アカデミックな臨床研究実施状況の全国集計と分析に関する研究

文献情報

文献番号
201309055A
報告書区分
総括
研究課題名
アカデミックな臨床研究実施状況の全国集計と分析に関する研究
課題番号
H25-医療技術-指定-017
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
木内 貴弘(東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野、東京大学医学部附属病院大学病院医療情報ネットワーク研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石川ひろの(東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野、東京大学医学部附属病院大学病院医療情報ネットワーク研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
4,820,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、我が国最大の臨床試験登録システムであるUMIN臨床試験登録システム(UMIN-CTR)を用いて、臨床研究実施計画上及び行政施策上重要性の高い、我が国のアカデミックな臨床研究についての統計資料を作成することにある。
 従来から実施されてきた集計とは異なり、本研究では施設別、施設区分別(大学病院と一般医療機関等)に集計資料を作成する点に特色がある。しかし、UMIN-CTRでは運用開始当初から試験実施責任組織の所属機関、及び研究費提供組織等がテキストでの入力となっているため、正式名称と略称が混在する等の理由により、現状では施設の同一性を自動認識できない。施設や施設区分別の集計を可能にするためには、機関の同一性を自動認識するための所属機関マスター・研究費提供組織マスターの作成、及び当該マスターと既存の臨床研究データとのマッピング作業が不可欠である。
 研究初年度にあたる平成25年度は、まずUMIN-CTRの現在の入力状況を概観する目的で、データ内容がテキスト以外の項目についてカテゴリー集計及びクロス集計を行った。次に、所属機関マスター・研究費提供組織マスターの作成と臨床研究とのマッピングに向け、今後必要な作業の洗い出しと手順の検討を行った。
研究方法
カテゴリー集計表・クロス集計表の作成にあたっては、プログラミング言語PERLを利用し、UMIN-CTRの各項目(変数)のうちデータ内容がテキスト以外のものを抽出して総当たりさせ、年度別に集計した。所属機関マスター・研究費提供組織マスター作成と臨床研究とのマッピングのために必要な作業の洗い出しと手順の検討にあったては、UMIN-CTRの全画面、全データ項目について、ソースコードの網羅的な調査を実施した。またこの過程で、UMINにて稼動中の他のシステムの仕様も参考にした。
結果と考察
カテゴリー集計及びクロス集計の結果、平成25年度の登録件数は3,198件、平成24年度比で16.6%増であり、我が国における臨床試験登録が拡大傾向にあることが分かった。また、登録データに占める介入試験の割合や基本的な試験デザインの違い等、平成25年度の主たる登録傾向は概ね平成24年度と同じであることが分かった。UMIN-CTRは我が国最大の臨床試験登録システムであることから、本集計結果は、我が国のアカデミックな臨床研究の現状把握のための直接的な基礎資料として、十分に利用価値があるものである。
 所属機関マスター・研究費提供組織マスターの作成と臨床研究とのマッピングに向け、今後必要な作業の洗い出しと手順の検討を行った結果、計10画面について実施責任組織、及び研究費提供組織の入出力に関する処理部分に仕様変更が必要であることが判明した。またその他、計2画面を新規開発する必要があることが明らかになった。今回得た成果は、施設別、施設区分別の集計を実施する上で必要不可欠なものであり、今後は本研究の成果を元に、システムの詳細設計及び実装に着手する予定である。
結論
臨床研究、治験については、我が国は、欧米はおろかアジアの国々にも実施件数と研究の質の両方で遅れをとり始めている。本研究によって得られる我が国のアカデミックな臨床研究に関する各種統計資料は、1) 我が国のアカデミック臨床研究の現状の把握のために直接の基礎資料である他、2) 今後の政策立案にも必須の資料であり、また3) 臨床研究・治験活性化のための施策の成果を直接測定するための評価尺度として活用が可能である。特に従来は集計が困難だった施設別、施設区分別、研究費提供組織別集計が本研究によって可能になることの意義は非常に高い。
研究初年度にあたる平成25年度は、UMIN-CTRについて、データ内容がテキスト以外の項目についてカテゴリー集計及びクロス集計を行い、本システムが安定的に運用され、我が国における臨床試験登録が拡大傾向にあることを示した。また、平成25年度の主たる登録傾向は概ね平成24年度と同じであることが分かった。本集計結果は、我が国のアカデミックな臨床研究の現状把握のための直接的な基礎資料として、十分に利用価値があるものであり、今後継続的に調査を実施することが必要である。また、所属機関マスター・研究費提供組織マスターの作成と臨床研究とのマッピングのために仕様変更が必要になる画面及びデータベース項目を特定し、その内容を明らかにした。また合わせて新規開発が必要になる画面を明らかにした。
 今後は、施設別、施設区分別の集計資料の作成に向け、本研究で得た結果を元にシステムの詳細設計及び実装に着手する予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-03-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-01-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
201309055Z