国民に役立つ情報提供のためのがん情報データベースや医療機関データベースの質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
201313027A
報告書区分
総括
研究課題名
国民に役立つ情報提供のためのがん情報データベースや医療機関データベースの質の向上に関する研究
課題番号
H22-3次がん-一般-039
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
若尾 文彦(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター )
研究分担者(所属機関)
  • 飯塚 悦功(東京大学大学院工学系研究科)
  • 石川 ベンジャミン 光一(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
  • 小山 博史(東京大学大学院医学系研究科)
  • 柴田 大朗(独立行政法人国立がん研究センター 多施設臨床試験支援センター)
  • 河村 進(独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター)
  • 水流 聡子(東京大学大学院工学系研究科)
  • 平田 公一(札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座)
  • 福井 次矢(財団法人聖路加国際病院)
  • 松山 琴音(先端医療振興財団 臨床研究情報センター)
  • 山口 直人(東京女子医科大学医学部衛生学公衆衛生学第二講座)
  • 加藤 裕久(昭和大学薬学部薬物療法学講座医薬情報解析学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
46,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
患者・家族・国民に役立つ情報提供を実施するためのがん情報データベースや医療機関データベースを効率的に構築・運用する体制について検討し、有効性が検証されたものからがん情報提供ネットワーク等を通じて、迅速に患者に届けることができる体制を整えることを目的とする。
研究方法
「がん診療ガイドライン作成・公開体制に関する協議会」を研究的に立ち上げ、組織連携の推進、在り方について協議を行なった。
各臓器別WGで基本パスを検討・作成し、関連施設で評価を行った。作成された基本パスに基づいた患者向け解説を作成した。
動画コンテンツを作成し、利用状況について分析した。国内3臨床試験登録システムから新たに登録されたがん領域の試験を抽出し、累積4551試験に関して、領域×開発段階別の情報提供を行った。がん診療連携拠点病院現況報告書のデータを元に、拠点病院データベースを作成した。がん医療の診療プロセスの検討に基づき、望ましい診療プロセスを病院として、提供する体制の整備状況についてのアンケートとして、地域がん診療連携拠点病院用簡易版(29問)、都道府県がん診療連携拠点病院用フルバージョン(135問)を作成し、地域拠点69施設、都道府県拠点12施設からの回答を得た。
結果と考察
エビデンスデータベースシステムについて、他の情報提供サイトで公開されている情報の更新状況について照査し、もっとも正確に更新情報を掲載していることを確認した。データの更新体制を整備した上で、本システムを広く周知することで、わが国のがん診療ガイドラインのポータルサイトとして、ガイドライン検索のワンストップサービスを提供することが可能となると考える。各医療施設のがん診療の現況を示し、診療ガイドラインへの遵守の程度を容易に知ることができるツールの開発を目的に、全体像および詳細情報を分割して表示し、閲覧している個所が全体像のどこに当たるのかを示すナビゲーション機能が必要であることを解明し3次元の表現と動的操作を可能とした試作品を作成した。診療ガイドラインの利用の場を広げるため、モバイル端末でクリニカルクエスチョンの検索が可能になるCQ Finder Mobileを開発した。
がん診療の基本パスの作成を進め、7種の基本パスを新たに公開した。作成した動画番組コンテンツをもとにしたヒューリスティック分析を医療者で行ったところエージェントによる解説について冷たい印象を与えているとの感想があったが動画コンテンツの作成の簡易性については有用性が指摘された。文字の判読性や読み上げ音声を改良することで簡易的に医療専門家が動画を用いた番組コンテンツを作成し、既存のがん情報提供を補填する手法としての可能性を示すことができた.
臨床試験データベースについて、新インターフェースとして、がん種、都道府県、試験の進捗状況から該当する臨床試験を検索することができる「臨床試験を探す」を開発し、がん診療連携拠点病院相談支援センター向けに公開を行った。医療機関データベースについて、がん種別の情報を充実させた新ページを作成し公開するとともに、新たな検索機能として、専門医療職を検索する機能を新規開発し実装した。
ガイドラインの公開方法に関しては、利用者にとって分かり易いものにするためには、作成団体、包括的公開サイト作成団体、横断的学術団体の密接な協力体制が必要であり、今後はそれぞれの組織の特性に見合った役割分担の設定、およびそれらを統括していく組織の構築が必要であると考えられた。
がん医療の診療プロセスの検討に基づき、望ましい診療プロセスを病院として、提供する体制の整備状況についてのアンケートを作成しがん診療連携拠点病院に対して実施した。その結果,がん診療体制について,詳細な自己評価および相対評価が可能であることが確認された.本調査で用いた評価指標は,改善につながるよう詳細なレベルで設計されていることから,評価結果が改善に向けた行動変容をもたらす効果が期待できると考える。
結論
がん情報データベースとして、エビデンスデータベース、パスデータベース、患者向け情報コンテンツ、がん情報提供用放送番組用動画コンテンツ、臨床試験データベース、医療機関データベースを構築するとともに、診療ガイドライン作成・更新・公開体制の検討、がん診療の質評価に関する検討を実施した。各種がん情報データベースは、がん患者を含む国民にがんに関する正しい知識を伝えるために有用なツールであるとともに、がん診療の均てん化に貢献すると考える。また、正しいがん情報のデータ源となるがん診療ガイドラインの作成公開を効率的に実施するためには、わが国のがんの診療ガイドラインを作成・公開している関係者が情報共有。意見交換ンする場が重要であると考える。

