文献情報
文献番号
201313028A
報告書区分
総括
研究課題名
院内がん登録の標準化と普及に関する研究
課題番号
H22-3次がん-一般-040
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
西本 寛(独立行政法人 国立がん研究センター がん対策情報センター がん統計研究部)
研究分担者(所属機関)
- 山城 勝重(国立病院機構北海道がんセンター臨床研究部)
- 海崎 泰治(福井県立病院病理診断臨床病理科)
- 津熊 秀明(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センターがん予防情報センター)
- 固武 健二郎(栃木県立がんセンター・研究所)
- 猿木 信裕(群馬県立がんセンター)
- 岡村 信一(高崎健康福祉大学健康福祉学部健康栄養学科)
- 東 尚弘(国立がん研究センターがん対策情報センターがん政策科学研究部)
- 柴田 亜希子(国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部診療事態調査室)
- 増田 昌人(琉球大学医学部附属病院がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
16,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
がん診療連携拠点病院などにおいて実施される院内がん登録の標準化を推進するため、全国集計の分析を通じて、より実効性のある標準的な様式・手順を検討・提言する他、集計結果の提示方法および研究における利用方法も含めてモデル的に確立・提示する。あわせて、がん登録実務者を中心とした手順・登録内容の標準化や標準的ソフトウェアの提供を通じて、精度の高い院内がん登録の実現をめざす。
研究方法
がん診療連携拠点病院などにおいて実施される院内がん登録の標準化を推進し、院内の情報システム系との効率的な連携を図るため、以下の4点の検討・開発を行う。
1)登録様式に関する検討
関係者と共同し、登録項目の定義やコーディングルールの検討を継続して行い、標準登録様式改定案を策定する。
米国のCollaborative Staging version 2(CSv2)のような詳細な病期分類コード体系のわが国への運用実験を行う。
2)運用体制・手順の標準化の検討
がん対策情報センターと連携してがん登録実務者研修会を実施しつつ、教材およびカリキュラムの検討・評価を行う。
ネットワークを通じたデータ提供・収集の仕組みの実証的な実験により、即時性が高く、効率的な運用方法を策定・提示する。
3)登録支援ソフトウェアの開発・改善
Hos-CanRを母体に、より精密な院内がん登録支援ソフトウェアの開発・改善を行う。また、診療科データベースを含めた他のシステムとの連携機能を強化する。
4)がん診療連携拠点病院全国集計結果の分析・利用と公表手法の検討
がん診療連携拠点病院全国集計情報から詳細な分析あるいは追加的な調査研究を行い、これらのデータの研究利用の方法について検討・策定する。また、標準的な集計方法の検討・改善を継続的に行う。
今後、全国集計で得られる生存率等の情報も含めた集計結果の公表について、結果がより適切に利用・解釈されるようにその方法を検討・提示する。
1)登録様式に関する検討
関係者と共同し、登録項目の定義やコーディングルールの検討を継続して行い、標準登録様式改定案を策定する。
米国のCollaborative Staging version 2(CSv2)のような詳細な病期分類コード体系のわが国への運用実験を行う。
2)運用体制・手順の標準化の検討
がん対策情報センターと連携してがん登録実務者研修会を実施しつつ、教材およびカリキュラムの検討・評価を行う。
ネットワークを通じたデータ提供・収集の仕組みの実証的な実験により、即時性が高く、効率的な運用方法を策定・提示する。
3)登録支援ソフトウェアの開発・改善
Hos-CanRを母体に、より精密な院内がん登録支援ソフトウェアの開発・改善を行う。また、診療科データベースを含めた他のシステムとの連携機能を強化する。
4)がん診療連携拠点病院全国集計結果の分析・利用と公表手法の検討
がん診療連携拠点病院全国集計情報から詳細な分析あるいは追加的な調査研究を行い、これらのデータの研究利用の方法について検討・策定する。また、標準的な集計方法の検討・改善を継続的に行う。
今後、全国集計で得られる生存率等の情報も含めた集計結果の公表について、結果がより適切に利用・解釈されるようにその方法を検討・提示する。
結果と考察
1)登録様式に関する検討
