文献情報
文献番号
201313017A
報告書区分
総括
研究課題名
がん治療のための革新的新技術の開発及び臨床応用に関する総合的な研究
課題番号
H22-3次がん-一般-025
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
大江 裕一郎(独立行政法人 国立がん研究センター 東病院 )
研究分担者(所属機関)
- 木下 平(愛知県がんセンター)
- 西尾 禎治(独立行政法人国立がん研究センター東病院 臨床開発センター)
- 角 美奈子(独立行政法人国立がん研究センター中央病院)
- 渡辺 俊一(独立行政法人国立がん研究センター中央病院)
- 伊関 洋(東京女子医科大学先端生命医科学研究所)
- 佐野 武(公益財団法人がん研究会有明病院)
- 藤元 博行(独立行政法人国立がん研究センター中央病院)
- 中面 哲也(独立行政法人国立がん研究センター早期・探索臨牀研究センター)
- 平家 勇司(独立行政法人国立がん研究センター早期・探索臨牀研究センター)
- 藤原 俊義(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 杉山 治夫(大阪大学大学院医学系研究科)
- 永田 靖(広島大学大学院医医歯薬学総合研究科)
- 高橋 進一郎(独立行政法人国立がん研究センター東病院)
- 大津 敦(独立行政法人国立がん研究センター早期・探索臨牀研究センター)
- 矢野 友規(独立行政法人国立がん研究センター東病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
35,847,000円
研究者交替、所属機関変更
研究者所属機関変更情報
(平成25年6月17日付 下記2名)
研究分担者 中面 哲也
旧)独立行政法人国立がん研究センター東病院 臨床開発センター
新)独立行政法人国立がん研究センター 早期・探索臨床研究センター
研究分担者 平家 勇司
旧)独立行政法人国立がん研究センター中央病院
新)独立行政法人国立がん研究センター 早期・探索臨床研究センター
研究報告書(概要版)
研究目的
革新的な診断、治療法の開発によりがん種別、病期別の治療成績のさらなる向上を目指すことを目的として、がん治療のための革新的新技術の開発及び臨床応用に関する総合的な研究を実施する。
研究方法
1) 診断
5ALA服用後に内視鏡切除を行い、切除標本に対して赤色蛍光を画像化しPDDを行い、病変部分の蛍光強度を評価する。
拡大赤外線内視鏡を用いた早期胃癌の深達度診断の研究では、前向き第2相試験を開始した。
2) 外科治療
StageIV胃癌治療例430例について、StageIVとなる因子による切除の適応の差について検討した。
安全な膵頭十二指腸切除法の開発の研究では、CT perfusion imageを用いた膵線維化診断の検討を行った。
3) 放射線治療
高精度陽子線治療のための新技術開発の研究では、プラスチックシンチレータを用いた線量分布計測システムの立案・設計を行い、プロトタイプの製作を行う。
体幹部定位照射における新しい計画・照射技術の開発に関する研究では、IMRT治療例についてVMATでの治療計画を行い、MU値、治療時間について検討した。
4) ウイルス治療・免疫療法など
Telomelysinを用いた抗癌剤併用ウイルス療法の前臨床研究では食道癌細胞株などを用いて、各種抗癌剤とTelomelysinの併用効果を検討した。
WT1ペプチドワクチンとしては、切除不能進行性膵癌に対するWT1+ジェムザール対ジェムザール単独のランダム化第Ⅱ相試験を実施中である。
5ALA服用後に内視鏡切除を行い、切除標本に対して赤色蛍光を画像化しPDDを行い、病変部分の蛍光強度を評価する。
拡大赤外線内視鏡を用いた早期胃癌の深達度診断の研究では、前向き第2相試験を開始した。
2) 外科治療
StageIV胃癌治療例430例について、StageIVとなる因子による切除の適応の差について検討した。
安全な膵頭十二指腸切除法の開発の研究では、CT perfusion imageを用いた膵線維化診断の検討を行った。
3) 放射線治療
高精度陽子線治療のための新技術開発の研究では、プラスチックシンチレータを用いた線量分布計測システムの立案・設計を行い、プロトタイプの製作を行う。
体幹部定位照射における新しい計画・照射技術の開発に関する研究では、IMRT治療例についてVMATでの治療計画を行い、MU値、治療時間について検討した。
4) ウイルス治療・免疫療法など
Telomelysinを用いた抗癌剤併用ウイルス療法の前臨床研究では食道癌細胞株などを用いて、各種抗癌剤とTelomelysinの併用効果を検討した。
