咽喉頭癌に対する経口的ロボット支援手術の安全性・有効性に関する多施設臨床試験

文献情報

文献番号
201309041A
報告書区分
総括
研究課題名
咽喉頭癌に対する経口的ロボット支援手術の安全性・有効性に関する多施設臨床試験
課題番号
H25-医療技術-一般-009
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 壽一(京都大学 医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
研究分担者(所属機関)
  • 楯谷 一郎(京都大学 医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 )
  • 平野  滋(京都大学 医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 )
  • 北村 守正(京都大学 医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 )
  • 坂本 達則(京都大学 医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 )
  • 伊藤 達也(京都大学 臨床研究総合センター)
  • 鈴木  衞(東京医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 伊藤 博之(東京医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 清水  顕(東京医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 北野 博也(鳥取大学 耳鼻咽喉科)
  • 藤原 和典(鳥取大学 耳鼻咽喉科)
  • 福原 隆宏(鳥取大学 耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、咽喉頭癌に対する経口的ロボット支援手術(TORS)の多施設共同臨床試験を実施し、薬事における適応拡大申請を行うことにある。
研究方法
1.本試験のロードマップに関する検討
平成25年3月29日付け本研究の採択通知において、採択条件として「薬事承認申請における国内治験成績の要否について、速やかに規制当局と相談すること」との通知があり、それを受けて、厚生労働省医薬食品局医療機器審査管理室、PMDAとの面談を行う。

2.多施設臨床試験の計画
 本試験はICH-GCPに準拠して行う必要があり、試験実施に向けての体制構築を行い、多施設臨床試験プロトコルを作成する。

3.臨床試験開始に向けた本術式の安全性の確認(前臨床試験)
 経口的ロボット支援手術の安全な遂行には術野を適切に展開して確保することが不可欠である。本試験を安全に施行することを目的に、経口的ロボット支援手術のための術野確保が適切に行えるか否かを、カデバーを用いて検証する。

4.先行付随研究の実施
 後述の厚生労働省医政局との面談を踏まえ、本試験との同一プロトコルで先行付随研究を行う。
結果と考察
1.本試験のロードマップに関する検討
平成25年4月17日に厚労省医薬食品局医療機器審査管理室との面談、同年5月10日・6月11日にPMDAとの事前面談・対面助言(機P799)を行い、本試験においては先進医療BとしてICH-GCPに準拠しつつ行うこととなった。尚、平成25年10月1日の厚生労働省医政局との面談において、先進医療B申請手続き期間中に同一プロトコルの先行付随研究を行うことを助言された。

2.多施設臨床試験の計画
A)多施設臨床試験の体制構築
 京都大学臨床研究総合センター支援の下、試験体制を設定・構築した。
B)多施設臨床試験プロトコルの作成
平成25年6月11日PMDA対面助言(機P799)結果を踏まえて平成25年12月16日にPMDA医療機器戦略相談対面助言を行い、その助言結果を踏まえて本研究並びに先行付随研究のプロトコルを完成した。プロトコル概略は以下の通りである。
適格基準
 選択基準
  1) 中咽頭癌、下咽頭癌、または喉頭癌の扁平上皮癌
  2) T分類がTis、T1、T2のいずれかである
    N分類がN0または登録の10日以上前に実施された頸部リンパ節郭清において、節外浸潤がない
  3) 原発巣の可動性が良好で周囲組織との癒着を認めない。
   など
 除外基準
  1) 開口障害など経口的手術が困難と予想される。
  2) 異時性の咽喉頭癌の既往があり、今回の咽喉頭癌が前回と同側の同亜部位かつ進行型である。
    など
目標症例数
 先行付随研究 2例
 本研究 20例
  尚、部位別の目標症例数については下咽頭癌・喉頭癌あわせて最低4例とする。
  また、原発巣進展度別の目標症例数についてはT1・T2あわせて最低11例とする。
主要エンドポイント:手術標本の病理診断における断端陽性
副次エンドポイント:手術完遂割合、手術時間、術後入院日数、有害事象、不具合

3.臨床試験開始に向けた本術式の安全性の確認(前臨床試験)
 各種喉頭鏡により経口的ロボット支援手術施行のための視野確保が適切に行えるかをカデバーを用いて検証した。結果、FK-WO喉頭鏡は中咽頭、下咽頭、喉頭いずれの部位についても適切に展開して視野確保できることが確認され、本臨床試験を安全に行えることが予想された。

4.先行付随研究の実施
 本研究と同一のプロトコルで先行付随研究を開始し、平成26年2月10日に1例目の手術を実施した。対象は中咽頭癌前壁型T1N0M0であり、FK-WO喉頭鏡により術野を展開して、da Vinci S Surgical Systemにより腫瘍を切除した。術後経過は良好で病理学的検査では断端陰性であった。
結論
規制当局との相談により本研究は先進医療Bで行うというロードマップが確定し、PMDAとの戦略相談対面助言によりプロトコルが完成した。同一プロトコルの先行付随研究により臨床試験1例目が安全に実施され、多施設臨床試験本研究の開始にむけた準備が整った。

公開日・更新日

公開日
2015-03-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201309041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
52,000,000円
(2)補助金確定額
49,420,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,580,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 21,716,503円
人件費・謝金 1,603,581円
旅費 4,677,925円
その他 9,422,746円
間接経費 12,000,000円
合計 49,420,755円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
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