文献情報
文献番号
201311013A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症非薬物療法の普及促進による介護負担の軽減を目指した地域包括的ケア研究
課題番号
H25-認知症-一般-008
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
鳥羽 研二(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 朝田 隆(筑波大学医学医療系)
- 山口 晴保(群馬大学大学院保健学研究科)
- 神崎 恒一(杏林大学医学部・高齢医学)
- 秋下 雅弘(東京大学医学部附属病院・老年病科)
- 梅垣 宏行(名古屋大学大学院医学系研究科)
- 松林 公蔵(京都大学東南アジア研究所)
- 粟田 主一(東京都健康長寿医療センター研究所)
- 東 憲太郎(三重県老人保健施設協会)
- 鷲見 幸彦(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
- 櫻井 孝(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
- 服部 英幸(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
- 遠藤 英俊(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
10,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
認知症の生活機能評価、BPSD、ADL障害などへの対応マニュアルを作成報告してきた。対応マニュアルの骨格となるのは、薬物療法の功罪を含めた見直しと、非薬物療法の家庭への普及であるが、非薬物療法のエビデンスの研究は不十分であり、対応マニュアルの科学性の質を担保するため、非薬物療法の研究と包括的ケアへの効果判定は同時進行して行う必要がある。これらを家族教室などの住民啓発、地域包括、訪問看護、デイケア、認知症外来などで活用して、実効性を縦断的に検証し、国家的な対策として提言を行うこと。
研究方法
1)予防的側面(予防と早期のアドバイス手技に資する研究)、2)早期発見方法の確立、3)初期対応方法の確立、4)非薬物療法のテーラーメイド医療のノウハウの調査、5)認知症の身体疾患の管理に関する研究、6)認知症の新しい介護負担指標の確立と応用に関する研究、7)認知症疾患医療センターの活動機能調査。
結果と考察
1)生活習慣病スクリーニングからのハイリスクアプローチは困難(健常と認知症で有病率差なし)。2)早期発見ツールとしてIADLで、服薬管理、金銭管理、電話の3項目が認知症の予測因子であった。3)初期認知症のチェックリストである認知症初期症状13項目質問票Symptom of Early Dementia -13 Questionnaire(SED13Q)を改良し、11項目版 Symptom of Early Dementia -11 Questionnaire(SED-11Q)を開発した。4)認知症患者・介護者の唾液アミラーゼ濃度は正相関、介護負担の早期客観的評価法。5)介護負担は進行とともに増加 BPSD>生活障害>老年症候群の順で介護負担の要因となっていた。6)コメディカルでも家族でも評価可能なBPSD尺度で、ケアの良し悪しを反映するDBD13を開発した。7)介護負担の新尺度は、30家族からの詳細な聞き取り調査から、100項目以上の肉体的、精神的、経済的、社会的負担が集積し、因子分析を経て、初期の30項目程度の仮評価法の完成を予定。
8)身近型認知症疾患医療センター候補医療機関は,周辺症状や身体合併症に対する入院対応機能は低いものの、「鑑別診断機能」「周辺症状外来対応機能」「地域連携機能」においては,認知症疾患医療センターとほぼ同等の機能があり、認知症サポート医よりも高い機能を発揮していることが示された。さらに「在宅医療機能」や「アウトリーチ機能」において高い機能を発揮している医療施設があることも明らかになった.身近型認知症疾患医療センターにおいては,「鑑別診断機能」「周辺症状外来対応機能」「地域連携機能」は必須機能であり、特に、行政や地域包括支援センターと連携した認知症初期対応支援機能を担うことが強く求められる。
8)身近型認知症疾患医療センター候補医療機関は,周辺症状や身体合併症に対する入院対応機能は低いものの、「鑑別診断機能」「周辺症状外来対応機能」「地域連携機能」においては,認知症疾患医療センターとほぼ同等の機能があり、認知症サポート医よりも高い機能を発揮していることが示された。さらに「在宅医療機能」や「アウトリーチ機能」において高い機能を発揮している医療施設があることも明らかになった.身近型認知症疾患医療センターにおいては,「鑑別診断機能」「周辺症状外来対応機能」「地域連携機能」は必須機能であり、特に、行政や地域包括支援センターと連携した認知症初期対応支援機能を担うことが強く求められる。
結論
本研究班により期待される成果は、正しい見方(診断)に裏打ちされた、MCIから終末期まで、非薬物療法のエビデンスに基づく「適切な対応」を系統だって構築することであり、今後の施策方向性に合致するのみならず、オレンジプランの具体的施策の殆どの領域に、「実際の方法」と「裏打ちされる成績」をセットで提供するものであり、施策の微修正に直接反映されるものである。今後展開されるモデル事業を通じて、全国での民間利用に活用されることは云うまでもない。
公開日・更新日
公開日
2014-08-26
更新日
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