わが国における認知症の経済的影響に関する研究

文献情報

文献番号
201311010A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国における認知症の経済的影響に関する研究
課題番号
H25-認知症-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
佐渡 充洋(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急速な高齢化に伴い、認知症患者の数も急激に増加している。諸外国では、認知症の問題を医療の枠をこえ、国家的な問題としてこれを位置づけ、その対策を行ってきている。我が国でも、厚生労働省が「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を策定し、認知症対策の施策の一層の推進に取り組んでいるが、国家戦略といえるものは策定されていない。また、その社会的コストについても明らかになっていない。そこで、本研究では、我が国における認知症の社会的コストを明らかにすることを最終的な目標に、今年度は以下の4つの課題にと
り組むこととした。(研究1)認知症の疾病費用研究の簡易系統レビュー、(研究2)認知症の直接費用の推計、(研究3)先行研究における間接費用の推計方法に関する文献レビュー、(研究4)インフォーマルケア時間のデータ探索およびタイムスタディの質問紙の開発。
研究方法
(研究1)では、簡易系統レビューを通じて、諸外国において認知症の疾病費用研究がどの程度実施され、どのような結果になっているのかについて概観した。(研究2)では、現在入手できるデータから、認知症の直接費用を推計した。(研究3)では、認知症の疾病費用研究において間接費用にはどのような費用が含まれ、それらがどのような形で推計されているのかについて簡易系統レビューを通して考察し、最後に(研究4)では、(研究3)の結果を踏まえて、認知症の間接費用を推計するにあたり妥当なデータが存在するかどうかを確認し、ない場合には、調査を実施するための調査票の開発を行った。
結果と考察
(研究1)では、ヨーロッパを中心に認知症の疾病費用研究が盛んに実施されていること、インフォーマルケア費用の割合が多くを占めること、(研究2)では、認知症の直接費用が、5.9兆円(医療費3,815億円、介護費5兆4,705億円)であること、ただし、正確な推計には課題も多いこと、(研究3)からは、間接費用では、インフォーマルケアコストの推計が必須であること、インフォーマルケアコストには、インフォォーマルケア時間の調査には、Recall法が一般的であること、(研究4)からは、日本において、疾病費用推計のための適切なタイムスタディのデータが存在しないことなどが明らかとなった。
 今年度の4つの研究から、認知症の疾病費用研究は、ヨーロッパを中心に諸外国で実施されているが、推計の方法は、様々であることが明らかとなった。それには、推計のために必要なデータの利用可能性が国によって異なることが影響していると考えられた。また、人口構成が似た国でも疾病費用やその構成比が異なることから、我が国独自に調査を遂行する必要性が伺われた。直接費用の推計からは、認知症においては医療より介護の負荷が非常に高いことが明らかになったが、医療費、介護費ともその費用の正確な推計には多くの課題があり、より正確な社会的コストの把握のためには、データ整備がさらに進む必要性が考えられた。また、認知症の疾病費用研究で大きな課題となる間接費用については、インフォーマルケアコストの推計が一般的で労働生産性損失や死亡費用についてはほとんど推計されていなかったが、これには、認知症の発病年齢が高いことが影響していると考えられた。最後に、我が国におけるインフォーマルケアコスト推計のためのインフォーマルケア時間については妥当なデータが存在しておらず、これについては独自に調査をする必要性が検討された。
結論
認知症の疾病費用研究は、諸外国で実施されているが、推計の方法は様々である。直接費用の推計からは、医療より介護の負荷が非常に高いが、医療費、介護費ともその費用の正確な推計には多くの課題が残る。最後に、インフォーマルケアコスト推計のためのインフォーマルケア時間については妥当なデータが存在しておらず、これについては独自に調査をする必要性がある。

公開日・更新日

公開日
2014-08-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201311010Z