文献情報
文献番号
201309056A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研究に関する欧米諸国と我が国の規制・法制度の比較研究
課題番号
H25-医療技術-指定-019
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
磯部 哲(慶應義塾大学 大学院法務研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
6,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、高血圧症治療薬の臨床研究事案により信頼が損なわれた我が国の臨床研究に対し、1)アカデミアの臨床試験規制の概要、2)データの信頼性確保、3)被験者保護、4)利益相反、5)研究不正、6)広告規制の6点について、諸外国の制度及び運用に関する情報の収集及び整理検討を行い、わが国の臨床研究に対する信頼回復のための法制度に係る検討材料の提供を行うことを目的とする。
研究方法
欧米諸国の臨床研究規制制度に関する国内外の関連文献・資料を体系的に収集・分析するとともに、ヨーロッパの臨床研究規制政策において強い影響力を有するイギリスおよびフランスの行政機関等を訪問し、各国の規制状況に関するヒアリングおよび資料収集を実施した(次年度にアメリカの行政機関等に対するヒアリングを予定している)。訪問に先立って詳細な質問項目を作成し訪問先に送付するとともに、訪問調査後も、電子メール等による追加調査を行った。
結果と考察
我が国の医薬品の臨床試験に対する規制体系は、国際調和の観点から見直す余地がある。その際、たとえばモニタリング・監査について、諸外国の規制・運用状況を踏まえれば、画一的かつ詳細な規律を及ぼすことは現実的ではなく、研究者の自主自律的な対応を基盤としながらそれを適切な第三者が判断できるようにするなど、個々の研究の特徴やリスクに応じた合理的な規制体系を展望する必要がある。法令による規律、倫理審査委員会や行政機関等の関与のあり方をめぐっても、制度全体の一貫性を維持する一方で、一律かつ強度の規制を及ぼす場合の弊害に留意するなど、バランスを堅持することが重要である。そして、被験者保護のための倫理審査委員会の制度設計、データの信頼性確保や不正行為対策の一環として研究データ・資料の長期保存を可能にする仕組み等、臨床研究に対する信頼を根底で支える制度的課題への対応が必要である。利益相反に関しては、研究者のみならず、公平性の観点から倫理委員会委員や規制当局の職員等にも利害関係管理が問題となりうる。さらに、規制の実効性を担保するためには、関係者の身分ないし業務に関する免許処分等の運用を見直す余地があるなど、関係諸制度にも視野を広げた検討が必要である。
結論
「結果と考察」記載の通り
公開日・更新日
公開日
2015-03-03
更新日
-