小児造血器腫瘍に対する標準治療と診断確立のための研究

文献情報

文献番号
201314012A
報告書区分
総括
研究課題名
小児造血器腫瘍に対する標準治療と診断確立のための研究
課題番号
H23-がん臨床-一般-014
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
堀部 敬三(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 明子(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
  • 渡辺 新(中通総合病院小児科)
  • 康 勝好(埼玉県立小児医療センター血液・腫瘍科)
  • 富澤 大輔(東京医科歯科大学医学部附属病院小児科)
  • 小川 千登世(独立行政法人国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科)
  • 鶴澤 正仁(愛知医科大学・先端医学研究センター)
  • 出口 隆生(三重大学医学部附属病院小児科)
  • 清河 信敬(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所小児血液・腫瘍研究部)
  • 森 鉄也(独立行政法人国立成育医療研究センター小児がんセンター血液腫瘍科)
  • 嶋田 博之(慶應義塾大学医学部小児科学)
  • 真部 淳(聖路加国際病院小児科)
  • 矢部 普正(東海大学医学部再生医療科学)
  • 前田 美穂(日本医科大学小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
23,250,000円
研究者交替、所属機関変更
小川千登世 平成25年4月1日~平成25年7月31日福島県立医科大学ふくしま国際医療科学センター、平成25年8月1日~平成26年3月31日独立行政法人国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科 森 鉄也 平成25年4月1日~平成25年8月31日国立成育医療研究センター生体防御系内科部、腫瘍科、平成25年9月1日~平成26年3月31日国立成育医療研究センター小児がんセンター血液腫瘍科

研究報告書(概要版)

研究目的
急性リンパ性白血病(ALL)等の小児造血器腫瘍に対して治療層別化のための診断体制を含めた臨床研究基盤の整備と質の高い臨床試験を立案・実施してエビデンスを創出する。
研究方法
日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)のもとに、以下の臨床試験を実施する。1)T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)に対するALL-T11、2)B前駆細胞性(BCP-)ALLに対するALL-B12、3)小児フィラデルフィア染色体陽性(Ph+) ALLに対するALL-Ph13、4)乳児ALLに対するMLL10、5)再発小児ALLに対するR-08、6)小児慢性骨髄性白血病(CML)に対する観察研究(CML-08)、7)小児非ホジキンリンパ腫(NHL)の3つの病型及びホジキンリンパ腫に対する新規臨床試験、8)造血幹細胞移植の標準治療確立のための新規臨床研究、9)ALLにおけるQOL調査研究。また、以下の基盤整備を行う。1)小児臨床試験の質を向上させるための研究体制、試験デザインやデータ管理手法の確立、2)ALLにおけるIg/TCR遺伝子再構成を標的とした遺伝子増幅法による微小残存病変(PCR-MRD)およびフローサイトメトリー法による微小残存病変(FCM-MRD)の診断確立、3)ALL治療研究における新規細胞分子診断法の確立、4)長期のフォローアップ体制の確立。これら臨床試験の実施にあたっては、匿名化による個人情報保護、統一された説明文書を用いた文書同意の取得、学会および施設の倫理審査委員会の承認取得、臨床試験登録を行う。
結果と考察
わが国で初めての小児ALLに対する全国統一臨床試験ALL-T11およびALL-B12をそれぞれ、平成23年12月、平成24年11月に開始した。平成26年3月末現在それぞれ110例、432例が登録された。今年度、新たにフィラデルフィア染色体陽性ALLに対する臨床試験ALL-Ph13が開始され、5例が登録された。その他の臨床試験として、乳児ALLの臨床試験MLL-10に58例、小児CMLの多施設共同観察研究 CML-08に70例が登録された。再発ALLの前方視的観察研究ALL-R08は、163例が登録されて目標症例数が達成され、10月に登録終了した。基盤整備では、JPLSGの各種臨床研究をモデルにデータ管理の実務と方法の標準化・効率化を図るために、JPLSGが実施する有害事象報告システムのWeb化による効率的な安全性情報管理体制を構築した。ALL骨髄PCR-MRD定量を計97例で実施した。FCM-MRD測定を再発ALLに対する臨床試験ALL-R08の80例、のべ約400ポイントで行い、PCR-MRDとの良好な相関性を確認した。治療終了後に起こりうる様々な問題に対処するための長期フォローアップガイドラインを策定・公開した。長期フォローアップ手帳の改変、小児がん経験者に対する教育ツールの作成・普及を行った。また、再発ALLに対してICH-GCP準拠の国際共同臨床試験IntReALL2010が計画され、実施計画書がほぼ完成した。高リスクB-NHLに対しても国際共同臨床試験(Inter-B-NHL2010)に準拠したICH-GCP準拠試験が計画された。が乳児ALL、Ph+ALL、再発ALL、B-NHLとALCLについて、次期研究として国際共同研究が検討されている。小児造血器腫瘍の各疾患・病型はいずれも希少疾患であり、今後、エビデンス創出には国際共同研究が不可欠であり、ICH-GCP準拠臨床試験の実施体制および新薬の成人・小児同時開発の仕組みの整備が必要である。
結論
小児ALLの全国統一研究が開始されたことで、ほぼすべての小児造血器腫瘍において標準治療が確立され、わが国の小児がん医療の標準化と均てん化が促進された。今後の国際共同研究に対応するためICH-GCP準拠臨床試験を実施できる体制整備が急がれる。

