文献情報
文献番号
201311017A
報告書区分
総括
研究課題名
J-ADNI2プレクリニカルAD研究
課題番号
H25-認知症-指定-009
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
バイオテクノロジー開発技術研究組合(バイオテクノロジー開発技術研究組合)
研究分担者(所属機関)
- 岩坪 威(東京大学医学系研究科神経病理学)
- 朝田 隆(筑波大学臨床医学系精神医学)
- 荒井 啓行(東北大学老年科先進漢方治療医学)
- 杉下 守弘(脳血管研究所)
- 松田 博史(国立精神・神経医療研究センター)
- 伊藤 健吾(国立長寿医療研究センター研究所長寿脳科学研究部)
- 千田 道雄(先端医療センター)
- 桑野 良三(新潟大学脳研究所バイオリソース研究部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
165,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
アルツハイマー病(AD)に対する根本治療法の開発は急務であり、ADの病態を忠実に反映する早期のバイオマーカー(BM)が求められている。早期の病態としてはMCI以前に「アミロイドPET陽性もしくは脳脊髄液Aβ42により検出可能な、ADの病理変化はあるが認知機能は正常な時期(プレクリニカルAD(P-AD))」が提唱されており、AD発症最初期過程と仮想されるP-ADの実態把握、ADの早期BM探索等を目的としてP-ADの長期縦断観察研究を実行する。
研究方法
臨床コア
プロトコル策定、手順書、症例報告書、ワークシート等の作成。東大にデータセンターを設置、関係機能との連携体制整備。
MRIコア
標準撮像法プロトコル、品質管理体制、幾何学的歪み及び信号値不均一性の画像補正法等の確立。
PETコア
アミロイド(AM-)PET薬剤、撮像施設を選定。薬剤の読影基準を設定し、読影体制を構築。
生化学コア
プロトコル策定、手順書作成、生体試料採取資材の準備。
生体試料の保管・管理体制の整備。
倫理面への配慮
J-ADNI2プロジェクトはまず主任研究者の機関にて倫理審査を受け、ついで参加各施設にて倫理委員会の承認を得たところから研究を開始している。被験者からは、スクリーニングの前にインフォームドコンセントを得ている。また、データは匿名化されて扱われる。
プロトコル策定、手順書、症例報告書、ワークシート等の作成。東大にデータセンターを設置、関係機能との連携体制整備。
MRIコア
標準撮像法プロトコル、品質管理体制、幾何学的歪み及び信号値不均一性の画像補正法等の確立。
PETコア
アミロイド(AM-)PET薬剤、撮像施設を選定。薬剤の読影基準を設定し、読影体制を構築。
生化学コア
プロトコル策定、手順書作成、生体試料採取資材の準備。
生体試料の保管・管理体制の整備。
倫理面への配慮
J-ADNI2プロジェクトはまず主任研究者の機関にて倫理審査を受け、ついで参加各施設にて倫理委員会の承認を得たところから研究を開始している。被験者からは、スクリーニングの前にインフォームドコンセントを得ている。また、データは匿名化されて扱われる。
結果と考察
臨床コア
対象年齢は65~84歳とし、アミロイド陽性・陰性群とも150名程度とした。追跡期間3年、1年毎の来院評価とした。
被験者への結果開示についても方針を定めた。
手順書は各ビジットの流れを重視して作成し、症例報告書、ワークシート等を作成した。
データセンターを立上げ、データQCの手順書やマニュアルを作成し、臨床コア幹事がITコアPI補佐を兼任して情報共有しやすい体制とした。
MRIコア
構造的撮像法に関しては、IRSPGRまたはMPRAGEを用いて標準化した。機能的撮像法に関しては、rs-fMRI 、ASL、DTIとし、撮像法を標準化した。全国12施設で施設認定も実施した。
3 T MRIの画像に対し、既に確立したファントムによる補正を行い、1.5T MRIと同程度の再現性を確保した。ファントムによる歪み補正は世界に先駆けて開発したものであり、論文発表を行った。
根治薬によりADの海馬萎縮を年間で25%改善する場合のサンプル数を求めた場合、歪み補正がサンプル数の縮小に貢献することを世界に先駆けて証明した。
rs-fMRI、ASL、DTIにおいても課題に対処した。
PETコア
アミロイド薬剤として、11C-PiB、18F-Florbetapir、18F-Flutemetamolの3薬剤を用いる方針を決めた。
全国で実施できる体制を構築し、ほぼすべての地方に最低1つの実施施設を整備できる見通しである。
PET検査用薬剤合成装置を全国6施設に導入し、18F-Flutemetamol合成の基盤を構築した。
PETマニュアルを作成した。全国の8施設で施設認定も実施した。