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201313027B
報告書区分
総合
研究課題名
国民に役立つ情報提供のためのがん情報データベースや医療機関データベースの質の向上に関する研究
課題番号
H22-3次がん-一般-039
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
若尾 文彦(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター )
研究分担者(所属機関)
  • 飯塚 悦功(東京大学大学院工学系研究科)
  • 石川 ベンジャミン 光一(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
  • 小山 博史(東京大学大学院医学系研究科)
  • 柴田 大朗(独立行政法人国立がん研究センター 多施設臨床試験支援センター)
  • 河村 進(独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター)
  • 水流 聡子(東京大学大学院工学系研究科)
  • 平田 公一(札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座)
  • 福井 次矢(財団法人聖路加国際病院)
  • 松山 琴音(先端医療振興財団 臨床研究情報センター)
  • 山口 直人(東京女子医科大学医学部衛生学公衆衛生学第二講座)
  • 加藤 裕久(昭和大学薬学部薬物療法学講座医薬品情報解析部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
患者・家族・国民に役立つ情報提供を実施するためのがん情報データベースや医療機関データベースを効率的に構築・運用する体制について検討し、有効性が検証されたものからがん情報提供ネットワーク等を通じて、迅速に患者に届けることができる体制を整えることを目的とする。
研究方法
がん関連専門学会等が作成・公開するがん診療ガイドラインの公開状況について、出版物リスト、インターネットを用いて検索し、作成プロセスについて、AGREEによる評価を行ったうえで、がん情報サービスエビデンスデータベースに登録、公開した。
動画コンテンツを作成し、利用状況について分析した。国内3臨床試験登録システムから新たに登録されたがん領域の試験を抽出し、累積4551試験に関して、領域×開発段階別の情報提供を行った。わが国で使用されている代表的なレジメンについて実態調査を実施した。地上デジタル放送環境下でのデジタルテレビのがん患者必携参照用ウィジェットを開発し、患者必携情報を参照できるプロトタイプシステムを構築した。
現況報告書のデータを元に、拠点病院データベースを作成した。がん医療の診療プロセスの検討に基づき、望ましい診療プロセスを病院として、提供する体制の整備状況についてのアンケートとして、地域がん診療連携拠点病院用簡易版、都道府県がん診療連携拠点病院用フルバージョンを作成し、拠点病院に実施した。
結果と考察
エビデンスデータベースシステムについて、もっとも正確に更新情報を掲載していることを確認した。今後、がん診療ガイドラインのポータルサイトとして、ガイドライン検索のワンストップサービスを提供することが可能となると考える。各医療施設のがん診療の現況を示し、診療ガイドラインの利用の場を広げるため、モバイル端末でクリニカルクエスチョンの検索が可能になるCQ Finder Mobileを開発した。
がん診療の基本パスの作成を進め、全部で28種類の基本パスが公開した。
作成した動画番組コンテンツをもとにしたヒューリスティック分析を医療者で行ない、動画コンテンツの作成の簡易性について、有用性が指摘された。簡易的に医療専門家が動画を用いた番組コンテンツを作成し、既存のがん情報提供を補填する手法としての可能性を示すことができた.
臨床試験データベースについて、「臨床試験を探す」を開発し、がん診療連携拠点病院相談支援センター向けに公開を行った。医療機関データベースについて、がん種別の情報を充実させたページを作成し公開するとともに、新たな検索機能として、専門医療職を検索する機能を開発し実装した。
医療機関データベースにおいて、住所のメッシュ情報を利用し、病院の診療圏、地域のアクセス時間マップ、診療圏を共有する施設、地域の診療能力と病院の占有率などを可視化した。地上デジタル放送環境下でのデジタルテレビのがん患者必携参照用ウィジェットを開発し、インターネットへのデジタルTVの接続のための利用制限条件等の問題を明らかにした。
ガイドラインの公開方法に関しては、利用者にとって分かり易いものにするためには、作成団体、包括的公開サイト作成団体、横断的学術団体の密接な協力体制が必要であり、今後はそれぞれの組織の特性に見合った役割分担の設定、およびそれらを統括していく組織の構築が必要であると考えられた。
がん医療の診療プロセスの検討に基づき、望ましい診療プロセスを病院として、提供する体制の整備状況についてのアンケートを作成しがん診療連携拠点病院に対して実施した。その結果,がん診療体制について,詳細な自己評価および相対評価が可能であることが確認された.本調査で用いた評価指標は,改善につながるよう詳細なレベルで設計されていることから,評価結果が改善に向けた行動変容をもたらす効果が期待できると考える。
結論
がん情報データベース(エビデンスデータベース、パスデータベース、患者向け情報コンテンツ がん情報提供用放送番組用動画コンテンツ、臨床試験データベース、医療機関データベース)を構築するとともに、薬剤に関する調査、情報提供システムの構築、診療ガイドライン作成・更新・公開体制の検討、がん診療の質評価に関する検討を実施した。。各種がん情報データベースは、がん患者を含む国民にがんに関する正しい知識を伝えるために有用なツールであるとともに、がん診療の均てん化に貢献すると考える。また、正しいがん情報のデータ源となるがん診療ガイドラインの作成公開を効率的に実施するためには、わが国のがんの診療ガイドラインを作成・公開している関係者が情報共有。意見交換ンする場が重要であると考える。

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201313027C

収支報告書

文献番号
201313027Z