健康づくり施策の効率性等の経済分析に関する研究

文献情報

文献番号
201315011A
報告書区分
総括
研究課題名
健康づくり施策の効率性等の経済分析に関する研究
課題番号
H23-循環器等(生習)-一般-004
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
水嶋 春朔(横浜市立大学 医学研究科疫学・公衆衛生学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 比佐 章一(横浜市立大学 大学院国際マネジメント研究科)
  • 島袋 充生(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部心臓血管病態医学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
OECD「肥満と予防の経済(Obesity and the Economics of Prevention; Fit not Fat)」同報告書で扱われた分析手法、シュミレーションモデルに関する検討、我が国の健康づくり施策にフィットしたモデル開発を行うことを目的とし、本年度はOECDの報告書で掲示されている慢性疾患予防モデル(The Chronic Disease Prevention Model)に基づく特定健診・特定保健指導を受けた事業所の3ヶ年の追跡データの分析、沖縄県の自治体国民健康保険被保険者のコホートのデータセットを用いた肥満、糖尿病等の生活習慣病対策における経済的な指標および隠れマルコフモデルに基づく個票データ分析を目的とする。
研究方法
OECDの報告書で掲示されている慢性疾患予防モデルに基づいて(1)特定健診・特定保健指導を受けた事業所の3ヶ年の追跡データの分析(2)沖縄県の自治体国民健康保険被保険者のコホート(2008年度より特定健診データとレセプトデータを突合済み)のデータセットを用いて、肥満対策、糖尿病等の生活習慣病対策における経済的な指標についての検討さらに(3)隠れマルコフモデルにもとづく個票データ分析の可能性に関する検討を行った。OECD報告書「肥満と予防の経済学」におけるCDPモデルを反映した保健事業の評価を行うためのフレームワークの検討に加え我が国における経済分析の検討にあたっての制限についても検証した。
結果と考察
結果:(1)特定健診・特定保健指導を受けた事業所の3ヶ年の追跡データの分析:BMI25以上30未満の対象者におけるBMI25未満への改善に関しては、一部の身体活動量の改善と有意な関連が認められたが、脂質および食物繊維摂取に関する項目とは有意な関連が認められなかった。一方、体重減少率5%を指標とした場合身体活動に関する4項目(1日8,000~10,000以上歩く,週に150分以上歩く,出来るだけ階段を使う,筋トレを習慣にする)に加え、脂質摂取に関する項目(揚げ物や炒め物)食物繊維摂取に関する項目(野菜,海藻,きのこ類)の改善状況との間に有意な関連が認められた。(2)沖縄県の自治体国民健康保険被保険者のコホートのデータセットを用いた肥満対策、糖尿病等の生活習慣病対策における経済的な指標についての検討:(3)隠れマルコフモデルにもとづく個票データ分析の可能性に関する検討:各個人ごとのデータに基づき正確な分析が可能となる。健康状態は年齢や性別、肥満の度合いなど各個人の抱えている状況によって異なってくる。こうした違いをコントロールした分析ができることでより詳細に分析が可能となる。また隠れマルコフモデルを使うとデータ上健康状態が正確でないものが混在していたとしてもそれを考慮した測定ができる。
考察:OECD報告書「肥満と予防の経済学」におけるCDPモデルに組み込まれている、肥満に関連する生活習慣因子(身体活動、脂質、食物繊維)の影響について、保健指導現場の簡易調査票による評価を試みた。CDPモデルにおいて肥満に関連する生活習慣として身体活動は2段階、脂質は3段階、食物繊維は2段階のレベルに区分されている。我が国でこれを応用する場合本研究で用いたような簡易評価項目から影響の大きそうな指標を選択的に使用するかもしくは複数項目をスコア化して各レベルに置き換える方法等が考えられる。沖縄県の自治体国民健康保険被保険者のコホートのデータセットを用いた肥満対策、糖尿病等の生活習慣病対策における経済的な指標についての検討をした。今後、保険者が有する健診データとレセプトデータの突合分析の効果的な手法を研修などで公開し、提供していきたいと考える。
結論
OECD「肥満と予防の経済」で提示された慢性疾患予防モデルでは、死に至る3つの慢性疾患のがん(肥満に関連した大腸がん,乳がん,肺がん)、脳血管疾患、虚血性心疾患に対する中間リスクファクターとして肥満を捉え、肥満に影響を及ぼす要因として線維質摂取、脂肪摂取、身体活動を遠位のリスクファクターとして位置づけ、肥満から直接影響を及ぼす血圧、脂質、血糖を近位リスクファクターとして、これらの関係を検討している。9種類の対策(学校保健,職域保健,マスメディアキャンペーン,税制措置,食品広告自主規制,食品広告規制,食品成分等表示,医師による指導,医師と栄養士による指導)について検討しており、その手法は様々な保健事業評価にも応用可能であると考えられる。さらに我が国の健康づくり施策、保健事業に関したデータを活用して、健康増進計画などにおいて現状を踏まえて、5年後10年後のシュミレーションを可能として、事業効果予測を行うことができることが望ましい。