平成25年度は全ての研究分担者間での検討をもとに、標準登録様式改定案を策定し、他の関係者の意見も聴取して修正・提示した。
CSv2の導入検討のため、主要5部位に対するCSv2入力の試験的運用を継続した。2011年院内がん登録全国集計から推計すると、各がん種ごとの所要時間を、CSv2を適用時、1施設あたり411時間、約0.24人分の追加労働が発生すると考えられた。
2)運用体制・手順の標準化の検討
初級修了者研修の中で、施設で活かせる情報をどう作成・検討するかという観点からQuality Indicatorの解説を行った。術中所見や試験開腹術等におけるTNM分類での病期分類の考え方や体腔鏡的治療の範囲など標準登録様式について検討した内容を、研修に反映させてきた。
登録の効率化や精度向上を考えた場合、casefinding手順の標準化が必要と考えられため、試みに手順を提示した。①病名リスト、②病理検査施行例、可能であれば③診療情報提供書、④抗腫瘍剤と内分泌薬使用症例から、対象症例リストを作成する手順となる。
3)登録支援ソフトウェアの開発・改善
Hos-CanR Plusを開発し、平成24年5月に公開した。改定後E/Fファイル形式が確定次第、実装・公開の予定。
退院サマリ等の処理を含む診療情報管理システムの開発・検証を進めた。また、相対生存率計算のためのソフトウェアの仕様を確定した。
NCDと連携した大腸癌診療科DBを取扱い規約第8版に発行に合わせて更新した。
4)がん診療連携拠点病院全国集計結果の分析・利用と公表手法の検討
都道府県に還元された全国集計のデータの利用規約を策定し、都道府県内の施設が利用しやすい形態を提案した。2011年全国集計において国際小児がん分類第3版に基づく集計を実施して、全国集計報告書に掲載した。
主要5部位以外においてcTNMの登録内容の分析を行った。子宮頸癌や前立腺癌を初め、食道癌、膵臓癌でも病期分類における、より高いエラーが生じていた。中級者以上の実務者の配置ともある程度は相関しており、中級実務者が勤務する施設からのデータを用いて解析・評価を検討する時期が来ているものと考えられた。
平成25年度は全ての研究分担者間での検討をもとに、標準登録様式改定案を策定し、他の関係者の意見も聴取して修正・提示した。
CSv2の導入検討のため、主要5部位に対するCSv2入力の試験的運用を継続した。2011年院内がん登録全国集計から推計すると、各がん種ごとの所要時間を、CSv2を適用時、1施設あたり411時間、約0.24人分の追加労働が発生すると考えられた。
2)運用体制・手順の標準化の検討
初級修了者研修の中で、施設で活かせる情報をどう作成・検討するかという観点からQuality Indicatorの解説を行った。術中所見や試験開腹術等におけるTNM分類での病期分類の考え方や体腔鏡的治療の範囲など標準登録様式について検討した内容を、研修に反映させてきた。
登録の効率化や精度向上を考えた場合、casefinding手順の標準化が必要と考えられため、試みに手順を提示した。①病名リスト、②病理検査施行例、可能であれば③診療情報提供書、④抗腫瘍剤と内分泌薬使用症例から、対象症例リストを作成する手順となる。
3)登録支援ソフトウェアの開発・改善
Hos-CanR Plusを開発し、平成24年5月に公開した。改定後E/Fファイル形式が確定次第、実装・公開の予定。
退院サマリ等の処理を含む診療情報管理システムの開発・検証を進めた。また、相対生存率計算のためのソフトウェアの仕様を確定した。
NCDと連携した大腸癌診療科DBを取扱い規約第8版に発行に合わせて更新した。
4)がん診療連携拠点病院全国集計結果の分析・利用と公表手法の検討
都道府県に還元された全国集計のデータの利用規約を策定し、都道府県内の施設が利用しやすい形態を提案した。2011年全国集計において国際小児がん分類第3版に基づく集計を実施して、全国集計報告書に掲載した。
主要5部位以外においてcTNMの登録内容の分析を行った。子宮頸癌や前立腺癌を初め、食道癌、膵臓癌でも病期分類における、より高いエラーが生じていた。中級者以上の実務者の配置ともある程度は相関しており、中級実務者が勤務する施設からのデータを用いて解析・評価を検討する時期が来ているものと考えられた。
結論
今年度は、最終年度ということもあり、各課題共に実用的なレベルの提言を中心に行った。特に、標準登録様式改定案、casefinding手順の提案、都道府県単位でのデータ利用規程策定については、実施レベルでの提言として、意義深いものと考えられる。今後も継続して、発展的に検討を進めるための枠組みの確立が望まれよう。
公開日・更新日
公開日
2015-09-02
更新日
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