文献情報
文献番号
201314026A
報告書区分
総括
研究課題名
再発小細胞肺癌に対する標準的治療法の確立に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-がん臨床-一般-008
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 功一(独立行政法人国立がんセンター 東病院 呼吸器内科)
研究分担者(所属機関)
- 田村友秀(独立行政法人国立がん研究センター中央病院)
- 森 清志(栃木県立がんセンター)
- 岡本浩明(横浜市立市民病院)
- 高橋利明(静岡県立静岡がんセンター)
- 横山 晶(新潟県立がんセンター新潟病院 )
- 樋田豊明(愛知県がんセンター中央病院)
- 今村文生(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター )
- 中川和彦(近畿大学医学部)
- 武田晃司(大阪市立総合医療センター)
- 木浦勝行(岡山大学病院)
- 細見幸生(東京都立駒込病院)
- 里内美弥子(兵庫県立がんセンター)
- 近森研一(独立行政法人国立病院機構山口宇部医療センター)
- 瀬戸貴司(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター)
- 工藤新三(大阪市立大学大学院医学研究科)
- 湊 浩一(群馬県立がんセンター)
- 澤 祥幸(岐阜市民病院)
- 西尾誠人(公益財団法人がん研究会有明病院)
- 野上尚之(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
13,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
再発小細胞肺がん(初回治療が奏効し、治療終了から90日以上経過して再発を認めたsensitive relapse,75歳以下、ECOG PS0-2)を対象にして、現在の標準的治療法と見なされるノギテカン(NGT)療法に対するシスプラチン+エトポシド+イリノテカン療法(PEI療法)の優越性を検証することを目的とする。プライマリーエンドポイントは生存期間である。
研究方法
NGT療法は、ノギテカン1.0 mg/m2(day1-5)、3週間隔、4コースとする。PEI療法は、第1週目:シスプラチン(25 mg/m2, day 1)+エトポシド(60 mg/m2, day 1-3)、第2週目:シスプラチン(25 mg/m2, day 1)+イリノテカン(90 mg/m2, day 1)の2週間を1コースとして5コース(計10週)の治療法である。生存期間中央値(MST)を8ヶ月から12ヶ月に向上させることを見込み、目標症例数は180例で、集積期間は当初計画の4年から6年に変更した。
結果と考察
平成19年8月にJCOGプロトコール審査委員会の承認を得て、平成19年9月20日より試験を開始した。平成19年度9例、平成20年度43例、平成21年度34例、平成22年度33例、平成23年度33例。平成24年度28例が登録され、平成24年11月19日に目標の180例の登録が完了した。平成26年3月に実施された全180例の最終解析レポートでは、プライマリーエンドポイントの全生存期間は、NGT療法12.5ヶ月、PEI療法18.2ヶ月(p=0.0079)であり、PEI療法において有意に生存期間が上回った。セカンダリーエンドポイントの無増悪生存期間、奏効割合においても、3.6ヶ月 vs. 5.7ヶ月(p < 0.001)、26.7% vs. 84.3%(p < 0.001)であり、PEI療法で有意に良好な結果であった。NGT療法と PEI療法それぞれにおけるグレード3以上の好中球減少85.6% vs 83.3%、ヘモグロビン減少27.8% vs 84.4%、血小板減少27.8% vs 41.1%、下痢0% vs 7.8%、発熱性好中球減少6.7% vs 31.1%であり、治療関連死亡はPEI療法群で1名、NGT療法群で2名認められ、毒性は明らかにPEI療法が強いと考えられた。
結論
本研究の結果、プライマリーエンドポイントの生存期間において、PEI療法は標準治療のNGT療法を上回っており、再発小細胞肺癌(sensitive relapse)に対する新たな標準治療になり得ると考えられた。ただし、PEI療法は毒性が強い治療法であることも確かであり、安全に実施するためには、適切なマネージメントも必要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2015-09-03
更新日
-