WT1ペプチドワクチンとしては、切除不能進行性膵癌に対するWT1+ジェムザール対ジェムザール単独のランダム化第Ⅱ相試験を実施中である。
結果と考察
1) 診断
光線力学診断の研究では全8例登録され、全例合併症なく内視鏡切除が施行された。癌7例中、一致率は37.5%であった。
早期胃癌の深達度診断を検討した研究では計21例を登録した。手術標本病理結果では、19例が深達度はT1b以深であり、NBIでは全例にCVが確認でき、CVへのpoolingは16例、病巣内のpoolingは20例で見られた。
早期胃がんの深達度評価法、頭頸部がんおよび早期消化管がんに対するアミノレブリン酸を用いた光線力学診断の開発により手術の適正化および早期発見により低侵襲治療が可能になると期待される。
2) 外科治療
単一因子のみのStageIV R2症例について検討すると、H症例では長期生存は少なく、N/P症例でごく少数の長期生存を認めた。
CT perfusion imageを用いた膵線維化診断の研究では、動脈血流量は腺組織割合と正の、線維化割合、微小血管密度と負の相関を示した。
3) 放射線治療
高精度陽子線治療のための新技術開発として、肺がんなど動く腫瘍に対する高精度陽子線治療を実現可能とする陽子線ワンショット照射の研究開発を実施した。
VMATでは、従来のIMRTに比し、低MU値での治療が可能で、照射時間はIMRTの約20分から約5分と著明な短縮が得られた。
陽子線ワンショット照射などの照射技術の開発、IMRT・VMATなどの高精度放射線治療の開発・適応拡大もがんの治療成績向上およびがん患者のQOL向上に寄与するものと期待される。
4) ウイルス療法・免疫療法など
抗癌剤併用ウイルス療法の前臨床研究では、食道癌細胞株を用いて検討を行ったところ、Telomelysinと5-FU、シスプラチンの併用で相乗効果が認められた。
切除不能進行性膵癌に対するWT1+ジェムザール対ジェムザール単独の非盲検ランダム化第Ⅱ相臨床研究は、現在進行中である。
Telomelysinによるがん治療、がん特異抗原を標的とするペプチドワクチン免疫療法、など従来のがん治療とは異なる革新的新技術による治療法の開発および適応拡大はがん治療に画期的な進歩をもたらす可能性を秘めている。
光線力学診断の研究では全8例登録され、全例合併症なく内視鏡切除が施行された。癌7例中、一致率は37.5%であった。
早期胃癌の深達度診断を検討した研究では計21例を登録した。手術標本病理結果では、19例が深達度はT1b以深であり、NBIでは全例にCVが確認でき、CVへのpoolingは16例、病巣内のpoolingは20例で見られた。
早期胃がんの深達度評価法、頭頸部がんおよび早期消化管がんに対するアミノレブリン酸を用いた光線力学診断の開発により手術の適正化および早期発見により低侵襲治療が可能になると期待される。
2) 外科治療
単一因子のみのStageIV R2症例について検討すると、H症例では長期生存は少なく、N/P症例でごく少数の長期生存を認めた。
CT perfusion imageを用いた膵線維化診断の研究では、動脈血流量は腺組織割合と正の、線維化割合、微小血管密度と負の相関を示した。
3) 放射線治療
高精度陽子線治療のための新技術開発として、肺がんなど動く腫瘍に対する高精度陽子線治療を実現可能とする陽子線ワンショット照射の研究開発を実施した。
VMATでは、従来のIMRTに比し、低MU値での治療が可能で、照射時間はIMRTの約20分から約5分と著明な短縮が得られた。
陽子線ワンショット照射などの照射技術の開発、IMRT・VMATなどの高精度放射線治療の開発・適応拡大もがんの治療成績向上およびがん患者のQOL向上に寄与するものと期待される。
4) ウイルス療法・免疫療法など
抗癌剤併用ウイルス療法の前臨床研究では、食道癌細胞株を用いて検討を行ったところ、Telomelysinと5-FU、シスプラチンの併用で相乗効果が認められた。
切除不能進行性膵癌に対するWT1+ジェムザール対ジェムザール単独の非盲検ランダム化第Ⅱ相臨床研究は、現在進行中である。
Telomelysinによるがん治療、がん特異抗原を標的とするペプチドワクチン免疫療法、など従来のがん治療とは異なる革新的新技術による治療法の開発および適応拡大はがん治療に画期的な進歩をもたらす可能性を秘めている。
結論
手術、放射線治療、薬物治療などの従来のがんがん治療とは異なる斬新な発想に基づいた革新的技術による治療法の開発は、がんの克服、がん患者のQOL向上のために重要である。
公開日・更新日
公開日
2015-06-02
更新日
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