文献情報
文献番号
201310009A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者在宅医療に関する多職種協働の阻害要因を克服する教育システムの構築に関する研究
課題番号
H24-長寿-一般-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
鳥羽 研二(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 辻 哲夫(東京大学高齢社会総合研究機構)
- 三浦 久幸(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
- 千田 一嘉(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
- 太田 秀樹(医療法人アスムス)
- 和田 忠志(医療法人財団実幸会 いらはら診療所)
- 亀井 智子(聖路加看護大学 老年看護学)
- 真田 弘美(東京大学大学院医学系研究科)
- 田高 悦子(横浜市立大学大学院医学研究科)
- 百瀬 由美子(愛知県立大学 看護学部)
- 秋下 雅弘(東京大学医学部附属病院 老年病科)
- 大河内 二郎(介護老人保健施設 竜間之郷)
- 神崎 恒一(杏林大学医学部 高齢医学)
- 高杉 敬久(日本医師会)
- 武久 洋三(日本慢性期医療協会)
- 大島 浩子(国立長寿医療研究センター)
- 後藤 百万(名古屋大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
16,693,000円
研究者交替、所属機関変更
研究者交替
三上裕司(日本医師会)→高杉敬久(日本医師会)
研究報告書(概要版)
研究目的
在宅高齢者医療の進展を阻害する主要因を1)医療サービス連携、2)高齢者疾患の対処困難性の問題の二つに絞り、現状分析を踏まえて解決策として教育とそれを生かした政策提言を行うことである。
研究方法
(1)事例集の収集 在宅医療現場での事例収集は、症候の変化にはあっても、在宅の持続療養を可能にした例、療養プランによって看取りがスムースに出来た例などの成功事例と、病院などへの転院例や救急依頼して在宅医療から脱落した例、家での看取りが出来なかった例など、成功事例と課題事例を半々とする。救急医療における事例収集は、特に在宅医療の課題のため入院となった症例を集める。在宅療養支援病棟における事例収集は、在宅において見逃されていた課題について重点的に収集する。また、在宅復帰の多職種ケアプラン作成の会議録を記録収集する。
(2)事例集に対する多職種コメント記載と協働作業上の重なりの研究 在宅医療推進会議の各団体に専門職一名を研究協力者として推薦してもらい、看護、訪問歯科、薬剤、訪問リハビリ、訪問栄養士、介護職が、別々の視点から事例に対して、理解しにくいところを指摘し、ケア改善のアドバイスを記載する。これらの整理と多職種協働における課題への分担と重複の研究を行う。
(2)事例集に対する多職種コメント記載と協働作業上の重なりの研究 在宅医療推進会議の各団体に専門職一名を研究協力者として推薦してもらい、看護、訪問歯科、薬剤、訪問リハビリ、訪問栄養士、介護職が、別々の視点から事例に対して、理解しにくいところを指摘し、ケア改善のアドバイスを記載する。これらの整理と多職種協働における課題への分担と重複の研究を行う。
結果と考察
I) 系統的教育カリキュラムの作成 平成24年度に研究者の既存の成果を基に、高齢者在宅医療における最低限度の6冊子を作成し、高齢者在宅医療総合研修において、アンケートを実施し、細目に関して、改善要望のあった、1300項目、班員からの意見を参考にして、改訂版を発行した。
II) Q&A テキスト作成状況 1)在宅医療の理念と心構えを最重点とし、①在宅医療は高齢者のための医療ですか ②在宅医療は病院医療より質が低いですか など13項目、在宅医療の実際23項目、在宅医療家族の問50項目。
2)技術的側面では、患者家族の訴えを重視するため、食事や排泄など、生活機能から発見する病態とケアを重視し、自覚症状や他覚所見である症候(老年症候群)別に、認知症79問答【ホームページで公開】、低栄養50項目、褥瘡12項目、呼吸困難、感染症22項目、排尿障害26問答、在宅見取り34問答、老年疾患43項目が完成した。
3)多職種連携関連では、医療職連携と行政連携のQ and A78項目、退院支援25項目、老人保健施設現場3項目、老いや死の価値17問の骨子が完成。重複などの整理、体裁の統一は次年度。
Q and A集について多職種間での知識不均衡があるかを検討した。
1) 多職種における、認知症在宅医療の同時テストで、医療職の平均点は家族より高かったが優位 な差はなかった。認知症ケア経験3年以上で、得点が向上する傾向(P=0.08)を認めた。
2) 医師は診断面のみ最高、非薬物療法、介護負担面で低い点数であった。
3) 看護職はエンドオブライフの薬剤中止に関し、家族、介護職より有意に点数が高かった
4) 介護職は昼夜逆転、リハ職は非薬物療法と徘徊で最高点であった。
5) MSW、リハ職、看護職は誤嚥・胃瘻に関して高い点数をとった。
6) なんでも相談室のあとでは、5%の成績改善が見られた。
II) Q&A テキスト作成状況 1)在宅医療の理念と心構えを最重点とし、①在宅医療は高齢者のための医療ですか ②在宅医療は病院医療より質が低いですか など13項目、在宅医療の実際23項目、在宅医療家族の問50項目。
2)技術的側面では、患者家族の訴えを重視するため、食事や排泄など、生活機能から発見する病態とケアを重視し、自覚症状や他覚所見である症候(老年症候群)別に、認知症79問答【ホームページで公開】、低栄養50項目、褥瘡12項目、呼吸困難、感染症22項目、排尿障害26問答、在宅見取り34問答、老年疾患43項目が完成した。
3)多職種連携関連では、医療職連携と行政連携のQ and A78項目、退院支援25項目、老人保健施設現場3項目、老いや死の価値17問の骨子が完成。重複などの整理、体裁の統一は次年度。
Q and A集について多職種間での知識不均衡があるかを検討した。
1) 多職種における、認知症在宅医療の同時テストで、医療職の平均点は家族より高かったが優位 な差はなかった。認知症ケア経験3年以上で、得点が向上する傾向(P=0.08)を認めた。
2) 医師は診断面のみ最高、非薬物療法、介護負担面で低い点数であった。
3) 看護職はエンドオブライフの薬剤中止に関し、家族、介護職より有意に点数が高かった
4) 介護職は昼夜逆転、リハ職は非薬物療法と徘徊で最高点であった。
5) MSW、リハ職、看護職は誤嚥・胃瘻に関して高い点数をとった。
6) なんでも相談室のあとでは、5%の成績改善が見られた。
結論
認知症在宅医療情報は職種間で非対称性ではなく、項目により得意不得意がある。BPSDやエンドオブライフケアは、看護、リハ、MSWなどが医師を啓発し、家族の安心を図る分野であることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2014-08-26
更新日
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