乳幼児の疾患疫学を踏まえたスクリーニング及び健康診査の効果的実施に関する研究

文献情報

文献番号
201312007A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児の疾患疫学を踏まえたスクリーニング及び健康診査の効果的実施に関する研究
課題番号
H25-次世代-一般-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
岡 明(東京大学大学院 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 雅敬(東京都立小児総合医療センター)
  • 池田 均(獨協医科大学)
  • 中村 好一(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 坂田 英明(目白大学 保健医療学部)
  • 仁科 幸子(国立成育医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳幼児の健診及びスクリーニングについて、その有効性を評価し疫学的な視点を含めて検討し、全国的に標準化可能な効果的方法を提案することを目的として研究を行った。
研究方法
本研究では、乳幼児健診とスクリーニング事業の有効性について以下の6つの領域に分けて評価検討した。
1.神経芽腫早期診断に向けたスクリーニングのあり方:乳児神経芽腫マススクリーニング休止後の発生数とその特徴、また神経芽腫による死亡数の変化を調査検討した。
2.3歳児検尿の効果的方法と腎尿路奇形の早期発見:①3歳児健診の検尿地域での標準化モデル事業②試験紙法による腎尿路奇形発見の感度の検討③尿中β2ミクログロブリン濾紙法の検討④4か月健診腎エコーの検討⑤新生児濾紙血によるクレアチニン測定⑥腎尿路奇形への早期介入のエビデンスについて研究を行なった。
3..新生児期と乳幼児健診での効果的な聴覚スクリーニング:聴覚については、10か月時に音源への詮索反応を含めたアンケート項目を作成し、併せて新生児スクリーニングの実施の状況について調査を行った。
4..乳幼児健診での効果的な視覚スクリーニング:乳幼児健康診査における眼の疾病及び異常の有無のスクリーニングについて全国実態調査を実施し、健診での視覚検査の現状の問題点と改善策を検討した。
5.乳幼児健診における「育てにくさ」に寄り添う母子保健に関する研究:「健やか親子21」として母子保健について現状で必要とされる視点や対応について小児科、産婦人科、保育の専門家によるワーキンググループにて検討し、今後「健やか親子21」の目標を達成するために重要なポイントを提案した。
6.新生児の動脈血酸素飽和度測定による先天性心疾患のスクリーニング:新生児の動脈血酸素飽和度測定による先天性心疾患のスクリーニングについては、海外での研究結果を検討し総括した。
結果と考察
1.今年度の調査結果では、神経芽腫マススクリーニング休止後の発生状況については、マススクリーニング事業の再開を積極的に考慮すべき必要性を示す結果は得られなかったと考えられるが、引き続き慎重に検討を行う必要がある。また、神経芽腫に対するマススクリーニング休止(2004年)による死亡数/率の上昇はないと考えるのが合理的であるとの判断に至ったが、2009年の死亡数/率の上昇などがあるため、さらに詳細な観察の必要もあると判断した。
2.3歳児健診の標準化した検尿についてモデル地区での運用のための準備を行った。モデル地区では今後、コストベネフィットも考慮した効率の良い検尿システムを確立し、標準化を目指す。現状では地域により運用がかなり異なり、各地域での今後の課題抽出が必要である。腎尿路奇形の早期発見に関しては、3歳での濾紙や試験紙を用いた方法の有用性を検討するとともに、4ヶ月児の超音波スクリーニングを試行した。また、新生児血中クレアチニンのタンデムマスによるマススクリーニングも実現性が高い方法であると思われた。また文献的に早期介入のエビデンスを検討し、早期発見が進行を抑える意味で重要な疾患を抽出した。更に薬物治療の使用は進行を遅くすることが可能であり有効である。
3.乳幼児健診での聴覚スクリーニングとしては、音源への詮索反応を含めたアンケート項目を作成した。難聴の早期発見のための被検児の時期としては条件詮索が可能な10か月が適切であると考えられる。
4.乳幼児健診における視覚スクリーニングに関する全国実態調査を実施するともに、0~3歳における重症眼疾患の検出、3歳児健康診査における眼の検査での弱視の検出について現状の問題点と改善策を検討した。視覚スクリーニングの初回実施時期を早期に改変すること、実施方法の再検討を行うこと、各時期における簡便で有効な視覚スクリーニング法のマニュアル化と普及が必要と考えられた。
5.従来の虐待、あるいは要保護の概念よりも広い「育てにくさ」の視点での保護者への質問を行い、より有効な育児支援と、虐待予防が可能であると考えられる。妊娠―出産―産褥―育児期を通じた育児支援として、特定妊婦からその後の保育、教育機関までを通じた連携を行うことにより、社会として子どもを育てる環境作りが重要である。
6.新生児の動脈血酸素飽和度測定による先天性心疾患のスクリーニングは、海外での研究にて、低侵襲・簡便であり、高精度の方法として認知され、標準的方法として普及しつつある。今後、その実施上の問題についてさらに調査検討を行う必要がある。
結論
次年度は、上記について引き続き研究を行い、乳幼児健診ならびにスクリーニングに関するこれらの各領域において、全国的に標準化が可能でありかつ効果的な方法という視点で検討を進める予定である。

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201312007Z