文献情報
文献番号
201313025A
報告書区分
総括
研究課題名
QOL向上のための、主に精神、心理、社会、スピリチュアルな側面からの患者・家族支援プログラムに関する研究
課題番号
H22-3次がん-一般-036
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
内富 庸介(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 小川 朝生(国立がん研究センター東病院 臨床開発センター)
- 清水 研(国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍科)
- 明智 龍男(名古屋市立大学大学院 医学研究科)
- 岡村 仁(広島大学大学院 保健学研究科)
- 大西 秀樹(埼玉医科大学国際医療センター)
- 森田 達也(聖隷三方原病院)
- 中谷 直樹(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
20,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
がん患者・家族のQOL向上のため、各側面における評価法及び介入法のプログラムの開発とその有用性の検討を行い、全国展開を目指す。
研究方法
これまでの研究で明らかとなったがん患者のQOLの精神・心理・身体機能的・社会・スピリチュアルの各側面に関する評価法・介入法を用いて有用性を検証した。
結果と考察
1.がん患者に対する包括的支援システムの開発 ・コミュニケーション技術研修会参加により、他者の感情をより強く認知するようになるが、更に学習プログラムを開発する必要性がある。
・死別後の対処行動パターンは“気そらし焦点型”、“絆の保持焦点型”、“全般対処型”の三つであった。今後、死別後のうつ病予防可能な配偶者支援プログラムを開発する予定である。
2.がん患者の精神症状に対する心理社会的介入法の開発
乳がん術後補助療法を受けている女性の心理社会的苦痛の緩和のため、精神科医と看護師との協働介入モデルを開発、検証したが、有用性は示されなかった。
3.がん告知後の心的外傷対処プロセスの解明に基づいた介入法の開発
わが国のがん患者に生じる外傷後成長(PTG)に関して、既存のPTGと異なり、がん特有、日本人特有のものが抽出された。
4.がん患者の難治精神症状に対する病態解明に基づいた介入法の開発
従来の薬物療法の適応が困難な終末期を含むがん患者のうつ病治療として、rTMS及びtDCSの基礎検討を進めた。tDCSは前頭葉機能を増強する可能性が示唆され、NIRSによる測定の実施可能性を確認した。今後、抑うつ状態の評価を含める予定である。
5.がん患者に対する包括的支援システムの開発に関する研究
進行がん患者に対するリハビリテーションマニュアルを作成し、その実施可能性・有用性の検討を行った。セラピストががん患者の状態を見落としなく網羅的に評価するのに有用であることが示唆された。
6.がん患者家族の支援プログラムの開発
家族・遺族へのケアに焦点を当てたプログラムを開発し、その検討により支援の方向性に関する仮説が実証された。今後は社会への還元を検討する必要がある。
7.がん患者のQOLを向上させるための緩和ケアプログラムの開発
わが国初のスピリチュアルケアの教育プログラムの検証を看護専門家と共同で行った。今後、更なる全国への普及が期待される。
8.心理社会的要因と発がん・生存に関する研究
心理社会的要因とがん発症/がん予後の関連について検討したが、両者の関連はない、あるいは僅かな可能性があるという結論が得られた。更なるエビデンスを構築することにより、両者の関連が明確になると考える。
・死別後の対処行動パターンは“気そらし焦点型”、“絆の保持焦点型”、“全般対処型”の三つであった。今後、死別後のうつ病予防可能な配偶者支援プログラムを開発する予定である。
2.がん患者の精神症状に対する心理社会的介入法の開発
乳がん術後補助療法を受けている女性の心理社会的苦痛の緩和のため、精神科医と看護師との協働介入モデルを開発、検証したが、有用性は示されなかった。
3.がん告知後の心的外傷対処プロセスの解明に基づいた介入法の開発
わが国のがん患者に生じる外傷後成長(PTG)に関して、既存のPTGと異なり、がん特有、日本人特有のものが抽出された。
4.がん患者の難治精神症状に対する病態解明に基づいた介入法の開発
従来の薬物療法の適応が困難な終末期を含むがん患者のうつ病治療として、rTMS及びtDCSの基礎検討を進めた。tDCSは前頭葉機能を増強する可能性が示唆され、NIRSによる測定の実施可能性を確認した。今後、抑うつ状態の評価を含める予定である。
5.がん患者に対する包括的支援システムの開発に関する研究
進行がん患者に対するリハビリテーションマニュアルを作成し、その実施可能性・有用性の検討を行った。セラピストががん患者の状態を見落としなく網羅的に評価するのに有用であることが示唆された。
6.がん患者家族の支援プログラムの開発
家族・遺族へのケアに焦点を当てたプログラムを開発し、その検討により支援の方向性に関する仮説が実証された。今後は社会への還元を検討する必要がある。
7.がん患者のQOLを向上させるための緩和ケアプログラムの開発
わが国初のスピリチュアルケアの教育プログラムの検証を看護専門家と共同で行った。今後、更なる全国への普及が期待される。
8.心理社会的要因と発がん・生存に関する研究
心理社会的要因とがん発症/がん予後の関連について検討したが、両者の関連はない、あるいは僅かな可能性があるという結論が得られた。更なるエビデンスを構築することにより、両者の関連が明確になると考える。
結論
本研究により包括的支援システムが開発され、全国展開による均てん化がなされることにより、多くのがん医療施設において支援体制が整い、がん患者・家族が充分な緩和医療を享受できQOLの向上につながる。また、緩和医学、支持療法、リハビリテーション医学、精神腫瘍の学問的体系化が期待される。
公開日・更新日
公開日
2015-09-02
更新日
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