
  • 山下静也(大阪大学医学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究事業
研究開始年度
平成8(1996)年度
研究終了予定年度
平成10(1998)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢化社会が進む中で、虚血性心疾患や脳血管障害といった、動脈硬化症に起因する疾患が日本人の死因の上位を占めている。その危険因子として、高脂血症が重要であることは周知の事実ある。近年作用機序が明確な抗高脂血症薬の開発が進み、その結果虚血性心疾患の発症が低下したという報告が認められるに至った。すでに成人対象には高脂血症治療ガイドラインが提唱されているが、諸臓器の機能が低下した高齢者には若齢の成人とは必ずしも同一のガイドラインが適用されるべきでない可能性がある。従って、本研究班では老年者の特徴を考えながら、その治療ガイドライン作成を目指す。
研究方法
従来より提唱されている高脂血症治療のガイドライン、国民の血清脂質の推移、血清脂質値と虚血性心疾患の罹患率との関係については、諸外国の例を含めて報告があり、私共は、それを参考にして、日本人のそれとを比較することから進めた。一方では、すでに平成9年度において、動脈硬化学会において成人を対象とする高脂血症治療ガイドラインを参考とした。さらに、高齢者の高脂血症治療方針に関する多施設アンケート調査を施行した。
結果と考察
多施設アンケート調査などの結果、高齢者を65才以上75才未満の前期、75才以上の後期に分けるべきとの意見が多数を占め、これらそれぞれに異なった治療ガイドラインが必要と考えられるに至った。これらの結果をふまえ、以下のような高齢者高脂血症ガイドラインを作成した。
65才以上75才未満の高齢者
生活指導適用基準 治療適用基準   治療目標値
冠動脈疾患(-)LDL-C 140mg/ml 以上 160mg/ml 以上          TC 220mg/ml 以上 240mg/ml 以上
冠動脈疾患(+)LDL-C 120mg/ml 以上 140mg/ml 以上 120mg/dl 未満 TC 200mg/ml 以上 220mg/ml 以上 220mg/ml 未満
LDL-C: LDL-コレステロール
TC: 総コレステロール
75才以上の高齢者では冠動脈疾患の一次、二次予防の目的で積極的に高コレステロール血症を管理する意義が明らかでないため、個々の患者の医学的、社会的背景を考慮して主治医の判断に委ねる。
結論
高齢者高脂血症治療のガイドラインを新たに作成した。今後、HDL-コレステロール、中性脂肪などについても治療ガイドラインの作成が必要と思われる。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)