公開日・更新日

公開日
2015-09-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201315011B
報告書区分
総合
研究課題名
健康づくり施策の効率性等の経済分析に関する研究
課題番号
H23-循環器等(生習)-一般-004
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
水嶋 春朔(横浜市立大学 医学研究科疫学・公衆衛生学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 比佐 章一(横浜市立大学 大学院国際マネジメント研究科)
  • 島袋 充生(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部心臓血管病態医学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
OECD「肥満と予防の経済(Obesity and the Economics of Prevention; Fit not Fat)」同報告書で扱われた分析手法、シュミレーションモデルに関する検討、我が国の健康づくり施策にフィットしたモデル開発を行うことを目的としている。
研究方法
【平成23年度】(1) OECD「肥満と予防の経済」報告書内容を詳細に検討(2)生活習慣病および心臓血管イベントの発症にかかわる医療経済指標の検討(3)高血糖未治療者の特性:健診レセプト突合情報を用いた検討を行った。【平成24年度】(1)OECD肥満と予防の経済報告書第6章「介入の影響」で扱われた介入方法の分析手法に関する検討(2)OECD肥満と予防の経済報告書で用いられているDALY(Disability-adjusted Life Year, 障害調整生存年)の有効性の検討(3)総務省の「家計調査データ」をもとに、家計の食品に対する価格弾力性を求め、生活習慣病に対する補助金・課税政策が、どの程度、人々の消費量を増加・減少させるかに関する経済学的検証(4)沖縄県の自治体国民健康保険被保険者のコホートデータセットを用いた、肥満対策、糖尿病等の生活習慣病対策における経済的な指標についての検討を行った。【平成25年度】(1)OECDの報告書で提示されている慢性疾患予防モデル(The Chronic Disease Prevention Model)に基づいた検討をわが国の保健事業に関するデータセットを利用した検討について、 特定健診・特定保健指導を受けた事業所の3ヶ年の追跡データの分析。(3)沖縄県の自治体国民健康保険被保険者のコホート(平成20年度より特定健診データとレセプトデータを突合済み)のデータセットを用いた肥満対策、糖尿病等の生活習慣病対策における経済的な指標についての検討(4)隠れマルコフモデルにもとづく、個票データ分析の可能性に関する検討を行った。
結果と考察
(1)OECD報告書「肥満と予防の経済学」におけるCDPモデルに組み込まれている、肥満に関連する生活習慣因子(身体活動、脂質、食物繊維)の影響について、保健指導現場の簡易調査票による評価について短期間の保健事業においてはより実用的な評価指標であると考えられる。また、我が国でこれを応用する場合、本研究で用いたような簡易評価項目から影響の大きそうな指標を選択的に使用するか、もしくは複数項目をスコア化して各レベルに置き換える方法等が考えられる。(2)沖縄県の自治体国民健康保険被保険者のコホートのデータセットを用いた肥満対策、糖尿病等の生活習慣病対策における経済的な指標についての検討について、肥満度別に3年間の総医療費を計算すると、肥満度の上昇にともない総医療費は有意に増加した。やせ、正常体重に比べ、肥満度が大きくなると加齢したときの医療費が顕著に増大することもわかった。(3)隠れマルコフモデルにもとづく、個票データ分析の可能性に関する検討について、経済的利益の測定に関しては、いくつか考慮すべき余地があるが、患者にかかる医療費の推計や、それによる社会的費用を推計することがより正確に行えるようになるといえる。
結論
OECD「肥満と予防の経済」で提示された慢性疾患予防モデルでは、死に至る3つの慢性疾患のがん(肥満に関連した大腸がん,乳がん,肺がん)、脳血管疾患、虚血性心疾患に対する中間リスクファクターとして肥満を捉え、肥満に影響を及ぼす要因として線維質摂取、脂肪摂取、身体活動を遠位のリスクファクターーとして位置づけ、肥満から直接影響を及ぼす血圧、脂質、血糖を近位リスクファクターとして、これらの関係を検討している。9種類の対策(学校保健,職域保健,マスメディアキャンペーン,税制措置,食品広告自主規制,食品広告規制,食品成分等表示,医師による指導,医師と栄養士による指導)について検討しており、その手法は様々な保健事業評価にも応用可能であると考えられる。さらに我が国の健康づくり施策、保健事業に関したデータを活用して、健康増進計画などにおいて現状を踏まえて、5年後10年後のシュミレーションを可能として、事業効果予測を行うことができることが望ましい。

公開日・更新日

公開日
2015-09-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201315011C

収支報告書

文献番号
201315011Z