膝痛・腰痛・骨折に関する高齢者介護予防のための研究:大規模住民コホート(LOCOMOスタディ)の追跡

文献情報

文献番号
201310018A
報告書区分
総括
研究課題名
膝痛・腰痛・骨折に関する高齢者介護予防のための研究:大規模住民コホート(LOCOMOスタディ)の追跡
課題番号
H25-長寿-一般-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
吉村 典子(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 関節疾患総合研究講座)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 耕三(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 阿久根 徹(東京大学医学部附属病院 臨床運動器医学講座)
  • 藤原 佐枝子(広島原爆障害対策協議会 健康管理・増進センター)
  • 鈴木 隆雄(国立長寿医療研究センター研究所)
  • 吉田 英世(東京都健康長寿医療センター )
  • 大森 豪(新潟医療福祉大学)
  • 須藤 啓広(三重大学医学部 整形外科学)
  • 西脇 祐司(東邦大学医学部 衛生学)
  • 吉田 宗人(和歌山県立医科大学医学部 整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
18,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、膝痛、腰痛、並びにその原因疾患である変形性関節症や骨粗鬆症、骨粗鬆症による大腿骨頚部骨折、脊椎椎体骨折等の発生率、有病率の推移、予後などの疫学指標を確立し、危険因子を同定すること、さらに日常生活活動度(ADL)、生活の質(QOL)や要介護度との関係を検証し、エビデンスを解明することである。この目的を達成するために、平成20-24年度の厚生労働省科学研究費補助金助成(H20-長寿-一般-009)において、12,019人が参加する世界最大規模の運動器統合コホートを構築した。本研究班は、前述の研究班で構築した大規模コホートのデータベースを引き継ぎ、さらなる追跡を実行することにより、地域在住高齢者の要介護移行率を推定し、それに影響する要因について検討した。
研究方法
骨関節疾患を予防目的とした地域コホート研究のうち、大規模統合コホート統合データベース構築に参加したコホートは、東京1、和歌山、広島、三重、新潟、東京2、秋田、群馬の8地域コホートである。大規模コホートでベースラインデータ共通項目として統合し、さらに今後の追跡調査の際に、要介護度に加えて、身長や体重変化、転倒、栄養、QOL項目など共通の測定項目て追跡を行った。本年度は統合コホートの65歳以上参加者を対象に、要介護移行率を求め、それに影響を及ぼす要因を明らかにした。加えて分担研究者が担当する各地域コホートでは、統合コホートでは得られない独自のアウトカムの設定を行い、引き続き追跡調査を行った。
結果と考察
65歳以上地域住民8,454人(平均76.1歳)の解析より、要介護移行率は3.58/100人年 (男性3.17/100人年、女性3.78/100人年)であること、要介護移行率に影響を及ぼす要因として、年齢(1歳上昇、ハザード比1.13、95%信頼区間1.12-1.15)、やせ(体格指数(BMI)<18.5kg/m2 vs. BMI 18.5-27.5kg/m2、ハザード比1.24、95%信頼区間1.01-1.53)および肥満(BMI>27.5kg/m2 vs. BMI 18.5-27.5kg/m2、ハザード比1.36、95%信頼区間1.08-1.71)が影響していることを示し、高齢者の生活の質(QOL)の維持・増進のためには、適正な体格の維持が必要であることを明らかにした。
 分担研究者が担当する各地域コホートでは、要介護移行の予測因子として、握力、膝伸展筋力、歩行速度、日常生活における身体活動の各項目の機能低下、中年期からの2cm以上の身長低下、血清アルブミン値、コレステロール値)、膝痛・腰痛の有無など、有用な指標を得た。さらに変形性膝関節症と機械的因子(膝内反、大腿四頭筋力、歩行時のスラスト)との関連、脊椎椎体骨折とQOL、運動機能との関係、認知機能と運動機能との関連、変性椎間板の有病率と腰痛との関連など、高齢者介護予防において重要な新しい知見を得た。
結論
65歳以上の地域住民8,454人を対象として、要介護移行率を推定し、年齢、地域差が関連すると共に、体格ではやせ、肥満ともに影響がみられることが明らかになった。さらに、分担研究者の地域コホート研究から、要介護移行に対して、身長や血液指標、痛みなどが関連していることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2014-08-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201310018Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
24,600,000円
(2)補助金確定額
24,600,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,959,300円
人件費・謝金 6,295,619円
旅費 1,171,930円
その他 7,497,151円
間接経費 5,676,000円
合計 24,600,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
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