文献情報
文献番号
201310011A
報告書区分
総括
研究課題名
頸部装着型機器による嚥下機能評価と食事介助支援装置の実用化
課題番号
H24-長寿-一般-008
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
松村 明(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
- 鈴木 健嗣(国立大学法人筑波大学 システム工学系)
- 日高 紀久江(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
- 鮎澤 聡(筑波技術大学 保険科学部 保健学科)
- 江口 清(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
- 中井 啓(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
7,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
加齢に伴い嚥下機能の低下が見られる在宅高齢者,嚥下機能障害のある入院患者に対し,適切な治療・リハビリテーションを行うため,高齢者でも利用可能で,実時間で嚥下機能を計測・記録及び提示可能な嚥下計測機器を新規開発した。これによる嚥下機能の計測をおこなう臨床研究を行い、その有効性を検証することを本研究の目的とした。また,病院内および外部協力機関と連携し、嚥下計測デバイスの改善およびスマートフォンを利用した計測システムの構築に着手し、在宅状況から情報収集を行う通信ネットワーク網を用いたデータ収集システムの構築を最終的な目標とした。
研究方法
本機器は、頸部の皮膚表面から装着型マイクであるエレクトレットコンデンサマイクを利用して採取する嚥下音に基づき,嚥下能力の推定を行うものである。解析装置には携帯端末(スマートフォン)と計算機を用いた。まず在宅高齢者・入院患者を対象に、嚥下活動の記録を行った。倫理委員会の認可のもと、嚥下時間,嚥下回数,嚥下異常音の取得を行うための臨床研究を実施した。
さらに,本装置を用いた嚥下音取得実験を通じて,嚥下直後の湿性音・泡立ち音,さらにむせに伴う喀出音と誤嚥の関係を明らかにするため,嚥下造影検査やマノメータ(圧力計測)と比較を通じて嚥下音信号解析をおこなった。さらに長期的および日々の持続的な計測を想定し,開発した装置により記録した嚥下音データをネットワーク上の管理するためのデータベースを構築している。
さらに,本装置を用いた嚥下音取得実験を通じて,嚥下直後の湿性音・泡立ち音,さらにむせに伴う喀出音と誤嚥の関係を明らかにするため,嚥下造影検査やマノメータ(圧力計測)と比較を通じて嚥下音信号解析をおこなった。さらに長期的および日々の持続的な計測を想定し,開発した装置により記録した嚥下音データをネットワーク上の管理するためのデータベースを構築している。
結果と考察
嚥下評価としては嚥下造影検査がゴールデンスタンダードである。また、ベッドサイドでは反復唾液嚥下テストも行われている。いずれも評価には一定の専門的知識・経験を要する。本デバイスを利用してRSSTの自動計測を行った。本実験での嚥下検出の精度と再現率は83.7%と93.9%であり、本デバイスでRSSTを自動計測することが可能であった。
嚥下造影検査(VF)を用い,開発した機器で取得した嚥下音とを比較し,嚥下時の口腔動作が嚥下音に与える影響について解析を行った.VFによる画像計測,本機器の音声信号計測,マノメトリーによる口腔内圧計測を同時に行い,嚥下時の動態解析を行うものである。神経筋疾患患者計10名(平均年
齢63歳)に検査を施行し、解析の結果、嚥下音における特徴が嚥下圧においてVP領域の圧の違いやUESの開大など咽頭期嚥下の状態を反映していると考えられた。また、脳出血患者のリハビリ前後での違いも検出することが可能であった。
嚥下造影検査(VF)を用い,開発した機器で取得した嚥下音とを比較し,嚥下時の口腔動作が嚥下音に与える影響について解析を行った.VFによる画像計測,本機器の音声信号計測,マノメトリーによる口腔内圧計測を同時に行い,嚥下時の動態解析を行うものである。神経筋疾患患者計10名(平均年
齢63歳)に検査を施行し、解析の結果、嚥下音における特徴が嚥下圧においてVP領域の圧の違いやUESの開大など咽頭期嚥下の状態を反映していると考えられた。また、脳出血患者のリハビリ前後での違いも検出することが可能であった。
結論
嚥下音の要素抽出について一定の知見が得られ、正常嚥下音の解析においても未だ確立した知見が得られていないものの、本研究で、障害パターンの分類が可能となってきた。
現行の検査手法との比較において、各成分の音圧比,潜時と嚥下動態について検討を行うことで,嚥下音検査による異常の診断方法を確立しつつある。
客観的評価基準を示し,ベッドサイドでのスクリーニング手段として,各評価者の技量によることなく,統一した基準で嚥下機能障害者を検出することができるとともに,嚥下機能の回復についての評価を可能とするものである.
現行の検査手法との比較において、各成分の音圧比,潜時と嚥下動態について検討を行うことで,嚥下音検査による異常の診断方法を確立しつつある。
客観的評価基準を示し,ベッドサイドでのスクリーニング手段として,各評価者の技量によることなく,統一した基準で嚥下機能障害者を検出することができるとともに,嚥下機能の回復についての評価を可能とするものである.
公開日・更新日
公開日
2014-08-26
更新日
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