地域・在宅高齢者における摂食嚥下・栄養障害に関する研究-特にそれが及ぼす在宅療養の非継続性と地域における介入・システム構築に向けて

文献情報

文献番号
201310006A
報告書区分
総括
研究課題名
地域・在宅高齢者における摂食嚥下・栄養障害に関する研究-特にそれが及ぼす在宅療養の非継続性と地域における介入・システム構築に向けて
課題番号
H24-長寿-一般-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
葛谷 雅文(名古屋大学大学院医学系研究科 地域在宅医療学・老年科学)
研究分担者(所属機関)
  • 森本 茂人(金沢医科大学医学部大学院医学研究科高齢医学専攻 高齢医学)
  • 大類 孝(東北大学加齢医学研究所・高齢者薬物治療開発寄附研究部門)
  • 菊谷 武(日本歯科大学大学院生命歯学研究科・臨床口腔機能学)
  • 杉山 みち子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科)
  • 榎 裕美(愛知淑徳大学健康医療科学部・栄養学)
  • 梅垣 宏行(名古屋大学大学院医学系研究科 地域在宅医療学・老年科学)
  • 若林 秀隆(横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
12,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
当該研究は日本における様々な地域の在宅高齢者における摂食嚥下障害・低栄養の有症率を明らかにし、前向き研究により、それらの在宅高齢者の健康障害さらには在宅療養の継続性に与える影響を明らかにする。さらに今後の地域での対処法を様々な視点(薬物療法、リハビリテーション、歯科的介入)から立案し検証する。
研究方法
介護支援専門員を基盤とした在宅療養中の要介護高齢者のコホートを神奈川県(532名:男性210名、女性322名、平均年齢81.8±8.6歳)、ならびに愛知県(610名:男性250名、女性360名 平均年齢80.6±8.7歳)で作成した。介護支援専門員らにより、基本属性、栄養評価(mini-nutritional assessment short form, MNA-SF)、摂食・嚥下障害の臨床的重度化分類(Dysphagia Severity Scale, DSS)、身体計測、日常生活動作、などのデータを聴取し、データベース化した。さらに上記で登録した対象者の一年後の栄養状態、摂食嚥下障害、ADLなどの追跡調査、さらに、入院、入所、死亡のイベント調査を実施した。
結果と考察
神奈川県のコホートを用いた横断的検討では低栄養(MNA-SF評価)との関連因子として、年齢(83歳以上)、通院、直近3か月以内の入院、夕食の食事時間(30分以上)、食事に関する心配ごと(あり)が有意に関連していた。愛知県の対象者で低栄養との関連因子をロジスチック回帰で検討したところ、単変量解析では、有意な因子として基本的ADL、訪問診療、訪問看護、訪問介護の利用の有無、過去3か月の入院歴、DSS(摂食嚥下状態)が抽出された。すなわち、ADLが障害され、種々の居宅系サービスを利用していて、最近入院歴があり、摂食嚥下に問題がある対象者と低栄養とに関連を認めた。次に、年齢、性、基本的ADL、Charlson Comorbidity Index(併存症の重症度)、訪問診療、訪問看護、訪問介護、過去3か月間の入院歴、DSS分類の因子をすべて投入し、低栄養と関連する因子を抽出する多変量解析を行った。解析の結果、基本的ADLスコアが低く(OR:0.98,95%CI:0.97-0.99, p<0.001)、訪問介護サービスを利用していること(OR:0.46,95%CI:0.25-0.84, p=0.012)、過去3か月間の入院歴があること(OR:4.80,95%CI:2.39-9.63, p<0.001)、DSS分類で問題がある群に属していること(OR:2.40,95%CI:1.27-4.53, p=0.007)が低栄養と有意な関連を示した。
 登録した対象者は今年度栄養状態、摂食嚥下障害、ADLなどの追跡調査、さらに、入院、入所、死亡のイベント調査を実施した。全ての調査票は今年度2月末に回収され、現在解析中である。なお、愛知県の調査では登録610名の内、一年以内に46名が死亡した。さらに2年目のイベント観察も継続して実施している。
結論
低栄養の関連因子として、年齢(83歳以上)、通院、直近3か月以内の入院、夕食の食事時間(30分以上)、食事に関する心配ごと(あり)、ADLが障害され、種々の居宅系サービスを利用していて、最近入院歴、摂食嚥下などが抽出された。

公開日・更新日

公開日
2014-08-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2014-08-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201310006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,900,000円
(2)補助金確定額
15,900,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,228,036円
人件費・謝金 7,250,146円
旅費 1,353,298円
その他 1,399,625円
間接経費 3,669,000円
合計 15,900,105円

備考

備考
預金利息が発生した為

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-