文献情報
文献番号
201314034A
報告書区分
総括
研究課題名
小児がん経験者の晩期合併症及び二次がんに関する長期フォローアップシステムの整備に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-がん臨床-一般-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
黒田 達夫(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 藤本 純一郎(独立行政法人国立成育医療研究センター 臨床研究センター)
- 瀧本 哲也(独立行政法人国立成育医療研究センター 臨床研究センター)
- 石田 也寸志(愛媛県立中央病院 小児医療センター)
- 田口 智章(九州大学大学院 医学研究院)
- 前田 美穂(日本医科大学大学院 医学研究科)
- 三上 春夫(千葉県がんセンター研究所 がん予防センター)
- 清谷 知賀子(独立行政法人国立成育医療研究センター)
- 小林 良二(社会医療法人札幌北楡病院)
- 笹原 洋二(東北大学病院)
- 麦島 秀雄(日本大学 医学部)
- 気賀沢 寿人(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 臨床研究所)
- 工藤 寿子(静岡県立こども病院)
- 浅見 恵子(新潟県立がんセンター)
- 出口 隆生(三重大学医学部附属病院)
- 堀部 敬三(国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
- 小林 正夫(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院)
- 岡村 純(国立病院機構九州がんセンター)
- 足立 壮一(京都大学 医学研究科)
- 井岡 亜希子(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター がん予防情報センター)
- 稲田 浩子(久留米大学 医学部)
- 松田 智大(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センターがん統計研究部)
- 池田 均(獨協医科大学越谷病院)
- 井上 雅美(大阪府立母子保健総合医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
14,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班では、小児がんの新規発症から晩期合併症までシームレスに情報を管理する仮想的な長期フォローアップ情報センターの諸機能を検証し、小児がん生存者の長期フォローアップの在り方を検討する事を目標とした。これに合わせて、新規発症例の捕捉に関してはモデル登録システムを運用し、本邦の小児がん発生動態を可及的悉皆的に把握することを目的とした。二次がん調査では、昨期研究班で集められた小児がん経験者12,123例の臨床情報のクリーニング、更新を進め、リスク因子同定やその統計学的評価を含む、より詳細な二次がん情報を得る事を目的とした。さらに二次がん以外の晩期合併症に関しても実態把握と、現行の長期フォローアップ・ガイドラインの妥当性検討を目的とした。
研究方法
1) 小児がん発症の悉皆的把握:日本小児血液・がん学会の小児がん全数把握オンライン登録システムを運用し、モデル的地域がん登録や関連学会小児がん登録のシステムと連携させ、今年度以前も含めて年間2,000例規模の新規発症小児がん症例をデータベース化した。
2) 二次がん発症に関する疫学調査:研究参加16施設の小児がん経験者12,123例中、二次がん発生と考えられた181例のデータにつき、データクリーニング、長期フォローアップ情報の更新と二次、三次の確認作業を行い、より詳細な集計・解析を進め、リスク因子の同定やその統計学的評価を行った。
3) 二次がん以外の晩期合併症調査:小児がん長期生存者における二次がん以外の晩期合併症に関して、上記16施設中3施設の1237例について、実態把握、現行の長期フォローアップリスクレベル判定の妥当性を検討した。
4) 総括的検討: これらより本研究課題でバーチャルに運用した小児がん長期フォローアップ情報センターに求められる機能、政策的意義などについて検討した。
2) 二次がん発症に関する疫学調査:研究参加16施設の小児がん経験者12,123例中、二次がん発生と考えられた181例のデータにつき、データクリーニング、長期フォローアップ情報の更新と二次、三次の確認作業を行い、より詳細な集計・解析を進め、リスク因子の同定やその統計学的評価を行った。
3) 二次がん以外の晩期合併症調査:小児がん長期生存者における二次がん以外の晩期合併症に関して、上記16施設中3施設の1237例について、実態把握、現行の長期フォローアップリスクレベル判定の妥当性を検討した。
4) 総括的検討: これらより本研究課題でバーチャルに運用した小児がん長期フォローアップ情報センターに求められる機能、政策的意義などについて検討した。
結果と考察
新規発症小児がん症例のデータベース化では、今年度には2010年の固形腫瘍958例、造血器腫瘍1157例、2011年の固形腫瘍1000例、造血器腫瘍1038例、2012年の固形腫瘍876例、造血器腫瘍951例が登録され、関連学会や地域がん登録との連携により登録率は昨期研究班よりさらに上昇した。ニ次がん解析では今年度データクリーニング後の小児がん長期生存者9,565例中、135例(1.4%)でニ次がん発生が病理組織学的に確認された。二次がん累積発症割合は、診断後10年で1.6%(±0.2%)、20年で3.9%(±0.5%)、30年で8.1%(±1.5%)で、内訳はAML30 例、MDS 21例、脳腫瘍22例、骨軟部腫瘍15例、甲状腺癌13例などが多く、原発がんが固形腫瘍の場合、20%に成人型癌がみられた。危険因子の統計学的検索で、網膜芽細胞腫、骨軟部肉腫、同種移植などが有意の予後予測因子として示唆された。ニ次がん以外の合併症に関しては1,237例につき中間解析で、晩期合併症として内分泌疾患が20.4%と最も多く、骨筋肉障害がこれに次ぐことが明らかにされた。フォローアップレベル別の予測晩期合併症の確率(中央値)はレベル1で0.21、レベル2で0.20、レベル3で0.36、レベル4で0.61、レベル5Aでは、0.39であった (r=0.64、p<0.001)。本研究課題により本邦小児がん発生動態、長期フォローアップ情報が把握され、フォローアップの均霑化推進の方向性が提言された。
結論
本邦の小児がん登録は原子力発電者事故後も年間2,100例前後で大きな変化は見られていない。データクリーニング後の二次がん解析では、全体の1.4%で発症がみられ、二次がん累積発症割合は、診断後10年で1.6%(±0.2%)、20年で3.9%(±0.5%)、30年で8.1%(±1.5%)と中間解析結果より若干低いものの看過できない高率であることが示された。これまでに策定された長期フォローアップガイドラインの妥当性が示されたが、小児がんの登録から長期フォローアップ情報までをシームレスに収集する体制とそれを管理する恒常的な長期フォローアップ情報センター構築が望ましいもの考えられた。これにより本邦の小児がん発生動態の把握、長期フォローアップ情報の明確化とフォローアップの均霑化を図ってゆくべきことが提言された。
公開日・更新日
公開日
2015-09-03
更新日
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