公開日・更新日

公開日
2015-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201314012B
報告書区分
総合
研究課題名
小児造血器腫瘍に対する標準治療と診断確立のための研究
課題番号
H23-がん臨床-一般-014
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
堀部 敬三(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 明子(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
  • 渡辺 新(中通総合病院小児科)
  • 康 勝好(埼玉県立小児医療センター血液・腫瘍科)
  • 富澤 大輔(東京医科歯科大学医学部附属病院小児科)
  • 小川 千登世(独立行政法人国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科)
  • 鶴澤 正仁(愛知医科大学・先端医学研究センター)
  • 出口 隆生(三重大学医学部附属病院小児科)
  • 清河 信敬(国立成育医療研究センター研究所、小児血液・腫瘍研究部)
  • 森 鉄也(国立成育医療研究センター小児がんセンター血液腫瘍科)
  • 嶋田 博之(慶應義塾大学医学部小児科学)
  • 真部 淳(聖路加国際病院小児科)
  • 矢部 普正(東海大学医学部再生医療科学)
  • 石田 也寸志(愛媛県立中央病院小児科)
  • 前田 美穂(日本医科大学小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
所属変更: 小川 千登世 平成25年4月1日~平成25年7月31日福島県立医科大学ふくしま国際医療科学センター、平成25年8月1日~平成26年3月31日独立行政法人国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科 森 鉄也 平成25年4月1日~平成25年8月31日国立成育医療研究センター生体防御系内科部、腫瘍科、平成25年9月1日~平成26年3月31日国立成育医療研究センター小児がんセンター血液腫瘍科

研究報告書(概要版)

研究目的
急性リンパ性白血病(ALL)等の小児造血器腫瘍に対して治療層別化のための診断体制を含めた臨床研究基盤の整備と質の高い臨床試験を立案・実施してエビデンスを創出する。
研究方法
日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)のもとに、以下の臨床試験を実施する。1)T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)に対するALL-T11、2)B前駆細胞性(BCP-)ALLに対するALL-B12、3)小児フィラデルフィア染色体陽性(Ph+) ALLに対するALL-Ph13、4)乳児ALLに対するMLL10、5)再発小児ALLに対するR-08、6)小児慢性骨髄性白血病(CML)に対する観察研究(CML-08)、7)小児非ホジキンリンパ腫(NHL)の3つの病型及びホジキンリンパ腫に対する新規臨床試験、8)造血幹細胞移植の標準治療確立のための新規臨床研究、9)ALLにおけるQOL調査研究。また、以下の基盤整備を行う。1)小児臨床試験の質を向上させるための研究体制、試験デザインやデータ管理手法の確立、2)ALLにおけるIg/TCR遺伝子再構成を標的とした遺伝子増幅法による微小残存病変(PCR-MRD)およびフローサイトメトリー法による微小残存病変(FCM-MRD)の診断確立、3)ALL治療研究における新規細胞分子診断法の確立、4)長期のフォローアップ体制の確立。これら臨床試験の実施にあたっては、匿名化による個人情報保護、統一された説明文書を用いた文書同意の取得、学会および施設の倫理審査委員会の承認取得、臨床試験登録を行う。
結果と考察
わが国で初めての小児ALLに対する全国統一臨床試験ALL-T11およびALL-B12をそれぞれ、平成23年12月、平成24年11月に開始した。平成26年3月末現在それぞれ110例、432例が登録された。また、平成25年10月には第二世代のフィラデルフィア染色体陽性ALLに対する臨床試験ALL-Ph13が開始され、5例が登録された。継続の臨床試験では、乳児ALLの臨床試験MLL-10に58例、小児CMLの多施設共同観察研究 CML-08に70例が登録された。再発ALLの前方視的観察研究ALL-R08は、163例が登録されて目標症例数が達成され、平成25年10月に登録終了した。基盤整備では、臨床試験参加状況とデータの質との関連について詳細に調査してデータ管理システムの改善を図り、また、JPLSGが実施する有害事象報告システムのWeb化による効率的な安全性情報管理体制を構築した。ALL骨髄PCR-MRD定量を計97例で実施した。FCM-MRD測定を再発ALLに対する臨床試験ALL-R08の80例、のべ約400ポイントで行い、PCR-MRDとの良好な相関性を確認した。治療終了後に起こりうる様々な問題に対処するための長期フォローアップガイドラインを策定・公開した。長期フォローアップ手帳をはじめ、小児がん経験者に対する教育・管理ツールの作成・普及を行った。また、再発ALLに対してICH-GCP準拠の国際共同臨床試験IntReALL2010が計画され、実施計画書がほぼ完成した。高リスクB-NHLに対しても国際共同臨床試験(Inter-B-NHL2010)に準拠したICH-GCP準拠試験が計画された。小児造血器腫瘍の各疾患・病型はいずれも希少疾患であり、今後、エビデンス創出には国際共同研究が不可欠であり、ICH-GCP準拠臨床試験の実施体制および新薬の成人・小児同時開発の仕組みの整備が必要である。
結論
小児ALLの全国統一研究が開始されたことで、ほぼすべての小児造血器腫瘍において標準治療が確立され、わが国の小児がん医療の標準化と均てん化が促進された。今後の国際共同研究に対応するためICH-GCP準拠臨床試験を実施できる体制整備が急がれる。

公開日・更新日

公開日
2015-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201314012C

収支報告書

文献番号
201314012Z