国際共同治験に基づく小児希少難病に対する遺伝子・細胞治療の実施とその支援体制の整備

文献情報

文献番号
201312019A
報告書区分
総括
研究課題名
国際共同治験に基づく小児希少難病に対する遺伝子・細胞治療の実施とその支援体制の整備
課題番号
H25-次世代-一般-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
小野寺 雅史(独立行政法人国立成育医療研究センター 研究所成育遺伝研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 奥山 虎之(独立行政法人国立成育医療研究センター 臨床検査部)
  • 内山 徹(独立行政法人国立成育医療研究センター 研究所成育遺伝研究部)
  • 中林 一彦(独立行政法人国立成育医療研究センター 研究所周産期病態研究部)
  • 藤本 純一郎(独立行政法人国立成育医療研究センター 臨床研究センター)
  • 瀧本 哲也(独立行政法人国立成育医療研究センター 臨床研究推進室)
  • 野々山 恵章(防衛医科大学校 小児科学講座)
  • 今井 耕輔(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 小児・周産期地域医療学講座)
  • 布井 博幸(宮崎大学医学部 小児科)
  • 有賀 正(北海道大学大学院医学研究科 小児科学分野)
  • 衞藤 義勝(財団法人脳神経疾患研究所 先端医療研究センター、遺伝病治療研究所)
  • 大橋 十也(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター、DNA 医学研究所 遺伝子治療研究部)
  • 大森 栄(信州大学医学部附属病院 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
90,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、欧米を中心に小児稀少遺伝性難病に対する遺伝子治療が数多く行われ、その有効性が臨床レベルで証明されている。殊に、原発性免疫不全症(PID)では造血幹細胞移植の適応とならない症例において遺伝子治療が根治療法とよべるほどの成績を上げている。一方、我が国の遺伝子治療は欧米のように進んでいない。この最大の原因は我が国に遺伝子治療を支えるインフラが整備されていないことによる。特に、欧米では遺伝子治療が医薬品の承認を目指した治験ベースで行われるに対し、我が国では遺伝子治療が医師や研究者による臨床研究レベルで行われ、この違いが遺伝子治療の発展を困難にしている。そこで、本研究では臨床研究中核病院である当センターが中心となり、遺伝子治療においては十分な実績を有する国内企業のタカラバイオ社と連携し、現在、イタリアSan Raffaele研究所にて行われているWiskott-Aldrich症候群(WAS)に対する造血幹細胞遺伝子治療を医師主導治験として我が国で実施する。そして、これら過程に通して得られる知見を基に産官学が協働する我が国に適した遺伝子治療(治験)の実施体制を整備する。また、これら稀少疾患に対する遺伝子治療を継続して実施していくためには、全国規模の患者登録体制や発症早期あるいは発症前に診断を可能にする簡便なスクリーニン法も重要となり、本研究において合わせて研究を進める。
研究方法
研究内容を大きく1) 遺伝子治療の実態調査、2) 前臨床研究して遺伝子治療の安全性や有効性に関する治療用ベクターの染色体挿入部位網羅的解析法や前処置として使用するブスルファンの血中モニタリングの確立、3) 臨床面としてPIDや代謝異常症のマス・スクリーニングや患者データベースの構築、4) 臨床研究中核病院における遺伝子・細胞治療の基盤整備やICH-GCPに基づくデータ管理体制の構築に分け、各分担研究者が独自に研究を進めた。
結果と考察
今年度も小児遺伝子性難病に関する貴重な研究成果が得られたが、その中で実態調査として行った欧州の遺伝子治療の実施体制について考えたい。まず重要な点は欧州では遺伝子治療がコンソーシアムを形成して行われていることである。小児遺伝子性難病のその多くは症例数が極めて少なく、たとえ一症例において有効性を示せても、統計学的その有効性を証明することは極めて困難である。また、各施設が異なったベクターや遺伝子導入法を用いた場合、そこで得られる結果は単純に比較することはできない。このようなことから統一のプロトコルにて遺伝子治療を行うこのコンソーシアムの導入はいまだ発展が求められる遺伝子治療の分野においては重要であり、このことからも欧米の遺伝子治療は単に遺伝子治療に関する技術が進んでいるだけではなく、遺伝子治療を包括的に支援する体制が整っていることを意味している。次にSCIDに対するマス・スクリーニングについて考える。およそSCIDはその診断に急を要し、1歳までに根治的治療法である造血幹細胞移植を行わないとその生存率は極端に低下する。このため、たとえ造血幹細胞移植や遺伝子治療の有効性が証明されてもSCIDを発症前に診断することは極めて重要で、このスクリーニング検査が行実施されれば根治療法である造血幹細胞移植や遺伝子治療が重度の感染症の無い状態で行うことができ、患者の生命予後は大きく改善する。さらに、このことは小児稀少疾患の患者登録にもつながる。よって、成育医療研究センターで現在、院内でスクリーニングを行っており、その確からしさを検証できれば全国の地方自治体へとその範囲を広げていきたいと考えている。
結論
1. 欧米で行われている遺伝子治療臨床研究の成績をまとめた。2. 前臨床試験として実際の遺伝子治療臨床研究で使用予定の治療用ベクターの挿入部位解析ならびにブスルファンの血中モニタリング法を確立した。3. PIDあるいは先天性代謝異常症におけるマス・スクリーニング法ならびに患者登録に関する疫学研究を行った。4. 臨床研究中核病院として本研究の支援の仕方を検討し、また、ICH-GCPに準拠したデータマネージメント体制の導入を準備した。なお、WAS遺伝子治療における臨床用ベクターの輸入先としてイタリアSan Raffaele研究所とし、契約締結後にすでに欧州等で承認されている非臨床・臨床試験データや品質試験データを入手し、PMDAとの薬事戦略相談を開始する予定である。

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201312019Z