各薬剤の放射能投与量、待機時間、撮像時間を決め、画像再構成条件は、Hoffmanファントムを用いてカメラ毎に決めることにした。また、薬剤毎に読影方法と判定基準を決めた。
P-AD被験者のスクリーニング(SC)に必要なため、読影委員2名が独立に判定して、責任者が確認し、結果を返す読影システムを構築した。
生化学コア
血液検査は、SC、ベースライン(BL)、12、24、36ヶ月に実施し、脳脊髄液検査はBL、12、36ヶ月で実施する。ゲノムDNA採取、不死化細胞株作製用の採血はBLに実施し、末梢血RNAの採取はBL、12、24、36ヶ月に実施する。
脳脊髄液を用いた解析はLuminexによりAβ42、総τ、リン酸化τを測定する。
ゲノムDNA解析については、APOE多型および公開データベースに登録されている遺伝子のタイピングを実施し、必要に応じて新規一塩基置換による網羅的解析または全ゲノム網羅的解析を行う体制を整えた。
末梢血RNA採取用の採血管はPAXgene RNA用採血管を用いる。
プロトコルに従い手順書を作成し、生体試料を保管・管理する体制を整えた。
超早期発見・予防的治療介入に向けて、P-ADを対象とした全国共同の縦断的観察研究を施行する準備が整ったことは大きな前進である。特にP-ADのSCにAM-PETを用いることから、PETの実施体制を構築することが重要となっている。データセンターも立ち上がり、MRI、PETの検査体制も順調に稼働している。生化学検査もプロトコル作成等準備が整っており、今後、被験者のSC、組入れを進めていく。
対象年齢は65~84歳とし、アミロイド陽性・陰性群とも150名程度とした。追跡期間3年、1年毎の来院評価とした。
被験者への結果開示についても方針を定めた。
手順書は各ビジットの流れを重視して作成し、症例報告書、ワークシート等を作成した。
データセンターを立上げ、データQCの手順書やマニュアルを作成し、臨床コア幹事がITコアPI補佐を兼任して情報共有しやすい体制とした。
MRIコア
構造的撮像法に関しては、IRSPGRまたはMPRAGEを用いて標準化した。機能的撮像法に関しては、rs-fMRI 、ASL、DTIとし、撮像法を標準化した。全国12施設で施設認定も実施した。
3 T MRIの画像に対し、既に確立したファントムによる補正を行い、1.5T MRIと同程度の再現性を確保した。ファントムによる歪み補正は世界に先駆けて開発したものであり、論文発表を行った。
根治薬によりADの海馬萎縮を年間で25%改善する場合のサンプル数を求めた場合、歪み補正がサンプル数の縮小に貢献することを世界に先駆けて証明した。
rs-fMRI、ASL、DTIにおいても課題に対処した。
PETコア
アミロイド薬剤として、11C-PiB、18F-Florbetapir、18F-Flutemetamolの3薬剤を用いる方針を決めた。
全国で実施できる体制を構築し、ほぼすべての地方に最低1つの実施施設を整備できる見通しである。
PET検査用薬剤合成装置を全国6施設に導入し、18F-Flutemetamol合成の基盤を構築した。
PETマニュアルを作成した。全国の8施設で施設認定も実施した。
各薬剤の放射能投与量、待機時間、撮像時間を決め、画像再構成条件は、Hoffmanファントムを用いてカメラ毎に決めることにした。また、薬剤毎に読影方法と判定基準を決めた。
P-AD被験者のスクリーニング(SC)に必要なため、読影委員2名が独立に判定して、責任者が確認し、結果を返す読影システムを構築した。
生化学コア
血液検査は、SC、ベースライン(BL)、12、24、36ヶ月に実施し、脳脊髄液検査はBL、12、36ヶ月で実施する。ゲノムDNA採取、不死化細胞株作製用の採血はBLに実施し、末梢血RNAの採取はBL、12、24、36ヶ月に実施する。
脳脊髄液を用いた解析はLuminexによりAβ42、総τ、リン酸化τを測定する。
ゲノムDNA解析については、APOE多型および公開データベースに登録されている遺伝子のタイピングを実施し、必要に応じて新規一塩基置換による網羅的解析または全ゲノム網羅的解析を行う体制を整えた。
末梢血RNA採取用の採血管はPAXgene RNA用採血管を用いる。
プロトコルに従い手順書を作成し、生体試料を保管・管理する体制を整えた。
超早期発見・予防的治療介入に向けて、P-ADを対象とした全国共同の縦断的観察研究を施行する準備が整ったことは大きな前進である。特にP-ADのSCにAM-PETを用いることから、PETの実施体制を構築することが重要となっている。データセンターも立ち上がり、MRI、PETの検査体制も順調に稼働している。生化学検査もプロトコル作成等準備が整っており、今後、被験者のSC、組入れを進めていく。
結論
P-ADを対象とした縦断的観察研究における研究基盤を構築することができた。
公開日・更新日
公開日
2016-09-12
更新日
-